一般に、映画化不可能系案件が実現した場合、“まさかの映画化!”という枕詞が踊りがちだが、本作ほど“まさかの映画化!”というワードが似合う作品もない。タイトルを聞いて、その内容“推して知るべし”の『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』は、あの土曜深夜の超絶人気バラエティー「ゴッドタン」、その伝説企画「キス我慢選手権」の映画化だ。


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 セクシーな美女たちの誘惑攻撃を受ける芸人たちが、アドリブで演技を繰り出しながらキスを我慢するという名物企画だが、その設定はまったく変えず、24時間キスを我慢し続けなければ世界は救えない!? という壮大なスケールの映画としてカムバック。もちろん主演は“Mr.キス我慢”こと劇団ひとりで、待望の劇場版でも驚異的なアドリブ力と憑依型の高い演技力を惜しみなく披露しているが、その彼にキスをねだる女刺客が、本企画ではおなじみのみひろ。まさかまさか“キング・オブ・まさか”の『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』について、みひろしか知らないコトを聞いた。

 「どうやって映画化するのかなって、本当に想像がまったくつかなくて(笑)。脚本をいただく前に衣装合わせをして、その時は何も予備知識がなかったんですが、スタッフさんたちが『廃墟だからな』『走り回るからな』とか話していて(笑)。余計に何が起こるか分からなくなっちゃいましたね(笑)」と大半のファン同様、映画化のニュースを最初に聞いた時、我が耳を疑ったというみひろ。「もともとキス我慢はスタジオで収録していたので、それの映画化ってことは、スタジオ撮影だけじゃないわけです。初日が来るまで不安と期待でいっぱいでしたが、実際撮影現場に行ってみると、すごいことになっていました(笑)」。

 ここでみひろが演じているキャラクター“みひろ”について説明しよう。彼女は謎の裏組織“赤い闇”出身で、幼い頃親に売られた過去を持ち、裏組織で人の殺し方と男の悦ばせ方を仕込まれた女アサシン! これまで番組内で演じたキャラクターと比べ、「設定が、今までのわたしにはなかったキャラクターですよね」と新機軸であることを説明。「それまではニャンニャン系でしたが、今回はそうじゃない。攻め方も変わっています。
だから、ひとりさんもいろいろと考えて作戦を練っていたと思いますね」。番組の時は甘えたの妹キャラが多かったが、今回は女殺し屋でドS的。とてもクールな女性だ。「そうですね。そういう甘いキャラクターが多かったので、クールな性格の今回はどう攻めていくかが課題でしたね。自分の過去が辛かったことを打ち明ければ同情してキスしてくれると思っていましたが、ちょっとそうじゃなかったみたいですね(笑)」と最新作での波乱(?)も示唆! この“波乱”。「キス我慢選手権」はアドリブで進行するゆえに、先が読めないスリリングな展開が見ものなのだ。スゴい話だが、劇団ひとりの驚異的なアドリブ力によって、設定やストーリーがどんどん変わっていってしまい、テレビ時代のファイナルでは世界征服が関係する一大スケールにまで発展したことも! キャストたちは、それに対応しなくてはならないのだ。すなわち、キスを仕掛ける側のみひろたちも、ある程度頭の中で決めている物語の流れに沿って気持ちを作って、そのクライマックスに感情を合わせるなど工夫しているわけだが、劇団ひとりの天才的なパワーで予定が覆ってしまうことも少なくないわけだ。「わたしが最初にキスをせまるシーンがありますが、その時に自分の感情を高ぶらせていたので、その高まりに乗ってワー! と来てくれるかなって勝手に思っていましたが、予想外に冷静で落ち着いていて(笑)。この反応に、どうしようと思いました」。

 しかし、あくまでも「キス我慢選手権」の世界観の中でのリアルは維持しなくてはならず、みひろも全力で劇団ひとりのアドリブに対抗していくのだ。
「ヤバイ! そのパターンは用意していないというか、考えもしていなかったと思いました(笑)。今までの経験上、絶対に乗っかって来てくれると思っていたので。それが冷静な対応だったので、めちゃくちゃ考えましたね(笑)」。結局、そのシーンについては“Mr.キス我慢”、劇団ひとりが一枚上手だったとうことだ。「思い通りには、いかないってことですかね(笑)」とみひろも苦笑い。さすが6年間の実績はデカい。はたして今回のキス我慢は、どういうラストに!? 『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』の顛末を映画館で確認せよ!(取材・文・写真:鴇田崇)

 『ゴッドタン キス我慢選手権 THE MOVIE』は6月28日より全国公開。
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