「ナイトピープル」佐藤江梨子インタビューフォトギャラリー
「女にとって30歳は厄年でもあって、確かに最悪なことばかりが起こった」とぼやき節で振り返る佐藤だが「人間、30年も生きていると山あり谷ありで色々ある。20代のころは結婚や子育てに理想を感じて夢見がちだったけれど、31歳にもなると結婚生活の現実や子育ての現実も理解するようになって、人として一旦落ち着くようになりますね」と物事を客観的に見ている。31歳の目標として「映画にたくさん出演したい」という気持ちはあるものの「焦ってもいいことはないので、60歳ですべての帳尻を合わせようと思っています」と人生プランを明かす。なぜならば「女優として期待されていない分、ちょっと頑張っただけで、凄く頑張ったようにみられるラッキーな状況だし、マイペースでいたい」との思いがあるからだ。
どこか達観しているような印象。それは自らが思う、女優・佐藤江梨子の魅力についても一貫している。「自分で言うのもあれですけど、変な顔だし、体型も変。声色も変わっているし、女優さんの中ではかなりのブス」と自らをバッサリと斬る。だがそう言い切ってしまう大胆さと、おごらない潔さが庵野秀明(「CUTIE HONEY キューティーハニー」)、吉田大八(「腑抜けども、悲しみの愛を見せろ」)、池田敏春(「秋深し」)ら個性派監督の琴線に触れ、佐藤がマイナスのように言う容姿は作品に無くてはならない個性として輝く。どの作品においても佐藤が演じたキャラクターは、佐藤でなければ成立しないように思えるのはそのためだ。
過去の作品を観直すことはほとんどないという。それは「芝居が打算的になってしまうから」という理由がある。その言葉の裏には、常に感じたままを自然体で演じたいというポリシーが隠れている。ちなみに最近の佐藤は「色々なところで人から道を聞かれる」そうだ。しかも大体の場合、相手は道を尋ねた相手が佐藤とは気づいていない。場所、そして役柄にカメレオンのごとく溶け込んでしまう。
ギラギラ感が落ちたのも、演技との出会いがあったからこそ。「だって、色々な俳優さんがいる中でそんなギラギラ感があったら邪魔で、お芝居なんかできませんよ」と当時の自分に迷惑顔。そこには、女優としての意識の目覚めがある。そんな佐藤に改めて女優としてのビジョンを聞くと「面白いクソババアになっていきたい。確実にウザいババアに近づいて、観客の皆さんに『こういう人近くにいる!』と言わせてしまうような役柄に挑戦できれば」と語る。個性派女優として成功の道を歩む佐藤の行先ほど、気になるものはない。その背中を見守っていきたい、そう思わせる数少ない女優の一人だ。
映画「ナイトピープル」は1月26日より、シネマート新宿ほかにて全国公開
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