俳優の鈴木亮平が主演を務め、黒木華が共演する10月15日スタートの新・日曜劇場『下剋上球児』(TBS系/毎週日曜21時)。従来のスポ根ドラマとは違うと語る本作で4度目の共演を果たす2人に話を聞くと、演じるキャラクター同様、作品や生徒役キャストへの熱く優しい思いを感じるインタビューとなった。



【写真】野球好きな家庭科教師・山住香南子を演じる黒木華

 本作は、高校野球を通して、現代社会の教育や地域、家族が抱える問題やさまざまな愛を描く、ドリームヒューマンエンターテインメント。「下剋上球児」(カンゼン/菊地高弘著)にインスピレーションを受け企画され、登場する人物・学校・団体名・あらすじはすべてフィクションとなる。『石子と羽男―そんなコトで訴えます?―』『最愛』『MIU404』『アンナチュラル』をはじめ、多くのTBS人気ドラマを世に送り出してきた新井順子プロデューサーと塚原あゆ子監督がタッグを組み、脚本は『最愛』の奥寺佐渡子が手掛ける。

 鈴木は、大学まで野球一筋でやってきたものの、怪我をきっかけに引退、大学を中退するも教師になる夢を捨てきれず、32歳で大学へ再入学し教師になった南雲脩司を、黒木は同級生から「野球バカ」と揶揄されるほどの大の野球好きの家庭科教師・山住香南子を演じる。それぞれ野球に対し複雑な思いを抱える2人が野球部顧問に就任し、生徒たちや自身の過去と向き合い、成長していく姿が描かれる。

◆従来のスポ根ドラマとは違う これまで観たことのないスポーツドラマ

――今回、出演オファーを受け、台本をお読みになった時の感想をお聞かせください。

鈴木:『下剋上球児』っていう題名と、甲子園を目指すということで、熱いスポ根のお話なのかなと思ったらそういうわけではなく、人間ドラマといいますか、あくまでも普通の子たち、普通の先生たちが大好きなことのためにいろんな障害を乗り越えて、甲子園にたどりつくように頑張る姿が描かれています。熱いスポーツドラマというのとは、いい意味で印象が違うなと思いました。自分が観たことのないスポーツドラマだなと思ったので、そこが楽しみでもありますし、一番推したいところですね。

黒木:私も最初は野球の青春ドラマを想像していたのですが、台本を読んでみると全然違って。さまざまな人々の成長を描いているといいますか、新井プロデューサーが、自己肯定感が低い人たちがどういうふうに自分を認めていくかという葛藤が描かれているともおっしゃっていました。野球が好きな方にも、なじみのない方にも、いろんな角度から愛してもらえる作品になるんじゃないかなと思います。


――生徒役の皆さんの印象はいかがでしょう?

黒木:みんなすごく魅力的ですよね。

鈴木:オーディションを半年やっていたので、みんな結束力がすごいですね。それぞれ個性的でその役にぴったりな子たちが選ばれているので、その子たちに存分にお芝居してもらえる環境を、僕たちがどうやって作っていくかが今回のテーマだなと思っています。それぞれお芝居も上手いし、野球も上手いし、キャラも立っているので、彼らのやる気を自分たちがどう出させてあげるか。

僕も彼らに対しては寄り添いながら、いい意味で刺激を与えられるように、彼らがのびのびと存分にお芝居できるような環境を作りたいと思っています。今回演じる南雲のように「お前たちが主役だぞ。存分にやれよ」とリラックスして失敗を恐れずにやれる空気感を作れるような接し方をしていきたいなと思ってます。

黒木:私が演じる山住は野球愛がとても強い先生なので、先生と生徒というよりはいい意味で同じ道を伴走できる立ち位置でいれたらいいなと思います。

――高校野球や甲子園、スポーツに対する思い出はありますか?

鈴木:僕はありますよ! 高校の時に2年間甲子園球場でバイトしてましたからね。夏になると試合に負けて泣く子たちを見てきましたが、その時は同じ高校生だったからただ「泣いてるな」って感じだったんです。でも今なら、彼らはどれくらいの思いを全部ここにかけてきたんだろうと想像できるので、今回はドラマを通して、一緒に体験できるというのが本当に楽しみですね。

今回もし甲子園に行けるとしたら、初めてベンチに入ることになるんです。
(兵庫県西宮市出身で)地元なので、フィールドには中学校の体育大会とかで入ったことがあって。そう、僕、甲子園の土を踏んだことあるんです!(笑)

黒木:すごい! 私はスポーツに苦手意識があったのですが、新井プロデューサーから「こういうところが感動するんです!」といろいろ教えてもらったので、好きになりそうだなと思っています。

◆4度目の共演の2人 以前と比べ変わったところ&変わらないところは?

――お2人は今回が4度目の共演となりますが、お互いの印象やここが変わったなと感じる部分を教えてください。

鈴木&黒木:なんでしょう?(笑)

鈴木:相変わらずお芝居が上手だなぁと思いましたし、何をやっても受けてくれるので、こっちもそうありたいと思います。自由に気を遣うことなく、ジャズで言うとセッションできるような感じといいますか、そうしたフィーリングが合うというのはありがたいなと思います。一緒にお芝居していて楽しいです。

変わったところは…ないです。昔から素敵でした。

黒木:ありがとうございます。私はまた一緒に芝居ができるのが本当にうれしくて。俳優同士の共通言語があるからだと思うのですが、芝居の中の遊びを楽しんでくれる方、そういうやりとりができることってなかなかなくて。

鈴木:家族以外の役をやるの、初めてだよね!

黒木:そうですよね! (南雲と山住の)先輩後輩のやりとりも面白いですし、台本の読み込み方なども私とは全然違うので勉強になります。
役に対しての掘り下げ方が丁寧で深くて、いつもすごいなと思いながら芝居をしています。

変わったところは…あんまりないですね。お互いにですが、年を重ねましたね(笑)。

鈴木:(笑)。僕は取りましたね。

黒木:ずっと優しいですが、より穏やかになられた気がしました。芝居に対する思いは熱いですが、普段の佇まいは角が取れて丸くなった(笑)。

鈴木:黒木さんは笑顔が増えましたね。これまでの役柄が幸薄い人が多かったからかもしれないけど(笑)。なんか楽になった気がします。

黒木:そうですね。

鈴木:年齢を経るとみんな楽になってくるよね。


黒木:力を抜くところが分かってきたのかもしれません。

――最後に本作の見どころを教えてください。

鈴木:このドラマは著書『下剋上球児』(カンゼン/菊地高弘著)からインスピレーションを受け製作されているのですが、そこに登場する白山高校は1時間に1本しか電車が来ないような場所で、10年連続1回戦敗退。そんな高校が数年で甲子園に出場したという話が原案となっています。このドラマの細かい内容はフィクションですが、ほんとにこれが可能なんだ、そういう子たちが、そういう先生たちがいたんだと思いながら見てほしいです。

今の子どもたちとの向き合い方、今求められている先生像や指導者像というのはどういうものなのかというのを提示していって、今まで観ていたスポ根の“根性と気合と熱さで勝っていく”というのとは違う、スポーツの楽しみ方や感動があるんだというのをぜひ楽しみにしていただければと思います。

黒木:私は生徒たちに注目してほしいです。これまで芝居に触れてこなかった方や、甲子園に出場された方もいたりと幅が広い。この作品のために野球を練習して、チームワークを磨いて、芝居につなげているので、見ていてこちらも熱くなります。

鈴木:ドキュメンタリーをやるらしいんですよね。オーディションで選ばれる過程とか…。それを見たらもう、ドラマとオーバーラップして…。


黒木:泣いちゃう。

鈴木:泣いちゃうよね。1話から彼らの頑張りが見えて、登場した時点で「わ!出てきた!!」と応援したくなるんじゃないかと。そういう楽しみもあるんじゃないかと思います。1人1人が俳優としても成長していって、絶対に彼らの中から近い将来のスター俳優や名脇役がたくさん生まれてくると思いますので、ぜひ応援していただきたいと思います。

黒木:私たち大人チームも頑張っていきましょうね!

(取材・文:編集部)

 日曜劇場『下剋上球児』は、TBS系にて10月15日より毎週日曜21時放送。

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