「完結したはずなのに、また会える」。そんな奇跡みたいな出来事が、『銀魂』には平然と起こる。

2009年に放送された人気長編「吉原炎上篇」が、新たなスタッフ陣と完全新作画で『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』としてスクリーンで大暴れ! そこには“今の『銀魂』”だからこそ描けた新しい視点と、変わらない熱があった。坂田銀時役・杉田智和、志村新八役・阪口大助、神楽役・釘宮理恵の3人に、制作決定時の衝撃から、現場に宿る信頼、そして「人生の選択」まで――笑って胸が熱くなる“チーム『銀魂』”の今を語ってもらった。

【動画】万事屋キャスト陣が『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』を語る!

■「絶対ドッキリだろ」から始まった、吉原炎上篇の“再点火”

――テレビシリーズとしては2009年に放送された「吉原炎上篇」ですが、新劇場版としての制作を知った際の率直な気持ちは?

杉田:バンダイナムコピクチャーズの偉い人たちに「会社行くから」と急に言われて、まず「キャスト変わるやつか?」と思ったんですよ(笑)。でも来たのは「劇場版で『吉原炎上篇』を新体制・完全新作画で映画化します」という話で、全然信じられなくて。「絶対ドッキリだろ」って。

阪口:手の込んだドッキリだな(笑)。

杉田:「これ、『喰◯-零-』みたいに蓋を開けたら全然違うキャラにならないですか?」と確認しても「違う」と言われて。それでも疑ってたんですけど、阪口さんに「偉い人、来ました?」って聞いたら「来たよ」って返ってきて、「あ、本当にやるんだ……」ってやっと実感が湧きました。

阪口:僕はもう映画『銀魂 THE FINAL』(2021年)で完結したと思っていたので、「まだFINALし足りないのか……」って(笑)。本当にやるのかな?って思いましたね。で、聞けば「吉原炎上篇を映画化する」みたいな話じゃないですか。だから杉田くんと同じく、最初は信じられなくて……「何が起きてるんだろう?」という感覚が強かったです。
でもバタバタしてるうちに台本をもらって、「あ、やるんだな」って。そこでようやく実感が湧いてきた感じでした。

釘宮:私も、最初は信じられなくて。お話を伺った時から「数年後にやります」というスケジュールだったので、実感としてもかなり未来のことというか……ピンと来なかったんです。なんだか不思議すぎて、ずっと「本当かな?」と思っていました。

――新劇場版では原作やテレビシリーズにはないオリジナル要素が追加されていますね。

杉田:PVでも出ていますけど、あの時「真選組や桂って何してたの?」という別の視点が描かれてるんですよね。

阪口:あと新キャラも出てくるんですけど、それがまた違和感なくて。「こういう人、いたんだろうな」って素直に思えるくらい自然なんですよ。

釘宮:本当に驚くくらい馴染んでいましたよね。原作やテレビシリーズでは、たまたまカメラが当たらなかっただけで、同じ時間の中でみんながこうして過ごしていたんだなと感じられる作りになっていて。その“絡み方”がすごく自然だなと思いました。


■悪い緊張感なんていらない――“入りやすい現場”が育てた強さ

――鳳仙という強敵に立ち向かう中で、改めて「万事屋の絆」を感じた瞬間を教えてください。

阪口:もう、信じきってる感じですよね。お互いの信頼感というか……「次会う時は陽の下で」って言えてしまう3人でいられるのは、やっぱり強いなって思います。

――杉田さん、釘宮さんはいかがですか?

杉田:こういう時、よく「意識の高いコメント」を求められるじゃないですか。うまく言語化できないと「この作品に出ちゃいけない」みたいな空気になることもあるような気がして。

釘宮:私も苦手です(笑)。

杉田:でも、『銀魂』の現場にはそういう“悪い緊張感”がないんですよね。持ち込ませない空気がちゃんとある。……って言いつつ、実は最初の頃、それを一番思い込んでたのは僕自身だったんです。当時はまだ若手だったし、「期待に応えなきゃ」「早く結果を出さなきゃ」って、余計な力が入りまくってて。だからこそ、現場には“わかりやすくて入りやすい空気”が、すごく大事だったんだと思います。

あと『銀魂』って、ネガティブすらプラスに変えるじゃないですか。
考えてみてくださいよ、「終わる終わる詐欺」とか、今回の「吉原大炎上」とか……よくこんな名前付けたなって(笑)。そういう“作品の長所”が自然に積み重なって、強さが集まって力になる。その感覚はずっとありましたね。

――長くご一緒してきた今、キャスト陣やスタッフのみなさんとの関係性の変化を感じることはありますか?

釘宮:この3人に関しては、新人の頃から一緒の現場になることが多くて。この座組になってからも長いので、とりわけ親しいですし、信頼感も安心感もすごくあります。別の現場で会ったとしても、なんだかほっこりします。

杉田:苦労を分かち合ってきた間柄なんですよね。たとえば、別の吹き替えの現場で釘宮さんと一緒になった時も、名前を見た瞬間に「助かる、頼りになる」って安心しました。

阪口:真選組のメンバーとか、他のキャストに会っても「おっ!」ってなるよね。

杉田:新しい関係性という意味では、今作のガヤやモブを演じる役者さんは新たにキャスティングされているんですよ。「『銀魂』を見て育った」「好きで入ってきた」世代なんですよね。そこは昔と明確に違います。
そしてこの作品では、それがすごく良い方向に働くんです。作画のスタッフさんや監督さんも含めて、「好きで関わっている」空気が現場にあるのは、昔にはなかった温かさかもしれないです。

阪口:長く続けてきたからこそ、そういう形になってるんだろうね。

■「人生は重要な選択の連続」3人が語るターニングポイント

――「吉原炎上篇」で特に印象に残っている名ゼリフはありますか?

杉田:じゃあ、みなさんの選んだ名ゼリフをこちらの宛先まで。

阪口:なんで視聴者に頼るんだ(笑)。

杉田:だって僕ら、もう20年近く言い続けてるじゃないですか。いい加減、他の人がどう思ってるのか気になってきたんですよ。

阪口:どう見えてるんだろうなっていうのは、たしかに気になる。

釘宮:名ゼリフが本当に多すぎて、私も資料をいただいて見たのですが……「銀ちゃん、すごくいいこと言ってるな」と思ったら、その後もまた「銀ちゃん、いいこと言ってるな」って続いて(笑)。どれが名ゼリフというより、もう全部そうなのかなと思いながら見ていました。

杉田:同じ嘔吐は二度ないですから。

釘宮:エモくない(笑)。


阪口:そうか、求められているのはエモさか!

杉田:厳しい! もう許してください!

阪口:名ゼリフの嵐ですよ、本当に。

杉田:なのでみなさん、こちらの宛先に。

阪口:だから視聴者に頼るなよ!(笑)

――(笑)。では、テレビシリーズでサブタイトルにもなっていた阿伏兎の名ゼリフ「人生は重要な選択の連続」にちなんで、みなさんが「この選択をして良かった」と感じる人生のターニングポイントを教えてください。

阪口:僕はもう、この仕事に就いたことですね。おかげでモビル◯ーツに乗ることができて……あ、モビル◯ーツって言っちゃったな(笑)。あのタイミングで声優になって、本当に良かったと思っています。

杉田:本当に、そういうことの連続なんですよね。でも、結果論でもあるじゃないですか。実は去年くらいに、「本当にこれでよかったのかな」と方向性に迷ったことがあって。そんな時に阪口さんから、急に「ジーク◯クス観に行こう」って連絡が来まして。

それで「あ、これでいいんだ」ってなったんですよね。
直接、答えをもらったわけじゃないのに、全然違うところから遠回しに解決していく感じが、すごいなと思って。結局ずっと、“選択の連続”だったなと。良いか悪いかは自分で決めなきゃいけないけど、決めきれないことだってある。そういうものだと思います。

釘宮:私も、声優になるために雑誌で開催されていたオーディションに応募したんですけど……あれは本当に「応募してよかったな」と思います。あの時の勢いとタイミングが、うまく合致したのかなって。

阪口:でも、そういうことですよね。僕も声優になるのが1年遅れていたら、モビル◯ーツに乗れてない。

杉田:そうなりますよね。

阪口:結局、タイミングといろんなものの結果なんですよ。本当に。

――最後に、ファンのみなさんへメッセージをお願いします。

杉田:『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』、ぜひ繰り返しご覧になってください。当時とは違った視点を持った“今の自分”に気がつく瞬間が、きっとあると思います。今日の自分は二度と来ないので、そのたびに新しい発見をしてもらえたら嬉しいです。今後ともよろしくお願いします。

阪口:新しい要素もたくさん加わっているので、当時ご覧になっていた方にも、すごく楽しんでもらえる仕上がりになっていると思います。そして「吉原炎上篇」自体が、『銀魂』の面白さをぎゅっと詰めこんだ長編でもあるので、ご新規の方にもぜひ劇場で何度でも『銀魂』を浴びていただけたら嬉しいです。

釘宮:『銀魂』がFINALしてからの完全新作という意味では、本当にすごいミラクルが起きているなと思っていて……今は喜びと幸せな気持ちでいっぱいです。みなさんにも悔いのないように、何度でも劇場に足を運んでいただいて、“今の『銀魂』”を思いきり浴びて楽しんでいただけたら何よりです。よろしくお願いいたします。

(取材・文・写真:吉野庫之介)

 『新劇場版 銀魂 -吉原大炎上-』は、全国公開中。

編集部おすすめ