「365日24時間セックスのことを考えているように思う人もいるだろうけれど、俺だってAV男優の前に一社会人だからね」。民放バラエティー番組にセクシー女優という肩書でAV女優が出演する昨今。
<フォト>AV男優の素顔に迫る「セックスの向こう側~AV男優という生き方」場面写真
表舞台にめったに顔を出さないAV男優の中にあって、テレビドラマ、バラエティー、トークショー出演などAV業界という垣根を飛び越え、精力的に活動する稀有な存在。“ゴールドフィンガー”“セックスの神”“鉄人”“レジェンド”など数々の異名を持つ加藤だが、インタビューに答える姿からそのキャラクター性は皆無で、ある種の達観さえ感じる。AV男優歴約26年、出演作品は8,000本以上という加藤は何を考え、AV男優という職業にどのような思いを抱いているのか。そして将来のビジョンとは?単独インタビューした。
AV男優ってどんな仕事ですか?興味本位丸出しの愚問をぶつける。期待したのは、AV女優との濃厚なカラミやそれにまつわる猥談だ。だが「特別な仕事に思えるけれど、生活リズムは普通のサラリーマンと一緒。そもそも一日中AVの現場をやることなんてあまりないし、皆さんが思うほど簡単な仕事じゃない。アダルトの仕事に関して、やっつけでやったこともないしね」と切り返された。
加藤は出自の業界にも、躊躇することなく物申す。「ものを作る人ってそうなんだろうけれど、AV業界の人って自分の業界以外のことに興味がない。だから俺のことを一番知らないのは、AV業界の連中。彼らはAV男優としての加藤鷹しか知らない」と歯に衣着せぬ物言いだ。その言葉から、加藤自身のAV男優という職業の比重が見えてくる。加藤にとってAV男優というのはあくまで一つの要素で、それが自分のすべてではない。かといって手を抜くこともない。自らに対して客観的なのだろう。異名である“ゴールドフィンガー”に対しても違和感を口にする。「女性が昇天するメカニズムは医学的に証明されているにも関わらず、それを知らずして“ゴールドフィンガー”だの“神”だのと神秘化する。
その反面、自身の立ち位置も理解している。「テレビに出たり、講演したりすると肩書を求められる。そんなとき、ある監督に言われたんだ。
映画「セックスの向こう側~AV男優という生き方」は2月23日(土)より、渋谷アップリンクにて公開
その一方で、相方役としてなくてはならない存在のAV男優は表舞台に現れることは少なく、多くの謎に包まれている。そんな黒子的ポジションを生業にするAV男優という職業にスポットを当てたドキュメンタリー映画「セックスの向こう側~AV男優という生き方」が2月23日より公開される。総勢20名のAV男優がインタビューで思いを語る中、異彩を放つのが人気AV男優・加藤鷹だ。
<フォト>AV男優の素顔に迫る「セックスの向こう側~AV男優という生き方」場面写真
表舞台にめったに顔を出さないAV男優の中にあって、テレビドラマ、バラエティー、トークショー出演などAV業界という垣根を飛び越え、精力的に活動する稀有な存在。“ゴールドフィンガー”“セックスの神”“鉄人”“レジェンド”など数々の異名を持つ加藤だが、インタビューに答える姿からそのキャラクター性は皆無で、ある種の達観さえ感じる。AV男優歴約26年、出演作品は8,000本以上という加藤は何を考え、AV男優という職業にどのような思いを抱いているのか。そして将来のビジョンとは?単独インタビューした。
AV男優ってどんな仕事ですか?興味本位丸出しの愚問をぶつける。期待したのは、AV女優との濃厚なカラミやそれにまつわる猥談だ。だが「特別な仕事に思えるけれど、生活リズムは普通のサラリーマンと一緒。そもそも一日中AVの現場をやることなんてあまりないし、皆さんが思うほど簡単な仕事じゃない。アダルトの仕事に関して、やっつけでやったこともないしね」と切り返された。
撮影現場での出来事やお気に入りのAV女優についても聞こうと思ったが、それも「仕事に対して差別化したことはないし、女優にランク付けをしたこともない」と軽くあしらわれる。その時に「AV男優」というくくりで話を聞いたら、加藤の本質には迫れないと感じた。
加藤は出自の業界にも、躊躇することなく物申す。「ものを作る人ってそうなんだろうけれど、AV業界の人って自分の業界以外のことに興味がない。だから俺のことを一番知らないのは、AV業界の連中。彼らはAV男優としての加藤鷹しか知らない」と歯に衣着せぬ物言いだ。その言葉から、加藤自身のAV男優という職業の比重が見えてくる。加藤にとってAV男優というのはあくまで一つの要素で、それが自分のすべてではない。かといって手を抜くこともない。自らに対して客観的なのだろう。異名である“ゴールドフィンガー”に対しても違和感を口にする。「女性が昇天するメカニズムは医学的に証明されているにも関わらず、それを知らずして“ゴールドフィンガー”だの“神”だのと神秘化する。
それを盲信してしまうような土壌が、怪しい宗教やカルト教団を作るんだ」とセックス談義から話題は社会学へと繋がっていく。 この加藤の姿は、パブリックイメージとしてあるAV男優・加藤鷹から著しく乖離してはいないだろうか。だからこそ加藤は「自分にとっての最強のライバルはAV男優の加藤鷹。俺は常にそいつの背中を追っている気分だ」という。ここ10年は、周囲がイメージする加藤鷹との戦いでもあった。「感じない女優が出たりすると『鷹ならばやってくれるに違いない』という期待がある。でも、その日会ったばかりの女を気持ちよくさせることがどれだけ大変なことか。セックスは簡単じゃないと説明したいし、皆が思うほど俺は強くない。しょぼい男だし、皆が思う俺のイメージと戦っているんだよ」とこぼす。
その反面、自身の立ち位置も理解している。「テレビに出たり、講演したりすると肩書を求められる。そんなとき、ある監督に言われたんだ。
『君の職業は、加藤鷹だ』って。俺は何をやっても加藤鷹。ドラマに出ても役名はなくて、加藤鷹なんだ」。現在50歳。AV男優という冠を外すという選択肢がないわけではない。「遠くない将来に、それはあるだろうね。皆が思っている加藤鷹像と実際の俺がかけ離れすぎたら、辞めようと思う。それは体力の限界という意味ではないよ。生涯現役でいてください、とファンから言われる。でもAV男優として生涯現役という考えは、俺にはないね」と引退の可能性について言及する。ちなみに、AV男優引退時に考えているキャッチコピーは「加藤鷹だけに、“潮時”」とのこと。その潮時が訪れたときにAV男優の加藤鷹は終わるわけだが、同時に人間・加藤鷹として再スタートを切ることになる。
引退という言葉にはどこかネガティブな響きがあるが、加藤の場合に限ってその響きはなかった。
映画「セックスの向こう側~AV男優という生き方」は2月23日(土)より、渋谷アップリンクにて公開
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