世界各国で“フリンジ中毒”なる熱狂的ファンを生み出した海外ドラマ『FRINGE/フリンジ』がファイナル・シーズンを迎えた。映画、ドラマにと幅広く活躍するヒットメーカー、J・J・エイブラムスが手掛けた本作は、“フリンジ・サイエンス”と呼ばれる人間の常識を超えた事件を扱う、FBIのフリンジ・チームの活躍を描く。


 今回、ファイナル・シーズンのリリースを記念して主人公オリビア・ダナムを演じたアナ・トーヴが初来日。初来日の感想や、ドラマが終わった現在の心境についてインタビューを行った。

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 「変な感じだわ(笑)」と現在の心境を語ったトーヴ。「前から来てみたいとは思っていたけど、日本に来るのは初めてだし。それに(『フリンジ』の)プロモーションもできるから、とってもラッキーだわ(笑)」と屈託なく笑う。日本でやってみたいこともたくさんあるという。「まず色々な食べ物を食べてみたいわ。それと『東京はとにかく見ないと始まらないから』ってみんなに言われたから、ここ(東京)は見ておかなくちゃという感じね。あとは、みんなに京都を勧められたから行こうと思ってるわ」。

 本作は、ちょうど100エピソードでファイナルを迎える。100話を振り返って、トーヴが思い出に残っているエピソードを聞いてみた。

 「1番お気に入りのエピソードは、オリビアの意外な一面を見ることができるエピソードかしら」と語る。
「ファースト・シーズンで、今までは仕事一辺倒だったオリビアのところに妹と姪っ子が登場するシーンがあるのだけど、そこは結構気に入ってるわ」とのこと。「あとは、オリビアがコーテキシファンでウォルター(ジョン・ノーブル)に実験されていたという、過去に意外な関係があったというところね!」とのこと。さらに、「サード・シーズンから入るパラレルワールドのところは全部好きだわ!」と目を輝かせる。全シーズンの中でもとくに“サード・シーズン”が好きらしい。

 毎シーズンごとに、新たに明かされるエピソードに驚き、また発生するフリンジ事件にも度肝を抜かれる本作だが、エピソードだけでなくその演出にも驚かされることが度々ある。トーヴがお気に入りと語るサード・シーズンでは、突如ミュージカル調のエピソードが登場し、またフォース・シーズンでは、何の前触れもなく実写ドラマである本作がアニメに変わる。出演キャストらは、この演出方法をどのように思っていたのだろうか。

 「素晴らしいアィディアだと思ったわ。シーズンごとに色々なアイディアで演出されていたのだけど、『歌いたかったか?』と聞かれたら歌いたくはなかったわね(笑)」と明かす。だが「(ミュージカル・エピソードは)40年代の探偵物風だったのだけど、その当時の探偵っぽい衣装を着て演じたのは楽しかったわね」と振り返った。 今回、日本でもリリースされたファイナル・シーズンは舞台が2036年。それだけでなく、“監視”するだけが任務だったはずの監視人が人類を支配しているという時代である。
フォース・シーズンの1エピソード(第19話)が、ファイナル・シーズンへのストーリーにつながっていたということだ。「現場を見ていて、他のシーズンの19話目と比べても、だいぶ手が込んでいると思っていたのよね(笑)。これは何かあるなと思ったわ」と当時を述懐する。

 加えて「フォース・シーズンの19話目って、私登場していないのよね」と続ける。そのため「次のシーズンではどのような格好するのか?どういう世界観なのか?ということを知らずに飛び込んだから、少し乗り遅れた感があったわ」と。「でも、その乗り遅れた感が、キャラクター設定で功を奏したというか、(ファイナル・シーズンのオリビアは)遅れを取っている感じの立ち位置にあるので、それはそれでよかったのかなと今は思うわね」。

 本作では、パラレルワールドという設定以外にも一人二役に挑んでいるトーヴ。オリジナルの世界にいるオリビアは、ブロンドでつねにブラックスーツ。パラレルワールドのほうのオリビアは赤毛で動きやすいパンツスタイルにブーツという出で立ちで、お互い性格はほぼ真逆。トーヴ自身はどちらのオリビアに似ているのだろうか。

 「その日の気分によるわね。ハッピーな時は赤毛のオリビアに近いし、シリアスになるときはブロンドのオリビアに近いわ」。


 演じ分けるのに難しさなどはあったのだろうか。「そんなに難しくはなかったわ。身のこなしなどは外見から作ることができるし。まずは衣装を変えるところから始めたのだけど、例えばオリジナルのオリビアの時は、黒いスーツを着て、いつもポケットに手を入れて真面目そうにしているのよ。赤毛のほうは、ファッションデザイナーとも話し合って、シルエットから変えてみようとブーツを履かせて、手はいつも腰に当てて。外見から固めて言ったと言ってもいいかしらね」。

 最後に、5年間携わった『FRINGE/フリンジ』を撮り終えた今の心境を聞いた。

 「ファナイル・シーズンを迎えるにあたって、私達はあらかじめ“最後になるよ”ということを理解して取り組むことができたので、脚本家のみんなもスタッフもキャストも“さよなら”をする準備ができた状態で撮影することができたの。後悔がないように取り組むことができたからとても満足しているわ。もちろん淋しいけどね。オリビアというキャラクターは思い出として残っていくし、エンディングはとても満足のいくものになったわ」と明かした。(取材・文・写真:鈴木沙織)

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