昨年公開されて大ヒットを記録したSFアクション映画「バイオハザードV:リトリビューション」(ブルーレイ&DVD発売中)。人気ゲーム「バイオハザード」を実写映画化した作品で、シリーズを通してゲームファンからも高い評価を受けている。


「バイオハザードV:リトリビューション」「バイオハザード ダムネーション」シーン集

 映画5作目となる今回は、主役のアリス(ミラ・ジョヴォヴィッチ)以下、シリーズの人気キャラクターが勢揃いし、クライマックスへ向けて物語が動き出す熱い作品だ。そんな本作のPRのため来日したジル・バレンタイン役のシエンナ・ギロリーに話を伺うことができた。

 シエンナが演じるジル・バレンタインはゲーム版の主人公の一人でもある重要な登場人物で、映画版ではシリーズ2作目と4作目のラスト、そして本作と3作品に登場している。演じているのはすべてシエンナであり、「2」の初登場時にはゲーム版のジルとそっくりな彼女の美貌がファンから驚きと興奮をもって受け入れられたものだった。

 しかし、5作目の制作が決まった際に、シエンナ・ギロリーの降板が発表されるというまさかのトラブルがあった。その後、監督に直談判して役を取り戻したというシエンナは、改めて撮影当時を振り返りながら、「ずっと続けてジルを演じられるのが本当に嬉しいです」と笑顔で語る。

 「何度もジルを演じることができて、彼女のことが大好きになったんです。普段は映画の撮影が終わるとその役から離れるので寂しい気持ちになるのですが、ジルの場合はこうやって何度も戻ってきて演じることができている。それはとてもラッキーなことだと思います」

 ジルを演じられるのはシエンナしかいない――それはバイオハザードファンなら誰もが思っていることだろう。しかし、そんなシエンナにとって今回のジルを演じるのはこれまでよりもはるかに難しいことだったのだという。

 「脚本には、ジルは操られているせいで感情を失っていると書かれていました。熱いパッションこそがジルの魅力だと思っていたので、どう演じるか悩みましたね。
でもファンの方がツイッターで色々とアドバイスをくれたんです。ジルは操られているから無感情なんだけど、ほんの少しだけ感情の芽生えを感じさせるシーンがある。ああ、ジルはどこかに感情が残っているんだって、それがわかったから、そこから役作りをしていきました」。 今までとまったく違う顔を見せるシエンナ演じるジル・バレンタイン。しかし、今作におけるジルの魅力はそれだけではない。なんといっても注目なのは、シリーズの主人公、アリスとのファイトシーンである。

 「アリスとの対決でジルが見せる動きは、実はゲーム版のジルの動きを参考にしているんです。というのも、ファイトシーンの殺陣を考えたスタッフはあまりゲームに詳しい人ではなかったんですね。そこでツイッターを通してファンに問いかけて、これこそがジルだという動きを教えてもらいました。たとえば、ツイスト回転しながらアリスを頭を飛び越えて出てくるシーン、あれはゲームのジルと同じ動きなんです」。

 たしかにシエンナの動きは限りなくゲーム版「バイオハザード5」のジルに近いものであった。映画ではアクションシーンのスピードについていくのがやっとで、動きに着目できなかったという人は、ぜひブルーレイかDVDで確かめてみてほしい。


 実は他にも色々とアクションの動きを提案したのだというシエンナだが、残念ながら却下されたものもあったのだという。「私が提案した動きをやってしまうと、アリスに勝っちゃうからダメだって言われたんです(笑)」。

 茶目っ気たっぷりにそう語るシエンナに、最後にどうしても聞きたかった質問をぶつけてみた。――どうすればシエンナのように魅力的な美貌を手に入れられるの?

 この無茶な質問に、シエンナは「そう見えるのはきっと今日のメイクと髪型がいいからね(笑)」と謙遜しつつ、「自分に起きたことをエンジョイすること、そして与えられた幸せをありがたいと思うことが大切だと思います。今回、ジルのようなすばらしい役を演じることができたように」。

 すべてを受け入れて楽しむ――そんなシエンナの真摯な姿勢、ジル・バレンタインというキャラクターをより魅力的なものにしているのだ。(取材・文・写真:山田井ユウキ)

 映画「バイオハザードⅤ リトリビューション」3D/2Dブルーレイ&DVD、PS3/Xbox360対応ゲーム「バイオハザード6」は絶賛発売中。「バイオハザード ダムネーション」3D/2Dブルーレイ&DVDは1月30日(水)リリース(デジタル配信同時スタート)。
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