テレビアニメ『その着せ替え人形(ビスク・ドール)は恋をする』待望のSeason 2が、いよいよこの夏スタート。喜多川海夢役・直田姫奈と五条新菜役・石毛翔弥が語るのは、前作で心を震わせた名シーン、演じるうえでの距離感の変化、そして互いが感じるキャラクターの魅力や「なんですって?」な裏話まで。
“恋”と“好き”があふれる現場で交わされた、ふたりのリアルな言葉をお届けする。
【写真】直田姫奈&石毛翔弥のインタビュー撮りおろしが満載!
■「恋が動き出す瞬間」心を震わせたSeason 1の名場面
――Season 1を振り返って、特に印象的だったシーンや、演じていて心が動いた瞬間を教えてください。
直田:私は第5話の電車のシーンですね。海夢ちゃんが、五条くんへの想いに初めて気づく。その“恋の自覚”の瞬間は、この物語の中でもとても大切な転機だと思っています。電車の車輪の音が、ふたりの距離と海夢の気持ちの変化にシンクロするように刻まれていて、まるで恋心が加速していくような感覚を覚えました。
そうした演出を含めて、「アニメだからこそできる表現って、こういうことなんだな」と心から感じましたし、本当に印象深いシーンでした。
石毛:僕は第4話の雫たんの衣装を作るエピソードが強く記憶に残っています。たった2週間で衣装を仕上げなければならないというプレッシャーの中で、じいちゃんが腰を痛めて入院し、家業の手伝いに加えて中間テストも重なる……。そんな過酷な状況でも、五条くんは夜通し作業を続けるんです。疲れていて、苦しくて、それでも喜多川さんのために「やらなきゃ」と前に進み続ける彼の姿には、胸を打たれました。
そして、衣装作成で佳境のときに五条くんが静かに涙を流し、喜多川さんもまた衣装完成後に五条くんの置かれていた状況を知って感極まって涙をこぼす。
そんな“心が通じ合う瞬間”が、本当に素敵でした。
――そうした素敵なエピソードを経て迎えるSeason 2ですが、収録で海夢と新菜の“距離感”の変化をどのように捉えて演じましたか?
直田:Season 1のときは、正直そこまで“距離感”って意識していなかったんです。海夢ちゃん自身、五条くんのことが好きっていう気持ちはあったけど、それをあえて「伝えたい!」って強く思ってたかというと、そうじゃなかった気がしていて。それよりも、ふたりで過ごす時間がただただ楽しくて、コスプレを一緒につくる時間に夢中だった。だから、演じるうえでも“楽しい”気持ちを一番に大切にしていました。
でもSeason 2になると、海夢ちゃんの中にある恋心がどんどん育っていって、想いが前面に出てくるシーンが増えるんです。その分、どこまで素直に“好き”を出すか、でも今まで通りの関係性も壊したくない。そういう微妙な揺れ動きをどう演じるか、すごく考えさせられました。Season 2は、より“ラブコメ”らしさが増していると感じています。
石毛:Season 2は、やっぱりSeason 1があったからこその続きなんですよね。だから少し感情表現が大きくなる場面もあって、そのバランスがすごく難しかったです。五条くんは感情をストレートに表すタイプではないので、演じる側としてもその枠を壊さず、でも最大限に心の動きを表現したいと思っていました。
それに、この物語の中では、ふたりの時間はSeason 1の終わりからほとんど地続きなんですよね。僕たち演者にとっては3年ぶりのアフレコだけど、作中の喜多川さんと五条くんにとっては“昨日の続き”のようなもの。だから、僕たち自身が3年ぶりだからといって意気込みすぎず、あくまで自然な延長線として演じられるように意識しました。
■互いが見つめた“相手の輝き”――五条新菜と喜多川海夢の魅力とは
――直田さんからご覧になった五条新菜の魅力は?
直田:五条くんって、本当に“いい子”なんですよ。だからこそ、「どうして今まで友達がいなかったの?」って不思議になるくらい、真っ直ぐで、ピュアで……。高校1年生で、ここまで心が綺麗な男の子って、現実にいるのかなって思うほどなんです。
でも、ただ優しいだけじゃなくて、自分の中にしっかりとした“芯”を持っている。おじいちゃんの姿を見て育ったからか、どこか職人肌で、「本当に奇麗だと思ったものにしか“奇麗”って言わない」頑固さがあるんです。そういう自分なりの美意識や価値観を、ちゃんと貫いているところがすごく魅力的だなと思っていて。
Season 1ではまだ周囲との関わりが少なかったけれど、これからきっと、五条くんの魅力がどんどん周りに伝わっていくと思うと……ちょっとドキドキします(笑)。「絶対モテるでしょ!」って、思うんですけど、それと同時に、彼にはこのまま変わらずに、まっすぐで素敵な大人になってほしいなっていう、ちょっと“保護者目線”のような気持ちも芽生えてしまって(笑)。
気づいてほしいけど、気づかれたくない。
そんな複雑な想いが湧くほど、五条くんは本当に特別な存在です。
――石毛さんからご覧になった喜多川海夢の魅力は?
石毛:喜多川さんは、まず何よりも“ポジティブ”なところが素敵ですよね。第1話からずっとそうですけど、自分の好きなものや考えを、素直に人に伝えられる。そういう真っ直ぐさって、なかなか持てるものじゃないと思うんです。
基本的には人を否定しない子なんです。それでいて、自分が大切にしているものを傷つけられたときには、ちゃんと怒れる強さもある。Season 1の美容室のシーンで、絡んできた男性にアニメのストラップをバカにされたとき、「オメーがねぇわ」ってきっぱり言う場面があったじゃないですか。あれはただの否定じゃなくて、“他人の好きを否定すること”への怒りなんですよね。そこが本当に素敵だなって思います。
それに、僕がいちばん好きなのは、被服準備室で五条くんのお雛様を「見せて」って言ったときに、お雛様を“触らなかった”ところ。ただ静かに見て、「めっちゃキレー」って言うだけ。その気遣い、優しさ、繊細さ。
そういうちょっとした所作が、喜多川さんの人柄を物語ってると思うんです。
ギャルっぽい喋り方だったり、現代っ子らしい空気感はあるけれど、それは決して“ガサツ”ではなくて。むしろすごく繊細で、思いやりがあって。僕は、そういう彼女のバランス感覚がとても魅力的だなと思っています。
■思わず飛び出た“なんですって?”の嵐
――度々“しゅきしゅき”モードになる海夢ですが、おふたりが日常の中で「好きが暴走する瞬間」は?
直田:私はもう、圧倒的に“食”ですね。特に辛いものが大好きなんですけど……もう我慢して我慢して、やっと解禁する瞬間って、ほんっとうにたまらなくて! あの、香りが鼻に届いた瞬間に「うわ、きたっ」って……もうよだれ止まらん! 作ってるときからテンションが上がりまくってて、脳内では完全に“しゅきしゅき”モードです。
で、実際に食べた瞬間、「うわ~、500倍美味しい~!」ってなるんですよ。我慢はつらいけど、我慢するからこそ爆発する“好き”もあるんだなって気づいて。ある意味、我慢も悪くないかも?って初めて思った瞬間でもありました(笑)。
石毛:僕はゲームが特に好きで、最近だと“レトロ”って呼ばれるような古いシリーズのゲームを集めてるんですけど、ソフト本体だけじゃなくて、箱とか説明書とか、全部揃ってて状態がいいものを探すのがめちゃくちゃ楽しくて。
ネットで探してると、写真が全部載ってないことも多くて、「現物をこの目で確かめたい!」ってなるんです。で、気がついたら、駅から徒歩1時間の店にも行っちゃってたりして(笑)。
普通なら「遠いな~」ってなる距離でも、“好き”って気持ちがあると、全然苦にならなくて。それってもう、軽く“しゅきしゅき暴走モード”なのかもしれないですね。
――また、新菜といえば「なんですって?」というセリフがファンの間でも人気ですが、Season 2の収録期間に起こった驚きのエピソードはありますか?
直田:Season 1のときの企画で、石毛さんが雫たんの衣装を実際に縫ってくださったんですけど、ある日ぽろっと「ずっとやり直したい箇所があるんです」って言われて。3年前のことだったので、最初は冗談かと思ったんですけど、本気で“ずっと気にしてた”らしく、「なんですって!?」って思いました(笑)。しかもその箇所、袖の裏地のレースの部分なんですよ。
石毛:そうなんです。黒い糸で縫ってしまったんですけど、本当は白いレースに黒い糸って、上から見たときにどうしても目立っちゃって……。しかも縫い目もめちゃくちゃ綺麗ってわけじゃなくて、自分の中では3年間ずっと引っかかってたんですよね。あとはレースの長さも「もうちょっと短くしたかったなぁ」とか、地味だけど細かいところがどうしても納得いかなくて。
直田:そのこだわりをずっと持ち続けていた石毛さん、ほんとに“五条くん”そのものなんですよ。そして、今回その衣装を着る機会があって、本当に直してくださったんです!「え!? 本当に縫い直したの!? なんですって!?」って、まさに2度びっくりでした(笑)。
石毛:実は、時間の都合もあって完全に縫い直すのは現実的に難しかったんです。
でも、どうしても直したくて、先生にも相談して、レースの上にさらに白いレースを重ねて貼って隠す方法にして。縫うんじゃなくて、のりで丁寧に貼り合わせるという方法で。しかもただ貼るだけじゃなくて、可愛さが出るように、細かいフリルでアレンジも加えて……。
直田:もう、そのエピソードを聞くだけで「なんですって?」連発ですよ(笑)。本当に細部まで愛が詰まってて、改めて“リアル五条新菜”だなって思いました。
石毛:僕が「なんですって?」と思ったのが、とあるシーンの収録後、音響監督の藤田亜紀子さんが「さすが、うちのヒロイン!」って言ったんですよ。五条くんに向かって(笑)。
直田:言ってた言ってた~(笑)。
石毛:「え、ヒロインって僕?」って、心の中で思わず「なんですって?」がこだましました(笑)。でも、視聴者の皆さんの中にも「五条くん、ヒロイン感あるよね」って感じてくれている方、たぶんいらっしゃると思うんです。だからそれが、まさか現場で公式に(!?)言われるとは思ってなくて、めちゃくちゃ笑いました。
直田:あの空気、めっちゃ面白かったですね。ほんとに『着せ恋』って、愛とツッコミどころにあふれてて最高です(笑)。
――最後に、放送を楽しみにされているみなさんへメッセージをお願いします。
直田:3年間、本当にお待たせしました。私たちもずっと「また演じたい」と思っていたので、7月からSeason 2が放送されることがすごく嬉しいです。今作では、新しいキャラクターたちも登場しますし、海夢ちゃんと五条くんの関係にも変化があって、より“ときめき”が加速していくストーリーになっています。
Season 1の頃から応援してくださっていた方も、これから初めて触れる方も、この夏は『着せ恋』で一緒にキュンキュンして、熱くなっていただけたら嬉しいです!
石毛:3年間、待ってくださって本当にありがとうございます。Season 2は、もう「これぞ着せ恋!」というような密度のあるエピソードが続いていきます。特に今回は、キャラクターの数もグッと増えて、にぎやかさもパワーアップしていますし、原作ファンの方が「ここがついにアニメになるんだ!」と期待されているシーンも、しっかり熱く、丁寧に描かれています。
Season 1とはまた違った面白さや深さを味わってもらえると思うので、ぜひ楽しみにしていてください!
(取材・文・写真:吉野庫之介)
テレビアニメ『その着せ替え人形は恋をする』Season 2は、7月5日24時よりTOKYO MX、BS11、とちぎテレビ、群馬テレビほかにて順次放送開始。Prime Videoにて7月5日24時30分より最速先行配信。
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