蒼井優が、映画『アンパンマン』シリーズ最新作『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』(6月27日公開)でヒーローになることを夢見る男の子・チャポンの声を担当。2022年に第一子を出産し、「アンパンマン」が身近に感じられる子育ての日々を送っている蒼井が、本作への思いや、母として感じる思いを明かしてくれた。
【写真】母性あふれる優しい笑顔を見せる蒼井優 撮り下ろしカット
■アフレコ現場を回想「ジャムおじさんのような懐の深さで受け入れていただきました(笑)」
――台本を読んだ時の印象はいかがでしたか?
蒼井優(以下、蒼井):まず台本を読んだ時は、現代の大人たちにも伝えたいメッセージが根底にあるなと思いました。「♪なんの ために 生まれて なにを して 生きるのか」という、原作者のやなせたかしさんが書かれた「アンパンマンのマーチ」の歌詞の問いかけを考えさせられる作品ですね。チャポンの出生の秘密を知ったアンパンマンが彼にかける言葉も素晴らしくて、世界中の人に見ていただきたい作品だなと思いました。
――今回の物語はチャポンが成長していく姿が描かれていきますが、チャポンの声を務めるにあたって意識されたことは?
蒼井:とにかく…娘にチャポンの声の正体がバレないようにということです(笑)。娘が知っている私の声がチャポンのキャラクターに入らないように気をつけました。それと、チャポンは明るくて元気な男の子なので、なかなか普段やることのないテンションなのですが、頑張って演じました。スタッフの皆さんから「思い切りやって大丈夫です」と言っていただけたので、本当にのびのびやらせていただくことができて感謝しています。
――現場の様子はいかがでしたか?
蒼井:ジャムおじさんのような懐の深さで受け入れていただきました(笑)。現場はスタッフさん全員が、やなせたかしさんのお考えを理解された上で見守っているような感じで、「アンパンマン」がこれだけ大切にされて視聴者の皆さんのところに届いているんだということが分かりました。私たちはそうした思いで作られたものを見てきたんだと思うと、「アンパンマン」が好きでよかったって思いましたね。
――実際に「アンパンマン」のアフレコを体験してみていかがでしたか?
蒼井:これほどまで多くの方がキャラクターの声を知っている作品に新しく入るということは、今までにない経験。その中でも「アンパンマン」の世界の声って独特な世界観のベールがあるというか…声優の皆さんが完ぺきな世界を作られているので、そのピースにハマろうとするのはすごく難しいなと思いました。
でも、そうそうたる声優さんたちとの世界に入れることはすごく貴重なことですし、頑張ろう!と思って、娘がいない時に家でアフレコの練習をしていましたね。プレッシャーを感じてしまうと楽しめなくなってしまうので、とにかく楽しむためにいっぱい練習しました。本当にいい経験をさせていただいたと思います。
――実写のお芝居と声のお芝居で違いを感じる部分は?
蒼井:今回のように男の子の役をやらせていただけるということだったり、役で空を飛んだり…そうした実写ではなかなかできない役を声優としてやらせていただけることですね。それがすごくうれしいです。声優さんのお仕事は本当に大変だと思いますが、自分の声次第でどんなキャラクターにもなれると思うので、楽しくて夢があるなぁと感じます。私の中で、声優さんって心が若い方が多い印象なんです。職人技がありながらも、皆さんがいろいろな世界に没入されているからこそなんだろうなと思います。
■「全てのキャラクターにだんだんと愛情が湧いてくるのが、『アンパンマン』のすごさ」
――完成した映像をご覧になっていかがでしたか?
蒼井:チャポンがアンパンマンにお風呂上がりに頭を拭いてもらうシーンがあるんですが、台本を読んだ時にうれしくて笑いがこみ上げてきちゃったんです(笑)。そのシーンの映像は、まるで夢のようなカットでした(笑)。それとクライマックスはアフレコではあまり想像できなかったのですが、映像を見てものすごく迫力があったので感動しました。
――お子さんに出演することをおっしゃっていないとのことですが、本作を映画館に見に行かれる予定はありますか?
蒼井:はい、行きます! (チャポンの正体が)バレないといいな…とは思っています(笑)。
――娘さんにとっての「アンパンマン」の世界を大事にしたいですよね。
蒼井:そうですね。娘は本当に「アンパンマン」が大好きなんです。だから、「お母さんが『アンパンマン』でこんな声を出してる」とか思われてもなぁって…(苦笑)。「アンパンマン」の物語を集中して見せてあげられたらと思うんですよね。映画を観に行った子どもたちには、来場者特典でマラカスがもらえるので、皆さんと一緒に映画館で応援したいと思います(笑)。
――お子さんが生まれてから、「アンパンマン」がより身近になっていることを感じたんですが、改めて思う蒼井さんの「アンパンマン」の魅力は?
蒼井:「アンパンマン」には、いろいろなキャラクターがいるということが素晴らしいなと思うんです。ばいきんまんみたいなちょっと意地悪をしてしまう子もいれば、ばいきんまんの仲間だけどしょくぱんまんが好きなドキンちゃんがいたり、無邪気なコキンちゃんがいたり…そうしたいろいろなキャラクターがいて楽しいというのが魅力ですね。全てのキャラクターにだんだんと愛情が湧いてくるのが、「アンパンマン」のすごさだなと思いました。
――ちなみに、蒼井さんはパン作りをされたりしますか?
蒼井:フライパンで焼ける米粉のパンの作り方を教わったので、それをやってみました。お友達と一緒にできるから、みんなで集まってパンを作ったりしています。生地にソーセージとか、トマトとか好きなものを切って入れて焼くだけなのですが、盛り上がりますし、協調性も生まれたり、どうやって分けるかを考えたり…と、子どもたちにとって学ぶことが多いですし、親も食べられるので楽しいですね。
おもちゃで遊ばせると片付けなきゃいけないけど、パンは食べたらなくなるからいいんですよ(笑)。
■「子どものことが好きだという気持ちが、夫婦ともに行き場がないぐらいあふれています(笑)」
――お話をうかがっていると、お子さんのことをとても大切にされていることが伝わってきますが、子育てをするなかでご自身の心の変化はありましたか?
蒼井:やっぱり心はずっと揺らいでいます。「何のために働いているんだろうか」と思う時もありますし…。私自身、もともと24時間を自由に作品につぎ込んできたんです。もちろんプライベートも大事ですけど、独身の時は一つの役を演じるための時間が自分の最優先でした。今はやっぱりどんな時でも最優先は子どもなので、仕事に対しても、子育てに対しても、「ちゃんとできているのだろうか」「仕事をやろうと思うのは、自分のわがままなのかな」と思う時があるんです。でも、周りの働いているママに対してそんなことを思うかといったら、全く思わないんですよね。専業主婦のママも、働きながらお子さんに愛情を注いでいるママも…“ママ”という存在に自分自身がものすごく勇気をもらっているんです。子どもが生まれる前はそんなふうに考えたことがなかったので、世の中のママたちから想像で勝手に勇気をもらったり、自分の周りにいるママ友からも力をもらったりしながら過ごしています。心が揺らぐこともあるけど、みんな頑張ってるし、「揺らいでいる場合じゃない!」とも思います(笑)。
――ママとしての蒼井さんの一番のパワーの源は何ですか?
蒼井:家族からパワーをずっともらっていますね。夫は私が疲れて動けない時に自分が疲れていても動いてくれるので、私も頑張ろうと思いますね。
――アンパンマンはみんなを笑顔にするヒーローですが、お子さんの笑顔を守るためにご家族で心掛けていることはありますか?
蒼井:常に娘には「大好きだ」「大切だ」「安心安心」ということを伝えていますし、どうしても叱らなきゃいけない時があるんですが、叱った後にギュッと抱きしめたり、子どもがやっていることに声を上げて明るくリアクションしたりすることですかね…。当たり前のことかもしれませんが、娘に対して「あなたの存在が面白いんだ」ということを日頃から伝えています。子どもが生まれてから、夫と「アゴが痛いんだよね」みたいな話をしたんです。子どもがかわいすぎて歯を食いしばってるっていう(笑)。それぐらい子どものことが好きだという気持ちが、夫婦ともに行き場がないぐらいあふれています。
(取材・文:齊藤恵 写真:高野広美)
アニメ映画『それいけ!アンパンマン チャポンのヒーロー!』は、6月27日公開。
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