昨年の12月に公開され、今も興行収入記録を伸ばしているロングラン大ヒットミュージカル『レ・ミゼラブル』。裕福な家の出でありながら、学生運動に身を投じていくマリウス役を演じて女性のハートを鷲づかみにしているエディ・レッドメインが、DVDリリースに併せて緊急来日した。


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 小さな頃から歌うことが好きだったと話すエディ。「サポートしてくれたのは母かな。僕が歌うと、そのたびにいつも『上手よ』って誉めてくれたんだよ」と照れながら告白する。英国随一の名門イートン校で学び、その後はケンブリッジ大学のトリニティ・カレッジに進んだエディは生粋のおぼっちゃまであり、イートン校時代から合唱隊に所属していた。

 「演技をするようになってからは、そちらに興味が行ってしまったのであまり歌うことがなくなったんだ。でも今回の『レ・ミゼラブル』は子どもの頃からよく知っている大好きな作品。しかも監督がトム・フーパー(『英国王のスピーチ』)だったこともあって、これはぜひとも挑戦したいと。トムとは知り合いだったんだけど、iPhoneにデモを入れて送ったんだ」。

 原作のマリウスはエディよりも若いキャラクターだ。実際、フーパー監督らも「17か18くらいの若い子を想定していた」という。そのため「(学生運動のリーダーである)アンジョルラスのほうはどう? と言われることもあった」との裏話も。だが、エディはマリウス役を手にした。
そこには彼なりの自信もあった。

 「僕にはこれまでに8年ほど映画の経験がある。この映画はライブ録音だということが話題になっているけれど、でも映画であることに変わりはない。歌といっても、客席に向かって歌い上げるのではなく、あくまでも映画の中に観客を引きこんでいく必要がある。そうしたことを、これまでの役者としての経験からできるんじゃないかという思いがあったんだ。特に『カフェ・ソング』でね」。

 一方でオーディションは緊張の連続だったとも。「4、5回、オーディションを重ねた。最初は監督だけだったけれど、それからプロデューサーとか作曲家とか、いろんな人の前で歌わなくちゃならない。まさに、『アメリカン・アイドル』や『Xファクター』(※テレビのオーディション番組)のような状態だよね(笑)。コワイくらいの経験だったよ」。 また実際に体験したライブ録音撮影を次のように述懐した。
「もともと映画の撮影などは、待ち時間が長い。そうした状況で自分の感情を繋ぎとめておくために、音楽を聴くということはよくあることなんだ。そういった意味でも、音楽には不思議な力があると思う。今回、僕にとっては一人生き残った後で歌う、さっきも挙げた『カフェ・ソング』が一番のプレッシャーだった。小さい頃からずっと聴いてきた曲への、絶対に失敗できないという想いと、マリウス自身がそのときに感じている強い感情。その両方が大変なプレッシャーとして圧し掛かってきたんだ。けれど、そうした焦りが返ってあのシーンの感情を出すのには役に立った。あの感覚は初めてのものだったよ」。

 ライブといえば、3部門に輝いた第85回アカデミー賞で、『レ・ミゼラブル』チームは檀上で歌声を披露。当然、エディも登壇した。「あのときは本当に怖かったね(笑)。確かに今回の『レ・ミゼラブル』は現場で生録音をしている。
でも失敗したらやり直すことができる。オスカーは生放送の1度きりだろう。しかも世界中の人が観ている! 緊張したよ(笑)」。

 さて、エディといえば特に『マリリン 7日間の恋』(11)以降、日本でも人気がうなぎ上りの癒し系イケメン。日本からのファンレターも多く届くはず。「確かに『マリリン~』の頃から手紙や贈り物が多くなったね。特に便箋がすごくキレイで感動した。それにみんなとても字が丁寧でキレイなんだ。今回の『レ・ミゼラブル』でも多くの手紙をもらった。日本のみんなは自分の思い入れと作品を繋げて観てくれる。自分の想いと照らし合わせて、ここの演技がこうだったとか、こんなところがよかったと書いてくれるんだ。寛大で優しくて。
とてもありがたいことだよ」。

 今後の出演作にも期待がかかるエディ。普段はどんな作品を好んで観るのか聞いてみると。「観る方も出る方もジャンルにはとらわれない。いろんな種類があったほうがいいだろ。だからフレンチ系のアートハウスに行くこともあれば、ハリウッドが夏に出してくるような大作なんかも全部観る。ただキャストで必ず観に行く作品もあるね。たとえば、ライアン・ゴズリングやミシェル・ウィリアムズ、キャリー・マリガンやブラッドリー・クーパーなんかかな」と好きな俳優を挙げたエディ。演技力を兼ね備えた魅力的な同世代が多く、彼らとの共演(ミシェルは『マリリン~』で共演済み)も楽しみだ。(取材・文・写真:望月ふみ)

 『レ・ミゼラブル』は6月21日ブルーレイ&DVDリリース
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