日向坂46が15thシングル「お願いバッハ!」を9月17日にリリースする。本作をもって約8年間のアイドル活動を締めくくり、グループを卒業する二期生の河田陽菜。
【写真】卒業を控える河田陽菜と、河田を“推しメン”と慕う山下葉留花
■「自分をさらけ出せる」きっかけに
――河田さんが参加する最後のシングル。センターは同期の金村美玖さんと小坂菜緒さんが務めます。
河田:2人のセンターは、すごくうれしくて、ユニット曲「See Through」を見たときから、「金村と小坂はやっぱりいいな」と思っていました。同い年の2002年組として、いつか2人でセンターに立ってほしいと感じていたので、最後のシングルで、その姿を見られて幸せです。
――山下さんは、金村さんと小坂さんのセンターとしての魅力をどう感じていますか?
山下:お2人は、色で言うと黒だと思うんです。雰囲気として。でも、2人が合わさると真っ白になる。黒と黒が混ざっても白にはならないのに、化学変化を起こせるんです。個々の輝きもありながら、そろうことで生まれる個性があって、最高のペアだと思います。
――河田さんは、同期の松田好花さんとシンメのポジションです。
河田:松田とのシンメはこれまでにも多くて、最後に同期とシンメになれてうれしいです。
――(笑)。松田さんといえば、『放送作家松田好花 リターンズ』(テレビ東京系)の中のインタビューで山下さんは、ファンの前では「弱音を吐かないようにしている」と話していましたが、今回のフォーメーションについて、ブログで率直な思いをつづっていましたね。
山下:周りからは「悩んだことがなさそう」と思われがちなんですけど、本当はグループに加入する前からネガティブな性格で。加入後は物事をポジティブに考えようと思って、悔しい気持ちは隠してきたんです。でも松田さんに「気持ちをストレートに伝えた方がファンの方はうれしいと思う」と言われて、確かにその方が人間味を感じるし、共感もしていただけるのかもと思いました。
そう考えると心も軽くなって、ブログにも素直な思いを書くことができたんです。ファンの方からも「さらに応援したいと思った」という声もいただけて、自分をさらけ出せるきっかけになったと思います。
――「二列目より前に立ちたい」という強い目標もありました。
山下:メッセージアプリの方では、もっと具体的な目標も書いたんですけど、ブログに書く自信はまだなくて。今いただいたポジションをしっかり務めて結果を出してから、次は細かい目標を書きたいと思っています。
■「23歳を区切りにしよう」と決めていた理由
――今回は河田さんのセンター曲「言葉の限界」も収録されています。
河田:大事なシングルの中の1曲として制作していただいて、ありがたいです。二期生から四期生までの全員選抜というのもうれしくて。最初が自分のソロパートで、ドキドキしながら歌いました。
――山下さんは、河田さんの卒業を聞いたときはどう思いましたか?
山下:フォーメーション発表の前に、みんなの前で河田さんからお話があったんですけど、聞いたときは放心状態でした。河田さんは、おばあちゃんになっても、ずっと日向坂にいる気がしていて。だから「このタイミングなんだ」って…。もっといてほしかったですし、今も悲しくて仕方がないです。
――今の話を聞いて、河田さんは?
河田:寂しがってくれてうれしいです。みんなに伝える前はすごく緊張して「どんな顔で言えばいいんだろう?」と考えていました。フォーメーション発表の後に、山下先生がすぐ来てくれて、泣いてたから「嘘泣き?」って言っちゃったんですけど、すごく泣いてくれて、かわいいなって思いました。
山下:人生で初めてこんなに泣きました。
――同期の二期生はどんな反応でしたか?
河田:金村は「また私は何も知らなかった」って言ってました(笑)。富田(鈴花)のときも卒業を知らされていなくて、丹生(明里)ちゃんのときも、「金村が悲しむから」っていう理由で、丹生ちゃんは金村に事前に教えてなかったんです。金村だけじゃなくて、私も知らなかったんですけど。私も卒業した子以外には話していなかったので、「また私は何も知らなかった」って言ってました。
――金村さんらしいエピソードですね。卒業を具体的に考え始めたのは、いつ頃でしたか?
河田:「絶対的第六感」(2024年9月リリース)の少し前頃から考えていて、今のタイミングになりました。20歳で卒業することも考えて、相談したこともあったんですけど、大きなきっかけがあったというよりは、自分の中でじっくり考えて決めました。
――「23歳を区切りにしよう」と決めていたそうですが、23歳という年齢には理由が?
河田:同世代だと、大学を卒業して新卒として働き始める人も多い年齢なので、自分にとっても、いい区切りだと思っていました。
――決断するにあたって、迷いはありましたか?
河田:確かに迷いはあったんですけど、1度決めたら揺らがないタイプなんです。気持ちが揺らぐと、また決められなくなっちゃうだろうから、自分の中で気持ちをきっぱりと決めてから相談しました。
――山下さんは、加入前から河田さんのことが“推しメン”だったそうですが、3年間、共に活動して河田さんはどんな存在でしたか?
山下:本当に加入前の印象と変わらなくて、ほんわかされていて。
河田:(おにぎりを握るようなジェスチャーを見せて)
山下:あ、おにぎり! 河田さんがおにぎりの具の梅干しだとして、メンバーが白米だとすると…。ちょっと待って、うまく例えられない!
河田:頑張って!
山下:まあ…優しいおにぎりです。
河田:簡潔になった(笑)。
山下:おにぎりって、強く握れば固くなるし、優しすぎても崩れちゃう。河田さんは、そのちょうどいい塩梅(あんばい)を持っていて、その人に合わせて優しく包み込んでくれるんです。
――うまく着地しましたね(笑)。河田さんから見た山下さんは?
河田:山下先生は「河田さん元気ですか?」ってよく声をかけてくれるんです。本当にお姉さんなんですよ。
――お互いの言葉から、絆の深さが伝わってきます。ちなみに、河田さんは卒業後のことについては、どのように考えていますか?
河田:実はまだあまり考えてなくて…(笑)。山登りや旅に行ったり、友達と遊んだりしたいです。
――では、ひとまずはゆっくりすると。
河田:そうですね。少しのんびり過ごしたいなと思います。
■アイドル・河田陽菜に出会ってくれてありがとう
――卒業についていろいろと伺いましたが、河田さんと山下さんは『日向坂46のほっとひといき!』(TOKYO FM)で共演する仲でもあります。4月に山下さんが新たにパーソナリティーとして加入してから収録してみて、いかがですか?
河田:楽しいよね。
山下:アットホームなラジオです。私たち宇宙人なので。
――宇宙人?
河田:それずっと言ってるんですよ(笑)。
山下:私たちは宇宙人みたいに通じ合ってるんです。テレパシーで会話もできます。
――確かに聞いていても相性の良さを感じます。河田さんが珍しくツッコミというか、会話の軌道修正をする場面も多いですよね。
河田:思いがけない言葉が飛んでくるので(笑)。
――河田さんが卒業するまでに、番組でやってみたいことはありますか?
河田:生放送をみんなでやってみたいです。あ、でも危ないか(笑)。
山下:いや、大丈夫です!
河田:公開収録もやりたいねってずっと話してたんですけど、まだ実現できていなくて。挑戦してみたいです。
――まもなく9月20日からは日向坂46 ARENA TOUR 2025「MONSTER GROOVE」が始まります。どんなライブにしたいですか?
山下:前回の「BRAND NEW LIVE」では、温かい声をいただきました。今回もその期待を超えられるように「MONSTER GROOVE」というタイトルにふさわしい、モンスター級にレベルアップした姿をお見せしたいです。全国各地を回らせていただくので、初めて日向坂のライブに来てくれた方にも「また来たい」と思ってもらえるライブを目指したいです。おひさま(日向坂46ファン)の皆さまもモンスターになっていただいて、一緒に盛り上がっていきたいと思います。
――河田さんとツアー中にやっておきたいことはありますか?
山下:1つ夢があって、一緒の髪型でステージに立ちたいです。ポニーテールはよくするので、それ以外のおそろいのヘアスタイルで!
河田:いいね! やろうよ。
――河田さんにとっては最後のツアーです。
河田:広島や宮城など久しぶりに行ける場所もあってうれしくて。最後のツアーなので、素の自分や見せてこなかった部分まで、全部出し切りたいです。代々木の1日目には、卒業セレモニーもさせていただくんですけど、アイドルとしての最後のステージになるので、おひさまの皆さんの顔を頭に刻みつつ、すべての神経を研ぎ澄ませて挑みたいです。
――どんな卒業セレモニーにしたいですか?
河田:笑って終わりたいです。泣かないことを目標にして。振り返ると、オーディションのときはずっと泣いていたので、最後は泣かないっていうギャップで終わりたいんです。正直自信はないんですけど、落ち着いて冷静に臨みたいです。
――最後に、卒業までにはまだ少し早いですが、8年間の活動を振り返って、ファンの方へメッセージをお願いします。
河田:オーディションのときから応援してくださっている方も、最近好きになってくださった方もいて、本当に人生の宝物です。普通なら出会えなかった皆さんと巡り会えたのは、自分の人生プランにはなかったことで、奇跡のようで。
「アイドルの河田陽菜と出会ってくれて本当にありがとう」という気持ちでいっぱいです。皆さんに恩返しができるよう、いただいたパワーを力に変えて、最後まで頑張ります。
(取材・文:堀タツヤ 写真:小川遼)