シリーズ累計発行部数650万部突破の同名作を実写映画化した『鬼の花嫁』が、3月27日より公開される。人間とあやかしが共存する世界を舞台に、あやかしの頂点に立つ“鬼”の一族の次期当主・鬼龍院玲夜と、運命で選ばれた人間の花嫁・東雲柚子のラブストーリーを、ドラマ『40までにしたい10のこと』や映画『九龍ジェネリックロマンス』の池田千尋監督が丁寧に描く。
【写真】玲夜(永瀬廉)の重すぎる愛が、柚子(吉川愛)の強さへと変わる 場面写真ギャラリー
■互いの魅力…永瀬廉は「どこにいても“画になる”」&吉川愛の「儚さが見どころ」
――初対面の印象と、撮影が始まってから気づいた意外な一面や新しく知ったことはありますか?
永瀬廉(以下、永瀬):いい意味で飾らない方なのかなという印象でした。本読みの段階から、思ってることが体に出るタイプなのかなって感じていて。実際に共演してみても、わりとそのままのイメージでした。感情を体で表現する方だなと。うれしいときは飛び跳ねたりとか、今日ちょっと(撮影が)巻いてるよって聞くと素直に喜んだりとか。
吉川愛(以下、吉川):テレビで見ていた印象だと、クールな方なのかなと思っていたのですが、実際にお会いするととても話しやすい方で安心しました。
――永瀬さんが演じられたからこその玲夜の魅力と、吉川さんが演じられたからこその柚子の魅力を、1番近くで見ていたお二人の目線から教えてください。
永瀬:柚子って映画の中で本当に笑顔が少なくて、心から笑えるシーンも多くはないんですよね。今にも消えてしまいそうというか、生きることへの活力があまり感じられないような状態に見えるというか。
でも、吉川さんが「自分には儚さがない」と心配していた記憶があるんですけど、全然そんなことなくて。特にポスターの写真やダンスのシーンで向き合う瞬間とか、玲夜として柚子といろいろな時間を過ごす中で、その儚さをとても感じていました。そこが見どころになると思います。
吉川:私は、本当にどこにいても“画になる”と思っていて。普段の衣装でも、このダンスシーンの袴でも、どんな場面でも画になるんです。玲夜は鬼の中でも一番位が高い存在という設定なのですが、その頂点に立つ存在としての“画”が本当に綺麗だなと思って見ていました。
――劇中で特に印象に残ったシーンを教えていただけますか。
永瀬:ラストシーンですね。いろいろなことを乗り越えた先のシーンで、玲夜にとって柚子からの初めての言葉があったり、とても大きい瞬間で。途中で雪が降ってくるというハプニングもあったんですが、無事に撮りきれたという意味でも印象に残っています。
吉川:私は歩道橋のシーンです。絶対に忘れられないです。実はクランクインの日で、最初のシーンが柚子ちゃんの心が一番どん底に落ちている状態のシーンだったんです。
歩道橋から飛び降りようとして玲夜に助けられる場面なのですが、家族関係がうまくいかず、感情的にも追い込まれていないといけないシーンで、まだ家族とも会えていない状態だったので演じるのは大変でした。何度も台本を読んでとことん自分を追い込んで臨みました。一番頑張ったところでもありますし、乗り越えたシーンでもあるので一番好きなシーンかもしれません。
――永瀬さんは、吉川さんの奮闘をご覧になっていかがでしたか?
永瀬:ちょっと他人事みたいになっちゃうんですけど、とても大変そうでした(笑)。
吉川:あはは(笑)。
永瀬:いろんな事情があるとは思うんですけど、なんでこのスケジュールなんだろうって(笑)。でも逆に、玲夜と柚子にとっても初めての出会いのシーンだったので、お芝居としても初めてという状況が重なって、ある意味よかったのかなとも思います。寒い中で長時間の撮影でしたが、二人で頑張れたと思います。
■役との共通点は? 永瀬廉「玲夜ほど重くはないです(笑)」&吉川愛「芯が強いところは似ているかも」
――ご自身の演じた役の魅力や、自分と似ていると感じた部分があれば教えてください。
永瀬:玲夜は小さい頃から当主になることを宿命づけられて生きてきた人物で、いろいろな感情を押し殺してきたんだろうなという生い立ちがあります。その影響もあって、クールだったり冷徹だったりという印象を持たれがちなんですが、柚子と出会ってからの玲夜の変化がおもしろくて。言動も含めて「こういうことするんだ」「愛、重(おも)」みたいな(笑)。ちょっと不器用さも感じるところがかわいらしくて魅力的だなと思います。
――ご自身と重なる部分はありますか。
永瀬:うーん、でも、自分が大事だと思う人に対してまっすぐなところは似ているのかなと思います。
――愛が重いところも?
永瀬:玲夜ほど重くはないです(笑)。でも、まっすぐなところは似てるなと思います。
――吉川さんはいかがですか?
吉川:家族にいろんなことを言われてもめげない柚子はとてもかっこいいなと思います。芯がとても強い女の子だなと感じました。そこは自分と共通している部分かもしれません。
――吉川さん自身も芯の強さはある方ですか?
吉川:ある方だと思います。
――その上で、お二人が演じる上で意識したことなどはありますか。
永瀬:鬼だからというものは全くないですけど、やっぱり立場ですよね。玲夜は次期当主で、しっかり教育を受けてきた人物なので。見え方や姿勢、所作は意識しました。ゆっくり丁寧に動くことを大事にしていました。
――吉川さんは意識されたことはありますか?
吉川:私は家族の存在がとても大事になってくる作品だなと、本を読んだときに感じました。初めて監督とお会いした時に、「妹(花梨)との距離感が一番大事なのではないかと思います」とお話しました。そうしたら監督もとても納得してくださって、「じゃあここは台詞を変えてみるね」とか「もっとやりやすい方法はある?」とか、たくさん話し合ってくださって。柚子という人物は家族の存在があってこそできあがっていくと思っていたので、そこは監督ととても慎重に作っていきました。
――玲夜の“愛が重い”という話もありましたが、演じながら驚いた玲夜の行動やセリフはありますか。
永瀬:柚子への斬新なプレゼントもそうですが、大学を辞めさせようとしたのはびっくりしました。しかも大学に連絡済み(笑)。
――吉川さんはいかがですか。
吉川:柚子の家族に対して玲夜がズバッと言うところは驚きました。
永瀬:柚子のご両親に向かって「害悪」って言い切ってましたからね(笑)。
吉川:ズバッと (笑)。その後の展開も含めて、玲夜ってすごいなと思うシーンが多々あるのですが、そこが一番面白かったです。
――玲夜は柚子を一生守り抜くと決意しますが、お二人が「一生愛し続けられる」と自信を持って言えるものはありますか?
永瀬:服ですね。休みがあったらまず買い物に行こう、服を買いに行こうってなるので。ずっといろいろな服を着ていたいです。
吉川:私はユッケ探し。ユッケが大好物です。
■永瀬廉&吉川愛が守りたいもの
――玲夜も柚子も、それぞれ相手を守りたい気持ちが強く伝わってきました。お二人が実際に守りたい信念や思いがあれば教えてください。
永瀬:僕は友達もそうですし、スタッフ、メンバー、ファンの方たちを大切にしたいですね。普段の生活も仕事も、いろいろな方の力を借りて成り立っていると感じることが多いので。自分一人ではできないことがたくさんあると実感しています。だからこそ、支えてくれる周りの方に感謝しながら大切にしていきたいと思っています。
――どんな時にファンの方の力を感じますか?
永瀬:グループの仕事や個人の仕事をしたときに、「見に行ったよ」とかリアクションをいただいたときですね。あとはやっぱりライブです。一番熱を感じる場です。こういう方々に支えてもらっているんだなと実感できる瞬間が多い職業だと思うので、そういうときに改めて大切にしないといけないなと思います。
――永瀬さんは今回、あやかしの頂点に立つ人物という役柄ですが、ファンの方も楽しみにされているのでは。
永瀬:映画では初めて本格的なラブストーリーに挑戦しているので、そこを楽しみにしてくださっているファンの方も多いと思います。二人の恋模様もそうですし、ワンシーンワンシーンが本当に綺麗な画になっていて、没入できる映画になっていると思うので、そこを楽しみにしていただきたいです。
――吉川さんはいかがですか? 守りたいものはありますか?
吉川:お芝居の面ですと、違和感を感じたときはしっかり伝えることを大事にしています。自分が納得できないままだと、感情も動かないままお芝居することになってしまうので。お互いに寄り添いながら、「じゃあこうしてみようか」「ここはそのままでいきましょう」と話し合うことは大事だと思っています。相手がいる場合は、その人との間に生まれた感情を大切にして、うれしい感情が湧いたらそのまま表現すればいいと思っています。素直に生きることを大事にしています。
――今回も監督や永瀬さんと話し合う場面はありましたか?
吉川:監督とは本当にたくさん話しました。「柚子だったらどうする?」と聞いてくださり、私たちがやりやすいように撮影方法も工夫してくださいました。回数をあえて少なくして、その瞬間の感情を大事にしてほしいというスタンスで、慣れてしまわないようにしてくださり、本当に助かりました。
――違和感を伝えるのは勇気がいることだと思いますが。
吉川:でも、そこを突破しなければいけないんだと気づいた時がありました。今回だと、柚子を演じる中で「こうした方がもっと良くなるかもしれない」とか、技術的に「今こういう風に感情が動いたからこう演じたい」など、そういったことは素直に伝えた方がいいなと思いました。
――永瀬さんは違和感を伝えるタイプですか。
永瀬:そうですね。やっぱり現場で感じることが、そのシーンにおいての正解だと思うので。脚本ではこう動くと書かれていても、実際にやってみると違うと感じたり、「こっちの方が動きやすいかも」とか、自分の中でもつじつまが合うなと感じたときは、監督に相談していました。
■運命を信じる?
――今回、柚子が突然あやかしの世界に足を踏み入れることになり、「自分はふさわしいのか」と悩む姿が描かれています。お二人も芸能のお仕事の中で、これまで経験のないジャンルに挑戦したことはありますか。また、それをどう乗り越えましたか。
永瀬:僕は映画『弱虫ペダル』ですね。自転車競技をする役だったんですが、もちろん自転車には乗れるけど、競技として体験するのは初めてだったので。自転車の乗り方ひとつとっても違いますし、スピードを出すために靴とペダルを固定して漕ぐので、乗り降りにも苦労しました。ブレーキがなかったりもして、そういう初めての怖さもありました。でも結局、しんどいな、大変だな、怖いなと思っていても、熱中するうちにそういう気持ちはなくなり、そのことしか考えられなくなりました。だから、後ろ向きに感じることでも、とにかく夢中になることが大事なのかなと思います。
――吉川さんはいかがですか?
吉川:私は殺人犯の役です。殺すつもりはなかったけれど、結果的にそうなってしまう役で。どのように演じるかとても悩みました。最終的には想像力を頼りに演じました。普段はどちらかというとクールな役が多いのですが、殺人を犯す役は初めてだったので、どうしたら怖いと思ってもらえるか、サイコパス的な雰囲気をどのように出すか、ずっとその場で考えながら行動して、セリフの抑揚なども意識していました。
――今作では「運命」も大きなテーマになっています。お二人は運命を信じますか。
永瀬:信じます。細かいことでも、つい運命だと思ってしまうので僕は。例えば、外を歩いているときにいい風景に出会えたとか、おいしいものに出会えたとか、好きな服に出会えてサイズもぴったりだったとか。そういうことでも「運命じゃない?」と思えちゃうタイプです(笑)。だから運命は信じています。
――これまでで一番運命を感じた出来事はありますか。
永瀬:僕、逆子だったんですけど、ちゃんと生まれてこられたことです。よかったです(笑)。
――吉川さんはいかがですか。
吉川:私はあまり信じないかもしれません…。でも、愛犬との出会いは運命だったのかなと思います。
――最後に、映画にはさまざまなあやかしが登場しますが、もしご自身がなれるとしたら、どんなあやかしになってみたいですか? 映画に登場しないあやかしでも構いません。
吉川:雪女です。寒がりなので寒さに強くなりたいし、雪を見るのが好きなので、雪女ならいつでも雪を降らせられると思いました。
――永瀬さんはいかがですか?
永瀬:……カッパ。
吉川:カッパ!?
永瀬:カッパになって魚を捕りたいです。道具なしで水中に潜って魚をとって柚子にプレゼントします。「捕ってきたよ」って。
吉川:カッパになってまで捕ってきてくれるんだ(笑)。
永瀬:うん、鬼をやめてまで(笑)。
(取材・文:川辺想子)
映画『鬼の花嫁』は、3月27日より公開。
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