7月25日に公開となる映画『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』は、なんとテレビシリーズとは別の世界が舞台。さらにFANTASTICSが主題歌を担当することや、同グループより世界、澤本夏輝、木村慧人、中島颯太がゲスト出演することも発表され話題となっている。

このたび、知念英和(ショウマ/仮面ライダーガヴ役)、日野友輔(辛木田絆斗/仮面ライダーヴァレン役)、宮部のぞみ(甘根幸果役)、庄司浩平(ラキア・アマルガ/仮面ライダーヴラム役)にインタビューし、FANTASTICSと共演しての感想のほか、1年の撮影を通して感じた「成長」について語ってもらった。

【動画】1年間を駆け抜けた思いを語る!インタビュー

■映画は別の世界が舞台!ショウマの居場所がなくなり「喪失感」

――ショウマが別の世界に飛ばされるという、まさかの展開が巻き起こる劇場版。台本を読んでの感想を聞かせてください。

知念:台本をもらう前から「夏映画ではショウマが別の世界に行くらしいよ」という噂を聞いていて、「どんなストーリーになるんだろう?」と気になっていました。実際に台本を読んでみると、こう来たか…!と。おそらくファンの皆さんが見たかったであろうシーンも描かれていて、夏の映画でそれが実現できたことが嬉しいです。また、今回はFANTASTICSの中島さん、木村さん、澤本さん、世界さんがゲスト出演してくださるということで、どんな化学反応が起こるのかにもワクワクしました。

日野:テレビシリーズでは母親を失い、その復讐心に突き動かされている絆斗の人生が描かれていますが、映画に出てくる別の世界の絆斗は、そのような経験をしていないんです。あの出来事が無かったら絆斗はこんなに幸せで、普通の人生を歩めていたんだな…としみじみした気持ちになったと共に、そのテレビシリーズとのギャップについて、監督から「しっかり差別化してほしい」とも言われました。

宮部:別の世界での物語というのは聞いていたのですが、台本を見てみると2人の幸果が存在していて驚きました。二役やるの!? と(笑)。人生初の一人二役ということで、どうやって演じ分けようかすごく悩みましたね。
しかし、衣装合わせの時に監督から「幸果は幸果だよ」と言われたんです。その言葉で、どんな世界線に生きていても幸果は変わらないんだなと安心し、そのまま演じることができました。

庄司:台本を読んだだけでは完成した絵が想像できないな、というのが第一印象でした。「別の世界はどんな環境なんだろう?」「ロケ地はどこになるんだろう?」とか(笑)。わからないことが多かった分、仕上がりが楽しみになる台本だと思いましたね。

――宮部さんだけでなく、日野さんと庄司さんも普段の世界と別の世界の二役を演じ分けられました。ショウマとの関係性は変わっていて、撮影は大変だったのではないでしょうか?

日野:テレビシリーズの撮影を走り切ってからの映画だったので、もとの絆斗に戻ることにあまり苦労は感じませんでした。別の世界では、テレビシリーズで出来上がった絆斗像をいかに崩していくかということを意識しましたが、二役演じた感覚はあまりなかったかもしれませんね。

庄司:ショウマとの関係性の部分については、0か10なんですよね。普段の世界はショウマを知っていて、別の世界では知らない。その上でこれまで演じて来たキャラクターを演じれば良かったので、作業的な難しさはありませんでした。

宮部:幸果として、ショウマはテレビシリーズで一番絡みのあるキャラクターだったので、関係性が出来上がてしまっている分、「ショウマを知らない幸果」を演じるのはとても新鮮な気持ちでした。
さらに、別の世界ではショウマの立ち位置にタオリンがいて、タオリン役の中島颯太さんとは初共演だったので、本編でのショウマ&幸果のような関係性を演じなければならないのは「できるかな?」と最初は不安でした。でも撮影が始まってみると、意外とスッと入っていけましたね。

知念:僕としては、幸果さんたちがタオリンとワチャワチャしている様子を見ていると「この世界にショウマの居場所はないんだな」と寂しい気持ちになりました。それに気づいたのぞみちゃんが、カットがかかるたびに「ごめんね~」と謝ってくれて(笑)。

宮部:だって、すごく切なそうな顔をしてたから…。

日野&庄司:(笑)

宮部:そんな表情を見たら心が痛くなってきて、「ごめんね」と謝りたくなっちゃいました(笑)。

庄司:僕たちは「知らない」を演じるだけでしたが、ヒデは二つの世界の僕たち両方と関わるシーンがあったので、逆にそっちの方が大変だったと思いますね。

知念:今までショウマの立ち位置だった場所にタオリンがいて、ショウマの部屋もタオリンのものになっていて、急に自分の居場所が取り上げられてしまったような喪失感に襲われました。さらに、目の前にいるのは幸果さんなのに、“ショウマのことを知らない幸果さん”という…。ショウマはその状況にどう対処するのか? 幸果さんにはどう接するのか? と頭をフル回転させながら演じたことを覚えています。

宮部:その知念くんの戸惑いがショウマの惑いにシンクロしていて、そのおかげで別の世界の幸果をすんなり演じられた部分もあったと思います。

■知念英和と中島颯太は似ている? 木村慧人のプロ根性に感動も

――今話に上がった中島さんのほか、世界さん、澤本さん、木村さんらゲスト陣と共演しての印象、撮影時のエピソードがあれば聞かせてください。


宮部:中島さんとの共演シーンが一番多かったのですが、中島さんと知念くんって雰囲気がすごく似ているんですよね。

知念:それスタッフさんにも言われた!「すごい似てるね」って。

宮部:3人で一緒にお菓子の家も作ったんだよね。

知念:そうなんです。映画なのでお菓子作りのスケールも大きくなっていて、なかなか完成度の高いお菓子の家を作りました。でもテレビシリーズ同様、ショウマたちに料理させると色々なことが起こるので…(笑)。ハプニングが詰まったシーンになりましたが、撮影していてとても楽しかったです!

日野:いいなぁ~! 見たかったな。

庄司:話を聞いているだけで、映画を観るのが楽しみになってきました!

日野:実は僕、(FANTASTICSが所属する)LDHさんがめちゃくちゃ大好きなんですよ。出演されている番組もよく見ていたくらい。先日やっと撮影現場でご一緒することがあったのですが、ヒデ(知念さん)が突然「慧人く~ん! お疲れ!」と話しかけていて、しっかり共演者の距離感になっているのがとても羨ましかったです。

宮部:皆さんすごく接しやすいんですよね。

知念:そうなんです。
4人全員が優しかったです。

宮部:先ほども言いましたが、私は中島さんとは初共演。仲良くできるか不安だったのですが、頑張って話しかけてみると、どんなボケでも拾ってくれるんですよ。親しみやすくて、すぐに心を開いてしまいました。

知念:アーティストの時と俳優の時とじゃ、表情も違いますしね。一番ギャップを感じたのは、木村さんです。クラープという博士の役なのですが、テストではクールに演じていたのに、監督から「もう少しクセの強さを出してみて」と言われた瞬間、180度違うクラープを表現されました。その後に少し話す時間があって、芝居について聞いてみたら「作品のためだったら、俺はなんでもするつもりだから」と言ったんです。

日野&宮部&庄司:かっこいい~!

知念:それを聞いて、木村さんのことがすごく好きになってしまいました。プロ根性ですよね! ほかの作品では見たことのない木村さんの表情や演技が楽しめるので、ファンの方は絶対にこの映画を観た方がいいです。

――物語の中でキャラクターが成長すると共に、この1年間でいろんな表現を学び経験を積んだことで、皆さん自身も成長されたと思います。キャラクターとご自身で、その「成長」を感じた瞬間を教えてください。


庄司:登場時は敵側だったラキアですが、ショウマの説得によって立場が変わりました。しかし目的は変わっておらず、それが一致したことによってショウマと共闘するようにもなります。「人間」も自分と変わらない存在であると理解してからは、ショウマや絆斗、そして幸果とコミュニケーションを取っていきますし、成長以外の意味でも変化が一番わかりやすいキャラクターだったと思います。ラキアはいわゆる「クールキャラ」なので、あまり演技の幅は広くないと思っていたんです。しかし、物語の進行に合わせてキャラクター同士の交流を通して態度がだんだん砕けて行ったり、少し表情に出したり、微妙な変化をつけて視聴者に伝わるように表現したつもりです。映画においての別の世界のラキアはそれがもう少しわかりやすいキャラクターになっているので、是非その変化を感じてほしいですね。

宮部:幸果は最初から最後までずっとそのままだからなぁ。ラキアのようなわかりやすい変化はないですが、会話せずとも空気でみんなの状態を理解できるようになったのが幸果の成長かと思います。事情を知ってからは、ショウマたちをサポートするようにもなりますしね。戦闘要員ではないですが、一緒に戦っているという気持ちで演じていました。最後の方の撮影では私自身も同じ気持ちになったりして、幸果とシンクロできたことが私の成長だと思います。

日野:絆斗は幼い頃に母を化け物に攫われて、その復讐を人生の道標として生きてきたキャラクター。
グラニュートのミックスであるショウマという存在は、本来は相容れない存在ですが、彼と出会ったことで、生きる目的であり人生の“枷”にもなっていた復讐心を乗り越えていきます。そして乗り越えた先で、ショウマ、ラキア、幸果という心強い仲間たちができたことが、絆斗にとっての一番の成長だと思いました。そして僕にとっても、このメンバーに出会えて良かったと心から思います。みんなと切磋琢磨できたおかげで、俳優としても人間としても成長できました。この映画は、その集大成となる作品になったと思います。

知念:ショウマは右も左もわからないまま人間界に来て、人間を守るために戦って。それを繰り返していく中で「なぜ戦っているんだろう?」「自分が生きている理由は何だろう?」と壁にぶつかることもありましたが、幸果さん、絆斗、ラキアたちと出会い、関係性を築き、一緒に乗り越えてきました。そんなショウマと同じように、僕もこのメンバーと出会って、いろんなものを乗り越えて、俳優として1歩ずつ成長してきました。本当にかけがえのない1年でした。また、映画でもショウマはまた1つ大きな壁を乗り越えますので、その姿を見届けてもらえると嬉しいです。

(取材・文:米田果織 写真:高野広美)

 映画『仮面ライダーガヴ お菓子の家の侵略者』『ナンバーワン戦隊ゴジュウジャー 復活のテガソード』は、7月25日全国公開。

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