二宮和也が主演し、波瑠がヒロインを演じる映画『アナログ』が10月6日公開。本作に、主人公の会社員・水島悟(二宮)の大阪支社の後輩・島田紘也役で藤原丈一郎(なにわ男子)が出演する。

二宮との初共演に感激、グループ結成後初の映画出演を果たした藤原。和気あいあいとした現場の雰囲気のなか、想像以上のアドリブに持ち前の“バラエティー”感で挑んだという。そんな藤原が撮影の様子、ストーリーや役にちなみ、理想のデートや、先輩・後輩など自身のコミュニケーションについて語ってくれた。

【写真】藤原丈一郎演じる島田ら、悟(二宮)とみゆき(波瑠)を取り巻く登場人物たちも魅力的! 映画『アナログ』場面写真

■二宮和也との初共演に感激! なにわ男子・西畑大吾は嫉妬?

 ビートたけしによる同名の原作小説を実写化した本作。ある日、主人公の悟(二宮)は、喫茶店で携帯を持たない謎めいた女性・美春みゆき(波瑠)に出会い、恋に落ちる。「毎週木曜日にこの場所で会う」ことを約束し、徐々に関係を紡いでいく2人。想いが募った悟は、みゆきの素性も何も知らぬままプロポーズしようと決意するのだが、彼女が突然姿を消してしまい…。あえて連絡先を交換せずに週に一度だけ“会うこと”を大切にしてゆっくりと関係を紡いでいく、そんなラブストーリーの本作で藤原が演じるのは、明るく陽気なムードメーカー的存在・島田。先輩の悟のことを尊敬し、社交的で気遣いもできる、愛されキャラだ。

――二宮さんが主演する映画への出演のお話を聞いた時のお気持ちは?

藤原:二宮くんとお芝居で共演する、ましてや同じシーンでセリフをキャッチボールする時が来るとは思っていなかったので、すごくうれしかったですね。

――なにわ男子では西畑大吾が二宮さん好きを公言されていますが、二宮さんとの共演が決まって、周囲からどんな反応がありましたか?

藤原:大吾から「おめでとう」という言葉もありつつ、「二宮くんと共演するらしいな」みたいな、多少の嫉妬もありました(笑)。でもやっぱり、大吾もそうですけど、なにわ男子が二宮くんと共演する機会が増えていくのがうれしいことなので、メンバーも喜んでいましたね。
親からも「あんた、ニノ(二宮)と出んの!?」って言われました(笑)。僕は後輩ですから普段は二宮くん呼びですけど、親と同じように「あのニノと!?」とみたいな思いは心の中でありました。

――共演前に二宮さんと何かお話しされましたか?

藤原:出演が決まってから、二宮くんに直接あいさつをするタイミングがなかったので、自分の撮影はなかったんですけど、映画のクランクインの日に現場に行ってあいさつしたんです。その時に、二宮くんと初めてちゃんと会話をしました。ただ、二宮くんはやっぱりこれまでいろいろな後輩と共演することが多かったのもあってか、早速僕をいじってきました、「藤原丈はさ…」(二宮)って(笑)。「いや、違います。僕は藤原丈一郎で、その『丈』の部分は苗字には入りません」というやり取りを、初日からさせていただきました(笑)。

――初共演となる二宮さんの演技を間近でご覧になってどう感じられましたか?

藤原:二宮くんと共演した役者さんが、よく「オン・オフがすごい!」というお話をされていたので「どういうことなんだろう」と思っていたんですけど、本当にその通りでした。現場に来られた時は普段の“二宮くん”なんですけど、本番のカメラが回った時にその役になるんです。目つきが変わるというか…。それを見て「オンとオフの切り替えって、これなんだな」と思いました。芝居について特に言われることはなかったんですが、何も言わなくても、こっちが「うわぁ、すげぇ!」と思いながら見て学んでいました。


――ちなみにスーツを着た会社員役は初めてとうかがいましたが、島田役を演じるにあたって“オン・オフ”はありましたか?

藤原:僕は(役で)メガネをかけた時に一番スイッチが入りました。メガネをかけて演技をするのも初めてだったので、リハーサルの時もずっと着けながらやっていたんです。下を向いた時にメガネが落ちるかな…とか、そういう動きの面でも不安があったので、より集中することができて、スイッチを入れられたのかもしれません。

――二宮さんと共演されてみていかがでしたか?

藤原:僕は二宮くんの後輩役だったんですが、普段の事務所の先輩・後輩という関係性と一緒だったので、やりやすかったです。でも撮影が終わった帰りに、「そういえば僕、今、二宮くんと芝居していたんだな」としみじみ思いましたね。

――タカハタ秀太監督のやりとりはいかがでしたか?

藤原:なにわ男子のわちゃわちゃ感を知ってくださっていたのか、二宮くんだけでなく、監督も僕に「よ、俳優!」と言って、いじってくるんですよ(笑)。現場の雰囲気もすごくいい感じで、バラエティーの延長戦上で撮影に挑めました(笑)。

――現場では「アドリブ王」とも言われていたそうですが。

藤原:監督がカットをあまりかけないんです。例えば、台本が1ページのシーンだったとしても、“セリフは皆さんおのおので言ってください”というフリータイムがあるんですよ。そういう撮影の仕方だったんですよね。その時に、二宮くんが「令和の喜劇王だ」と言ってくださったりして(笑)、自分も現場の雰囲気に乗りやすかったですね。
ただ、本来の台本のページ数の5倍ぐらいはアドリブで撮っているので、僕自身、もう何をやったか覚えてないです。必死でした(笑)。

■「非日常的であり、日常感もしっかりある」“アナログ”デートにほっこり

――悟が勤めるデザイン会社の大阪支社の後輩・島田を演じるにあたって準備されたことは?

藤原:会議をするシーンもあったので、これまで演じた会議のシーンを思い出したり、「関西人やから…身ぶり手ぶりが多いのかな」と考えて試行錯誤したりして、演技の引き出しを増やして撮影を迎えました。

――サラリーマン役を演じるにあたって、何か活かせたことはありましたか?

藤原:(一般人の)友達は参考になりました。ある時、僕が夜に友達にテレビ電話をしたら、「今、仕事中や」と言いながら、スーツ姿で、パソコンの近くに携帯を置いてキーボードをカチャカチャしていたんです。実際に友達のそういう姿を見て、ドラマを見ている感覚に陥ったんですよね。

――撮影の際に意識されたことは?

藤原:大阪支社のシーンは、(悟と出会ってから)時間の経過があるシーンが多かったので、悟と島田がどれだけ距離を縮められているかを表現できたらという話を監督としていました。だから、関西弁のセリフも最初は優しい口調だったけど、だんだんツッコんでいく感じというか…細かいところですけど、そういう部分は意識しましたね。

――完成した作品をご覧になっていかがでしたか?

藤原:すごくステキな作品に携われたんだなって思いました。そんな作品で、いろいろな役者さんと一緒に自分が演じていたと思うと、改めてゾッとしました(苦笑)。「僕、このラインナップの中にいんねや」って。緊張していた部分もあったので、それは場数、場慣れが必要なのかなって思いましたね。
それと大阪支社が映るたびに、説明しなくても僕と上司役の宮川大輔さんの2人が出てきたら、大阪だと分かるんですよね。(そんな大阪支社のシーンは)ストーリーの中でもクスッと笑えるアクセントになっていると思います。

――悟と、携帯を持たないみゆきの「毎週木曜日に会う」“アナログ”なデートは、どう感じましたか?

藤原:おしゃれですよね。でも、僕は「(相手と)すれ違っちゃったらどうしよう」と思ってしまって、ちょっと怖いです。駅の伝言板に近いものなんでしょうね。きっとこの映画を観た大人の方は、「昔、こういうのあったな」って思い出すんじゃないかな。観た方が自分の人生と照らし合わせたときに、改めて「こういうのいいな」と思えることがあると思うので、ぜひ観ていただきたいです。僕も「こういう恋愛の仕方があるんだ」って思ったんです。今は、何かあっても携帯に連絡すれば済みますけど、それをあえてしないんですよね。それって、本当の愛のような気がします。携帯で連絡しなくても心が通じ合っていればいつか会える…そういう恋愛はステキだなと思いました。

――悟とみゆきのデートシーンをご覧になっていかがでしたか?

藤原:大衆居酒屋で焼き鳥…みたいな雰囲気は、いいなと思いました。
僕自身も、プライベートでご飯行くときにそういう雰囲気のお店が多いんです。だから、お互い気を遣わずに2人でしゃべりながら隣の人の会話も聞こえてくるような場所でのデートは、僕の理想ですね。

――お月見や糸電話など“胸キュン”デートもたくさんありましたが。

藤原:これはもう…男目線で見ると、自然とできたらかっこいいですよね。ただ僕はめっちゃ考えちゃうかも。「ここまで来たら、月を見よう」とか、糸電話も「どのタイミングで出そう」「風、きつかったらなぁ」「意外と周りに子どもが多いかな?」とか考えたり、下見したりするかもしれないです(笑)。どこか非日常的であり、日常感もしっかりある…そういうデートを見ていて、心が温まりましたね。

――悟のように、週に一度しか会えない人を好きになってしまったら?

藤原:絶対、無理です! 僕はすぐにしゃべりたい人間なので(笑)。でも、ステキやなと思うのは、週に一度しか会えない…となったら、この1週間にあったことを「あ、これ話そう」「これもしゃべりたい」とか、お互いがしゃべりたいことだらけになって、あっという間に時間が過ぎていくと思うんです。だから、そういう楽しみ方もあっていいんじゃないかなと思います。

■藤原丈一郎がコミュニケーションで大事にしていることは?

――今回演じられた島田は悟とうまく距離感を縮めていくキャラクターでしたが、藤原さんが人と距離を縮める際に意識していることはありますか?

藤原:僕はお芝居で未熟な部分があるので、相手が役者さんだとやっぱりいろいろと聞いてしまいますね。相手に興味を持とうとしているわけではなく、自然と持っちゃうんです。
役者の皆さんに「この前の作品、見ました」「あの時って、どんな感じだったんですか」とかいろいろと聞くと、皆さん優しいので教えてくださるんです。そんなふうに、相手に対して本当に興味を持っていると、自然としゃべってしまいます。今回、共演シーンがなくてお会いできていないんですが、リリー・フランキーさんと同じ作品に出られたこともうれしかったんです。会ったら絶対に言いたいのは、「(リリー・フランキーの作品)『おでんくん』、大好きです!」ということ(笑)。いまだに叶えられていないんですが、“東京タワーの近くでおでんを食べる”というのが僕の夢なんですよ。「おでんくん」のそのシーンが大好きなんです。いつか、ご本人に伝えたいですね。

――本作では職場の後輩という役どころでしたが、普段なにわ男子では最年長・先輩に。ご自身が、先輩・後輩それぞれの立場で気をつけていることはありますか?

藤原:立場が先輩でも後輩でも、あまり変わらないんですよ。どちらかといえば、自分が後輩でいるときの考え方の延長線上でいます。どちらの立場でも、気を遣っちゃうんですよね。何をしていても相手のことを考えることが多いですね。

――後輩への伝え方で意識していることは?

藤原:簡潔に…ですかね。以前、テレビで「5分以上の説教はもう自己満足」というのを見たことあって「たしかにな」と思ったんです。だから、伝えたいことはできるだけ簡潔に短く。それと、怒る、注意するというよりは、「こうした方がいいよね」とか、できるだけ上からではなく、同じ目線で伝えることは意識しています。

――お手本になる先輩はいらっしゃいますか?

藤原:関ジャニ∞さんですね。僕が事務所に入った当初から直属の先輩。先輩方は怒ることはあまりせず、後輩にもアドバイスというか、「俺やったら、こうしているかな」とか、しっかりと相手に考えさせながら自分の意見も言ってくれるという感じでした。

――今回、映画出演されて、改めてグループでよかったと思ったことはありますか?

藤原:僕もそこまでお芝居の経験がないので、今回、初めてご一緒させていただく方ばかりだったんです。でも、「この前、道枝(駿佑)がお世話になりました」「うちの大橋(和也)が~」という感じで、メンバーの共演をきっかけに会話が生まれたので、そこはグループにいてよかったなと思いました。それと、メンバーが出ている作品を見ると、すごく勉強になるんですよね。興味+メンバーが出ているから見よう!という思いもあるので、きっと見る機会が多いと思うんです。だからこそ学べることも多くて、それが活かせるのはいいなと思います。

(取材・文/齊藤恵 写真:高野広美)

 映画『アナログ』は、10月6日全国公開。

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