朝ドラ「梅ちゃん先生」に主演している堀北真希。顎の小さな、整った“現代顔”ながら、おでこ丸出しのお下げ髪+もんぺ姿が、よく似合っている。
ホワンとしたスローな喋りも、ドジな雰囲気も、よく似合っている。
堀北真希主演のNHK朝ドラ「梅ちゃん先生」新キャストは小出恵介、松坂桃李ら
堀北真希の不思議なところは、「明るくない」役のほうが輝くということだ。

最も印象的だったのは、ドラマ「野ブタ。をプロデュース」(05)での小谷信子役である。

無口で笑わず、性格が暗く、イジメの対象にされていたが、その実かなり芯が強く、逞しく、頑固でブレない「野ブタ」は、魅力的だった。

さらに、「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「食わず嫌い王選手権」(2007年/玉山鉄二と対決)で見た堀北真希ご本人の、ほとんどしゃべらない&笑わない&とんねるずを困惑させるほどのリアクションの薄さも、どこか浮世離れした感じで、好感が持てた。

こんなにも暗い美女って、若い女に他にいるだろうか、と。 だが、いつからか、そんな堀北真希が、見た目も女性的にやや丸みを帯び、表情がちょっとやわらかくなってきた。かたくななまでに笑わなかった「とんねるずのみなさんのおかげでした」の「食わず嫌い王選手権」に再び登場した際にも、北川悠仁との対決(2008年)では、ずいぶん笑顔が出るようになっていた。

少し大人になってしまったんだろうか、という気もした。

そして、そんな思いが決定的になったのが、2011年放送「EXILE魂」に出演したときである。

「EXILEのファン」を公言した堀北真希は、終始笑顔で、彼らの歌を一緒に口ずさんだり、いつになくハイテンションだった。
おまけに、「だいたい男の人は(好物について)ハンバーグって言います!」など、“男”について大いに語ってしまっていた。ああ……なんだろう、この寂しさは。

堀北真希とEXILEと、男の好物ハンバーグ。EXILEやハンバーグが悪いわけではないけれど、その意外な取り合わせが、逆にリアリティを生み出してしまう気がする。

優等生が意外なCDを聴いていたり、意外な漫画を読んでいる様子を目撃してしまったときの「見てはいけなかった感」にちょっと近いのかもしれない。(文:田幸和歌子
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