江戸時代に活躍した狂言作者・四世鶴屋南北による歌舞伎作品「桜姫東文章」を、エロスと狂気という劇薬を混ぜてオリジナルな物語に昇華させた映画『桜姫』。自らを女にした、ワケあり稼業の権助に再び出会うため、“ぢごくや”の遊女にまで身を落とした桜姫の恋を、ワイルドでサイケな映像美で描き出す。
【関連】日南響子インタビューフォトギャラリー
映画『相棒シリーズ X DAY』『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』などで知られる橋本一監督が、童貞的妄想を炸裂させたというR-15の過激時代劇の本作で、堂々の主演を張ったのがモデル出身の女優・日南響子だ。撮影当時18歳だった日南は、セクシー女優陣を脇に回しての大胆な濡れ場にも果敢にチャレンジした。そんなイバラの道をあえて選んだ背景には、日南自身も意識することのなかった壮大な運命への序章があった。
モデル、女優のほか、歌手としても活動している日南。本作でもインスパイア・ソング「鴉」を手掛けているが「女優が歌手として歌う、というスタンスが嫌だった」という信条から、あえて名前を変えた。そもそも本作の主演オファーがあったとき、日南は歌手活動に本腰を入れるべく、女優業をしばらく休もうと考えていたという。だが「主演のオファーがあった数日前、実は歌舞伎作品『桜姫東文章』の動画を見ていたんです。そんなタイミングで頂いたお話だったので、最初は自宅に隠しカメラが設置されているのではないかと疑ったくらいでした」と驚きの瞬間を振り返る。 しかし引っ掛かるのは、なぜ「桜姫東文章」を見ていたのか? という部分だ。「動画を見ていたのは、花魁や遊郭、遊女に興味があったからです。自分の中で遊女役を演じたいという気持ちがあって、そんな世界をテーマにした曲も書いていました。『桜姫東文章』にたどり着いたときは、ビビッ! と来た」とその理由を説明する。
本作へとたどり着くための伏線は、10数年前からあったのだ。だから日南にとって、本作への出演はイバラの道などではなく、女優魂を再燃させた新たな道標となった。初挑戦の濡れ場に対しても「それも物語のワンシーンであり、主人公の人生の中にある、一つの出来事でしかない」と抵抗はなく、不安に感じた部分も「濡れ場は脚本上にセリフもなければ、詳しいト書きもない。動きもセリフもない中でいかに表現するか、という部分に苦心しました」となれない状況にあっただけ。一方で、脇を固める麻美ゆま、七海なならセクシー女優陣の脱ぎっぷりのよさもあり「大胆に脱がれている中で、自分のようなものが脱いでいいものなのだろうかという戸惑いもあった」と恐縮気味に頭をかく。
本作を「表情によっては、大人に見えたり、子供に見えたり。
映画『桜姫』は6月29日より全国公開。
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映画『相棒シリーズ X DAY』『探偵はBARにいる2 ススキノ大交差点』などで知られる橋本一監督が、童貞的妄想を炸裂させたというR-15の過激時代劇の本作で、堂々の主演を張ったのがモデル出身の女優・日南響子だ。撮影当時18歳だった日南は、セクシー女優陣を脇に回しての大胆な濡れ場にも果敢にチャレンジした。そんなイバラの道をあえて選んだ背景には、日南自身も意識することのなかった壮大な運命への序章があった。
モデル、女優のほか、歌手としても活動している日南。本作でもインスパイア・ソング「鴉」を手掛けているが「女優が歌手として歌う、というスタンスが嫌だった」という信条から、あえて名前を変えた。そもそも本作の主演オファーがあったとき、日南は歌手活動に本腰を入れるべく、女優業をしばらく休もうと考えていたという。だが「主演のオファーがあった数日前、実は歌舞伎作品『桜姫東文章』の動画を見ていたんです。そんなタイミングで頂いたお話だったので、最初は自宅に隠しカメラが設置されているのではないかと疑ったくらいでした」と驚きの瞬間を振り返る。 しかし引っ掛かるのは、なぜ「桜姫東文章」を見ていたのか? という部分だ。「動画を見ていたのは、花魁や遊郭、遊女に興味があったからです。自分の中で遊女役を演じたいという気持ちがあって、そんな世界をテーマにした曲も書いていました。『桜姫東文章』にたどり着いたときは、ビビッ! と来た」とその理由を説明する。
しかもその興味は、今に始まったことではなかった。それは日南が小学校3年生の頃まで遡る。「金魚売りの恋人」という詩を書いたのが、そもそもの始まりだった。「金魚鉢の中にいる金魚、それは遊郭の中にいる遊女という意味で、その金魚はいつ外に出られるのだろうか? という物語の詩でした。その頃から遊郭や遊女が大好きでしたね。自分自身、なぜ遊女を知り、そして好きになったのか、定かな記憶はないんですけどね」と大人びた幼少期に思いをはせる。
本作へとたどり着くための伏線は、10数年前からあったのだ。だから日南にとって、本作への出演はイバラの道などではなく、女優魂を再燃させた新たな道標となった。初挑戦の濡れ場に対しても「それも物語のワンシーンであり、主人公の人生の中にある、一つの出来事でしかない」と抵抗はなく、不安に感じた部分も「濡れ場は脚本上にセリフもなければ、詳しいト書きもない。動きもセリフもない中でいかに表現するか、という部分に苦心しました」となれない状況にあっただけ。一方で、脇を固める麻美ゆま、七海なならセクシー女優陣の脱ぎっぷりのよさもあり「大胆に脱がれている中で、自分のようなものが脱いでいいものなのだろうかという戸惑いもあった」と恐縮気味に頭をかく。
本作を「表情によっては、大人に見えたり、子供に見えたり。
姫になったり、遊女になったり、恋をする乙女になったり。今しか切り取ることのできない私がたくさん入っている。まさに運命だと思うし、『桜姫』がなかったら、芝居は続けていなかったと思いますね」と自らの原点に添える。女優とは「透明な水のようなもの。様々な器に入って、形を変えて、光の屈折や反射によって色を変化させる存在」という日南。言葉だけではなく、それをしっかりと自らで体現している。もし日南に『桜姫』のオファーがもたらされなければ、その水はきっと別の水路へと流れ込んでしまったに違いない。この出会いは、まさに運命であり、奇跡だったのだろう。
映画『桜姫』は6月29日より全国公開。
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