小さな息づかいや、言葉にならない感情の揺れまで丁寧に描いてきた『僕の心のヤバイやつ』。自分に自信が持てない少年・市川京太郎と、明るさの奥に繊細さを秘めた少女・山田杏奈が、少しずつ心の距離を縮めていく物語は、多くの共感とときめきを集めてきた。
【動画】堀江瞬×羊宮妃那、劇場版『僕ヤバ』を語る 想いあふれる収録秘話
■小さな息づかいまで届く場所へ――『僕ヤバ』が劇場で開く、新しい扉
――テレビシリーズから続く『僕ヤバ』が、劇場版という形で届けられることについて、あらためて今のお気持ちをお聞かせください。
堀江:正直、テレビシリーズのアフレコをしていた頃は、この物語を“劇場で”届けられる日が来るなんて、まったく想像していませんでした。だからこそ、いまは本当にうれしいサプライズ、という感覚が一番近いです。
この作品って、音へのこだわりがものすごく深いんですよね。たとえば、ふと息が漏れるときの「ひゅっ」という小さな音。ほかの作品だったらノイズとして処理されてしまうような部分まで、丁寧に拾い上げて、感情として音に落とし込んでいる。
それを劇場の大きなスピーカーで聴いたとき、きっと細部まで余すところなく届くんだろうなと思うんです。1から100まで、『僕ヤバ』の魅力を丸ごと体感できる場所が“劇場”なんだろうなって。
実は、まだこのタイミングでは劇場で観られていないんですけど……いざ観るときは、そういう繊細な音や感情の揺れを、全身で受け取れるんだろうなと思うと、今からすごくワクワクしています。
羊宮:やっぱり、あの物語を劇場の大きなスクリーンで観られるというだけで、とても特別なことだなって感じます。
もともとテレビアニメ作品としてオーディションを受けていたので、まさかこうして劇場版まで、みんなで一緒に辿り着けるとは思っていませんでした。だからこそ、ここまで作品を育ててくださったファンの皆さんの存在が、本当に大きいなと感じています。
応援してくださった一人ひとりの気持ちが積み重なって、いま、この劇場版がある。そのことを噛みしめながら、スクリーンで『僕ヤバ』が広がる瞬間を、私自身も大切に受け止めたいです。
――先ほど「音へのこだわり」というお話もありましたが、市川の感情を表現するうえで、堀江さんが特に大切にされていた点を教えてください。
堀江:第1期の序盤は、特にモノローグが多かったので、そこはかなり意識していました。モノローグばかりが続いたときに、聞いている方が飽きてしまわないか、あるいは少ししんどく感じてしまわないか……その“塩梅”を常に考えながら演じていたと思います。
会話のシーンでは、なるべく作り込まずに、僕たちが普段話しているような、ごく自然な間やテンポを大切にしていました。でも、それをそのままモノローグに当てはめてしまうと、逆に平坦に聞こえてしまう可能性がある。
だからモノローグでは、あえて抑揚をつけて、少し“アニメらしさ”を意識したお芝居をしていました。内面の言葉だからこそ、感情の揺れがちゃんと伝わるように。
――山田は明るい印象の一方で、内側にとても繊細な感情を抱えているキャラクターだと思いますが、演じるうえでどのような点を大切にされていましたか。
羊宮:今おっしゃっていただいたように、杏奈ちゃんって、実はすごく繊細で、いろいろなことをちゃんと考えている子なんですよね。なので、「ここはきっと、こういう気持ちで行動しているんだろうな」と感じられる部分については、その意図を丁寧に汲み取りながらお芝居をしていました。
一方で、急にぱっと明るくなる瞬間も、杏奈ちゃんの大きな魅力だと思っていて。あれは“演じて作る明るさ”というよりも、感情が解放された結果として自然にあふれてくるものなんじゃないかなと感じていたんです。
だからこそ、そういう場面では、あえて声色を作り込まないようにしていました。その場で生まれた感情が、そのまま声になるように。「意識しないことを意識する」、そんな感覚で向き合っていた気がします。
■劇場版『僕ヤバ』がくれる、やさしい余韻
――お互いのキャラクターについて、あらためて「ここが本当に魅力的だな」と感じているポイントを教えてください。
堀江:山田って、ぱっと見は天真爛漫で、誰に対しても朗らかな印象があるんですけど、実はすごく繊細で、泣き虫なところがある。
外から見ると、誰にでも平等に明るく接しているように見えるのに、そういう弱い部分は市川にしか見せない。その“特別感”が、すごく魅力的なんですよね。
見た目も可愛くて、モデルの仕事もしていて、どこか高嶺の花のように見えるけれど、物語を追っていくと、実はごく普通の中学生で、恋をしている女の子なんだなっていうのが、いろんな場面から伝わってくる。その一生懸命さというか、健気さが本当に愛おしくて……内面まで含めて、とても可愛いキャラクターだなと思います。
羊宮:市川くんは、やっぱり「優しさ」が一番印象的な子だなって思います。本来なら、自分をよく見せたい方向に行動してもおかしくない年頃だと思うんですけど、市川くんはいつも、「相手が本当に喜ぶことは何だろう」とか、「その人にとって一番いい選択は何だろう」というところを軸に考えている。そこが、すごく優しいなって感じます。
でも、最初からそれができていたわけじゃない、というところも大切で。意地になって突っぱねてしまったり、自分が傷つかないように、一度考えることをやめてしまったり……そういう不器用な瞬間もちゃんと描かれている。
それでも、そこから逃げずに向き合って、少しずつ歩み寄っていく。相手に“届く優しさ”を、ちゃんと育てていけるところが、市川くんの本当に素敵なところだなと思います。
――物語が進むにつれて、現場の空気やお互いの芝居に対する感じ方に、変化を感じた瞬間はありましたか。
羊宮:最初の頃は、杏奈ちゃんが市川くんのことをどんどんかき乱していく立場だったので、正直、そこまで強く意識することはなかったんです。でも物語が進んで、杏奈ちゃん自身が市川くんのことを「好きだな」と感じ始めたあたりから、空気が変わっていったなと思っていて。
杏奈ちゃんの視点で見ると、「ここが決めシーンだ」と感じる瞬間が、少しずつ生まれてくるんですよね。その一つひとつのシーンが持つ破壊力というか、感情の強さは、台本だけでなく、現場の空気からも伝わってくるものがあって。演じている私自身も、自然と心を引っ張られていく感覚がありました。
堀江:これはいろんなところでお話ししているんですけど、羊宮さんって、本当に日々進化されている役者さんだなと、マイク前で隣に立っていて強く感じるんです。
第1期の時点でもすでに素晴らしかったんですけど、第2期の1話のアフレコのときには、「あ、さらにレベルアップしているな」とはっきり実感しました。この現場だけじゃなく、いろんな現場を重ねてきたうえで、今ここに立っているんだな、というのが伝わってきたんですよね。
ただ、それは羊宮さんだけじゃなくて、他のキャストの皆さんも同じですし、僕自身も「今出せる最大のものを」という気持ちで、常にマイク前に立っていました。みんなが同じ方向を向いて、一つの作品に向かい続けていた。
――今回の劇場版は、初めて『僕ヤバ』に触れる方にとっても入り口になる作品だと思いますが、そうした方にまず注目してほしいポイントを教えてください。
堀江:もう本当に、この二人の空気感にキュンキュンしてもらえれば。その一言に尽きると思います。テレビシリーズを観ていないことを、まったく引け目に感じなくて大丈夫です。むしろ、そういう方にこそ観てほしい作品かもしれません。とても間口が広く作られているので、気負わずに劇場に足を運んでいただけたら嬉しいですね。
市川と山田、二人の距離感にときめきながら、そして、おねえ(市川香菜)役の田村ゆかりさんの歌声も、ぜひ楽しんでいただけたらと思います。
羊宮:言わずもがなですが、映像も、光も、音も、本当に素敵な作品です。まずは、映画館ならではの体験として、その空気感を味わっていただけたら嬉しいなと思います。
それと、市川くんというキャラクターは、「アニメだから格好よく描かれている」わけではないんですよね。自分に自信が持てなかったり、周りの世界が眩しく見えたり。
「自分だったら、こうできるかな」「こういう考え方、素敵だな」そんなふうに、観てくださった方それぞれの中に、何かが残る作品になっていたら嬉しいです。
(取材・文・写真:吉野庫之介)
劇場版『僕の心のヤバイやつ』は、2月13日より全国公開。
![【Amazon.co.jp限定】ワンピース・オン・アイス ~エピソード・オブ・アラバスタ~ *Blu-ray(特典:主要キャストL判ブロマイド10枚セット *Amazon限定絵柄) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Nen9ZSvML._SL500_.jpg)
![【Amazon.co.jp限定】鬼太郎誕生 ゲゲゲの謎 豪華版Blu-ray(描き下ろしアクリルジオラマスタンド&描き下ろしマイクロファイバーミニハンカチ&メーカー特典:谷田部透湖描き下ろしビジュアルカード(A6サイズ)付) [Blu-ray]](https://m.media-amazon.com/images/I/51Y3-bul73L._SL500_.jpg)








