ナチスの医師ヨーゼフ・メンゲレの知られざる日々と心の深淵を描いた映画『The Disappearance of Josef Mengele(英題)』が、邦題を『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』として、東京・シネマート新宿、シネスイッチ銀座ほかにて2026年2月27日より全国公開されることが決定。併せて、ポスタービジュアル、メインカットが解禁。

キリル・セレブレン二コフ監督からのメッセージも到着した。

【写真】アウグスト・ディールが“死の天使”と呼ばれた医師ヨーゼフ・メンゲレを熱演!

 フランスで最も権威ある文学賞の一つであるルノードー賞を受賞したオリヴィエ・ゲーズの世界的ベストセラー小説「ヨーゼフ・メンゲレの逃亡」(東京創元社・創元ライブラリ刊)を、『LETO ‐レト‐』『チャイコフスキーの妻』『リモノフ』などの鬼才キリル・セレブレン二コフ監督が完全映像化。人間の“悪の本質”と戦争責任を鋭く問いかけるこの衝撃作は、本年度のカンヌ映画祭で絶賛された。

 第二次世界大戦中、アウシュヴィッツ収容所で、“死の天使”と呼ばれた医師ヨーゼフ・メンゲレ(アウグスト・ディール)。かっちりと制服を着こみ、常に微笑みを絶やさない彼は、傍目には物腰の柔らかな人物に見えた。しかし、一方で、この男は後年“ナチスが生み出した最大の悪”と形容される、恐るべき所業を行っていた。

 人類学者でもあったメンゲレは優生学に取り憑かれ、子供―特に双子たちに想像を絶する実験を重ね、ユダヤ人やナチスによって「非社会的」分子とみなされた人々を選別し、不要とみなした人間を次々にガス室へ送り込んだ。

 終戦後、メンゲレはヨーロッパと南米を結ぶ極秘ルート、通称“ラットライン”を使って逃亡。アルゼンチン、パラグアイ、ブラジルと国を渡り歩き、複数の偽名を使いながら30年間にわたり己の罪から逃れ続けた。

 本作はメンゲレの潜伏生活に焦点をあて、息子との対話、モサドによる追跡を交錯させながら、アウシュヴィッツ収容所での過去はカラーで、現在はモノクロ映像で、ナチズムに支配された男の狂気を冷徹に浮かび上がらせる。

 解禁されたポスタービジュアルは、逃亡中のヨーゼフ・メンゲレが鏡の前で怪訝な面持ちで佇んでいる瞬間を切り取ったもの。室内は白黒で表現されているが、鏡の中に映り込むメンゲレの姿はかつての栄光を思わせるかのように彩られている。
だが、実体である肉体とタイトルロゴは罪の追跡を逃れ続ける彼自身を表すようにぼやけて消えていくのだ。本作でヨーゼフ・メンゲレを演じたアウグスト・ディールの鬼気迫る演技と圧倒的な存在感は評論家や各映画祭で絶賛された。

 また、日本公開決定に際して、キリル・セレブレン二コフ監督から特別に日本の観客へメッセージが届いた。

 何度も日本を訪れ、日本の文化に深い興味を持つ監督は「『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』が日本で上映されることは私にとって嬉しく、非常に光栄なことです。本作は謎多きナチスの医師ヨーゼフ・メンゲレという人物に焦点をあてます。彼は第二次世界大戦中で最も凶悪な戦争犯罪者の一人でありながら、30年もの間、罰から逃れ続けました。逃亡先で名前を変え、他人として生きる――おそらくこれが、ナチスの高官であったメンゲレにとって一番の屈辱だったでしょう。本作は、戦争によって魂を破壊された人間の内面では一体何が起こるのか?を描いているのです」と語っている。

 映画『死の天使 ヨーゼフ・メンゲレ』は、2026年2月27日より全国公開。

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