フィギュアスケートへの強い夢を胸に秘めた少女・結束いのりが、コーチ・明浦路司と出会い、栄光の頂を目指して羽ばたいていく物語『メダリスト』。第2期OP主題歌「Cold Night」は、自己否定や迷いと向き合いながらも前へ進もうとする“心の炎”を描いた一曲だ。

この楽曲を歌う7人組ガールズグループ・HANAから、今回はCHIKA、MOMOKA、NAOKO、YURIの4名にインタビューを実施。作品との出会いの印象や、歌詞と自身の経験が重なる瞬間を通して、夢を追い続けることの厳しさと尊さ、そして今この場所に立つ想いが、4人の言葉から鮮やかに浮かび上がる。

【写真】HANAメンバー、個性際立つソロカット(7枚)

■小学生が“本気で夢を追う”という衝撃

――『メダリスト』という作品に触れた第一印象を教えてください。

YURI:まず、フィギュアスケートを題材にした作品をこれまであまり見たことがなかったので、そこがすごく新鮮でした。技の違いって、正直、素人だと見ているだけではなかなか分からない部分もあると思うのですが、本作は、そうした細かい部分まで“見せ方”が工夫されていて、見ていてとても面白かったです。

それに、いのりちゃんをはじめ登場するキャラクターたちが本当に人間味があって。それぞれに違う性格や考え方があって、「こういう子もいるよね」「いろんな価値観があるよね」と思わせてくれるんです。一つの方向からだけじゃなく、いろんな視点で物事を見る大切さも感じました。

CHIKA:私はテレビでフィギュアスケートを観ることはあったんですけど、改めて「こんなに小さい頃からこの世界に挑んでいるんだ」と思って、すごく衝撃を受けました。いのりちゃんは作中では“遅いスタート”と言われていますが、それでもまだ小学生なんです。

もっと早い時期から厳しい世界にいる子たちのドラマもあるんだろうなと思うと、本当にすごい世界だな、と。あそこまで本気で夢に向かって頑張っている姿を見て、シンプルに「すごい!」と心から思いました。


NAOKO:こんなに早い段階から夢について考えて、将来に向かって本気で挑んでいること自体が、もうすでにすごいなって。オリンピックで金メダルを取りたい、という大きな夢に向かって、結果がどうなるか関係なく必死に努力する姿を描くことで、見ている人にも「夢を持つこと」の尊さが伝わる作品だと思いました。

将来のことを考えて不安になっている人や、迷っている人の背中を、きっとそっと押してくれる。そんな作品だと感じました。

MOMOKA:子どもの頃って、どうしても親の意向や教育方針に影響されることが多いと思うんです。私自身も、テストでいい点を取ると褒めてもらえるから塾に行く、というような環境で育ってきて、その根本には「親に認めてもらいたい」という気持ちがありました。

でも『メダリスト』を見ていると、いのりちゃんの“自分が本当にやりたいこと”に対する熱量がものすごく伝わってきて。私が「ダンスをやりたい」と言った時も、「それって仕事になるの?」と言われながら、それでも「好きだから、楽しいからやりたい」と伝えたことを思い出しました。

好きなことに本気で向き合えることって、やっぱり人生にとってすごく大切なことなんだと、改めて気づかせてもらいました。

■「Cold Night」に重なったHANAのリアル

――「Cold Night」の歌詞には自己否定の記憶や、それでも立ち上がる力が描かれていますが、皆さんご自身の経験と重なる部分はありますか?

MOMOKA:活動を続けていると、どうしてもいろんな意見が目に入ってきます。その一つひとつに応えようとして、自分をよく見せたい気持ちが強くなりすぎてしまった時期がありました。本当は答えなくてもいいことまで、誰かが持つ“理想”に近づこうとしてしまって、それがすごく苦しくて……。


でも、そんな時にメンバーが「上手だよ」「大丈夫だよ」と自然に声をかけてくれたんです。その優しさに救われたことで、「自分の理想は自分で決めていいんだ」と思えるようになりました。まずは信頼できる人の温かい言葉を受け止めること。そこから、自分が頑張れる環境に身を置く大切さを学びました。

NAOKO:私は、自分のミスや思い描いていた目標に届かなかった時に、ものすごく落ち込んでしまうタイプなんです。「もっとできるはずなのに」「もっと届けたいのに」と焦る気持ちが強くて、自分を疑ってしまう瞬間も多かった。

そんな時に押し寄せてきた不安は、本当に言葉にできないものでした。でも、時間がたつと「意外と気にしなくてよかったんだな」と思えるようになって、自分を苦しめすぎるのはもったいないと気づいたんです。

私の場合は音楽が光になってくれました。だから、みんなも何か好きなものや心が救われるものがあるなら、迷わずそっちへ進んでほしい。きっとそれが、自分を立ち上がらせてくれる力になると思います。

CHIKA:私はアーティストとしてというより、社会人としての壁に悩んだことが大きくて……。
特にコミュニケーションですね。自分の言葉がこんな風に受け取られるんだ、と驚くことが多かったんです。

地元では普通に伝わっていた言葉が、環境が変わると全然伝わらない。気をつけなきゃいけない言葉遣いも増えて、「自分の発言ってこんなに重いんだ」と必要以上に感じてしまっていました。悩みすぎて黙り込んでしまう時期もあったのですが、その経験があったからこそ、今の自分のスタイルや距離感を丁寧に考えるようになりました。

YURI:私は「自分の魅力ってなんだろう」と分からなくなった時期がありました。周りのメンバーはそれぞれ強みがあって、自分だけが“どう見せればいいのか”分からなくて苦しかった。

でも、相談をする前からメンバーが「YURIはそのままでいいよ」と言ってくれて……。自分が気づいていない部分を、誰かがちゃんと見てくれている。その事実がすごく大きな安心に繋がりました。「必要とされている」と実感できたあの瞬間は、今でも心に深く残っています。

■「私の“火”はHANA」7人で燃やし続ける原動力

――「I’ve got nothing but this fire(この火だけがある)」という歌詞の“火”をご自身に当てはめると?

CHIKA:私にとっての“火”は、HANAというグループそのものです。
最終審査でKアリーナ横浜のステージに立ち、フェスやMVなど、たくさんの経験を積んできた7人の中に、今の私がいる。その事実が、ものすごく大きなモチベーションになっています。

ひとりでは絶対に出せなかったパワーも、メンバーがいるからこそ引き出される。「私も負けていられない」と思える瞬間が何度もあって、そのたびにパフォーマンスへの熱が爆発していく感覚があるんです。この熱こそが、私の“火”だと思っています。

YURI:私の“火”も、やっぱり7人のメンバーです。映像を見返して「え、みんなやばくない?」って言いながら、爆笑しながら自分たちのパフォーマンスを見る時間も含めて(笑)、全部が原動力になっています。

それに、すごく現実的な話をすると(笑)、好きなものを食べて、好きなものを買って、ちゃんと日常を楽しめることも大事なモチベーションです。ステージ上の“火”と、日常の“楽しさ”の両方が、私を前に進ませてくれています。

MOMOKA:私にとっての“火”は、「真っ当に音楽をやっている自分でいられている」という実感です。デビューから今まで、この道を覚悟を持って歩いてきた。その自負が、何を言われても揺るがない自分を支えてくれています。


この1年でたくさんのイベントや音楽番組に出演させていただいて、「私はちゃんと夢を叶えている」と実感できた今、ようやく“私はこの道を外れない”と心から言えるようになりました。その確信こそが、今の私の“火”です。

NAOKO:私の“火”は、音楽そのものです。昔、タイから日本に来たばかりの頃、「自分って人と違うのかもしれない」と悩んで、誰にも言えずに苦しんでいた時期がありました。そんな時に救ってくれたのが、音楽でした。

いろんな曲を聴いて、いろんな感情に触れる中で、「人と違ってもいいし、自分にもいろんな姿があるんだ」と思えるようになって。伝えきれない気持ちをどうにか形にしたくて、ダンスを始めたのもその頃です。その音楽を“仕事”として続けられている今が、本当に嬉しくて。私にとっての“火”は、ずっと変わらず“音楽”です。

(取材・文:吉野庫之介)

 テレビアニメ『メダリスト』第2期は、テレビ朝日系全国24局ネット「NUMAnimation」枠ほかにて、毎週土曜深夜1時30分から放送。

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