もはや国民的ドラマといっても過言ではなく、唯一無二の地位を確立するドラマ「相棒」。劇場版2作品、スピンオフ1作品に続き、このたび新たに、本作で初登場となるサイバー犯罪対策課専門捜査官・岩月と、捜査一課刑事・伊丹の2人を主人公にしたシリーズ最新作が誕生した。
その名も「相棒シリーズ XDAY」。新たな"相棒"は誕生したのか? 岩月演じる田中圭と伊丹演じる川原和久にインタビューを行った。

「相棒シリーズ XDAY」田中圭&川原和久インタビューフォト

 つねにタイムリーなネタを題材にし、問題提起をする「相棒」シリーズ。今回扱う内容は、同シリーズの真骨頂と呼ぶにふさわしい"金融"がテーマ。

 「(観たのは)3回かなぁ」(川原)。「僕、4回観ましたよ!」(田中)と本編を観た回数を競い合う川原と田中。主役の2人が何度も観るということは、これはもう“面白い”とお墨付きを得たということだろう。ただ、やはり扱う内容が“金融”とのことで「最初はサイバー犯罪や金融関係のことが少し難しく感じました」と明かす川原。だが「2回、3回と観ていくうちに面白いなと。色々と周りの動きがわかってくるのでね」。

 すでに4回、作品を観たという田中に4回とはすごいですねと素直に話すと「面白いんです(笑)」と即答。普段から自身が出演する作品を観るタイプなのかと思えば「あまり観ないですね」との答えが。
この作品は特別ということだろうか。「この作品はちゃんと(内容を)理解しておかないとということもありますし、単純に面白いからですね」とのことだ。
 
 川原と田中から見て、伊丹と岩月のコンビネーションはいかがなものなのだろうか? 同シリーズのタイトルにあるように"相棒"と呼べるのか聞いてみた。「しょうがないんですよね、行きがかり上の積み重ねです」と“相棒”とは言えない様子の川原。「(伊丹の)意にそぐわないから(岩月に)噛みつく。でも返してくる。嫌味に対する嫌味返しをしてきますからね。嫌味は俺の特権だろうって思いますよ(笑)」。意にそぐわないと言いつつ“嫌味”に関してのやりとりは相性抜群のようだ。

 「本人同士は、まったく相棒だと思ってないですよ。むしろ邪魔だと思っているので」と言う田中。さらにテレビシリーズのエピソードにおいて、伊丹との関係に「岩月君は、『僕はあなたと知り合いだと思われているんです』と周りに言うんですよ。
知り合いだと思われるくらいは、いいんじゃないかと思いますよね(笑)」と明かす。

 だが「観てくださった方が僕らを相棒として見てくれたらいいなと。僕等は“相棒”だと思っていないので。そういう風に思っていただけるといいですね」と吐露。 本作は、“金融”をテーマにした社会派サスペンスであり、観るものに"現実に起こりえるかもしれない"という含みを持たせる内容となっている。川原は「少し難しく考え過ぎていました」と述懐する。自身がIT関係が苦手ということもあるようで「(伊丹の場合)例えば、"ログイン"と言われても『それはどういう捜査だ?』ということになるんですよ。(笑)。金融の専門用語もわからなくて…。ですが、単純なことなんだとわかって、要はお金がお金じゃなくなる怖さなんだなと。汗水流して働いたお金が、一瞬にして価値を持たなくなったらどうなるんだろうという怖さや、やるせなさなんだと今回のお話でわかりました」。

 「僕がこの作品を好きなところ」と、今回の"金融"という内容が気に入っているという田中。
「フィクションなんですけど、リアリティを感じることができるし、本当に起きそうなことですよね。解決はしないけど、それでもきちんとエンターテイメントとして成り立っているので、僕は好きです」。

 最後にお互い同じ“役者”として、両者の芝居に対するアプローチの仕方やその他、違いを感じた点があったのか聞いてみた。

 「そんなに違いはないと思いますよ」と話す川原だったが…急に思い出した様子で「僕は、あそこまで現場では眠れないですね(笑)。この人は子供のように寝てますから」と田中の思わぬところを暴露。「メイクさんも寝てる彼(田中)の上からメイクしていますからね。そこは僕にはないとこ(笑)」。暴露された田中は大爆笑だ。

 一方、田中は「芝居のテンポとかが似ていますね。たぶんすごく近い感覚を持っているのだと思います。それがすごく心地よかったですね」と語る。

 似ていないようで、似た者同士であることを伺わせる川原と田中。
彼らの絶妙なコンビネーションを観ることができる「相棒シリーズ XDAY」は3月23日(土)より全国ロードショー(取材・文・写真:鈴木沙織)
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