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生粋のアイドルファンだったという樋口氏は、avexに勤務する一般の社員だ。アイドル好きだったとはいえ、「自分がアイドルをプロデュースすることになるとは想像もしていなかった」と語るが、「スパガ(SUPER☆GiRLS)がデビューして3年。やっと、秋元康さんがいて、つんく♂さんがいて、ただのファンから仕事にしてる樋口が面白いっていじってもらえるようになってきました」と笑顔で話す。実は樋口氏は、avex入社以前に、“あやや”こと松浦亜弥の私設ファンサイトを運営していたという、異色であり納得の経歴を持つ。女子アイドルファンの間では知る人ぞ知る人物なのだ。
入社後は、アーティストのプロモーションや新規事業の立ち上げに関わっていたが、社員になってからもしばらくは普通にアイドルファンとしての活動を続けた。「朝の10時に秋葉原のAKB劇場に並んでチケットを買ってから会社に来ることもありました(笑)。それで夕方6時ぐらいに会社を出て、公演を見て、また会社に帰ってくるようなことをちょこちょこやっていましたね」。
“アイドルファン”として活動をしてきた樋口氏はそのリアルな経験を活かしてアイドルプロジェクトの企画に携わることになる。それがavexが初めて“正式に”アイドルを目指す女の子を募集した「avex アイドルオーデション 2010」で、そこで勝ち抜いたメンバーによって誕生したのがSUPER☆GiRLSだ。
スパガのデビュー当時は、avex社内で本格的なアイドルを展開したケースがなかったこともあり、樋口氏は、社内にアイドルを売り出すために必要な“尺度を浸透させる役”に徹していたという。「例えば、王道アイドルを売り出すためには、どの媒体でどういう露出をしていかなきゃ…といったことを、スタッフやマネージャーに永遠語りまくって、どんどん“アイドル道”を伝えていきました」。当初は、すべての楽曲のデモを聴いて細かな指示もしてきたというが、「今ではすでにスパガの楽曲も数十曲にもなるので、『これがスパガソングなんだ』というのをチームで共有できてきている」と話した。
スパガの曲を聴くと、樋口氏が“あやや”好きだったことも納得できるが、楽曲についてはこう語る。「確かに似ていると言われることはあります。つんく♂さんはトレンドを取り入れて曲作りされているので、10年前のあの楽曲に戻ることはないと思うんです。でも、自分たちは『“10年前のあのワクワクした感じ”の曲で育ってきているので、僕の個人趣味と言うより、僕が運営していたサイトの掲示板に集まった声から、当時の楽曲の制作陣に依頼をし、今だったらこういう風になるんじゃないというのを具現化しているんです」。
また運営についても、「ファンの経験をすると、やっぱり見えてくるものってすごくあるんですよね」と、ファンにしか分からないストレスやファン心をくすぐるポイントを掌握する。「どっぷりファンに浸かった目線をどれだけ入れ込んでいけるかっていうのは一つ差別化できるところかなと。でもやっぱり中に入ってみるとできないことはあるんですけど(笑)、極力声を聞いて、自分もファン側だった時に思っていたことをちょっとでも反映してあげたいなと思ってます」と自身の経験が、プロデュースの重要な指針となっている。
樋口氏はどうやってアイドルの卵をみつけてくるのか――。ここに彼の強いこだわりがある。彼は「けっしてスカウトはしない」と断言する。「スカウトすると『ホントはやりたくなかった』とか、悪い言い方をしてしまうと言い訳をつくってしまう。だからいい子がいても、その子が望まなければ無理には入れません。本人の意志の中に、自分で決めたっていう芯が残っていればどんなことでも頑張れると思うんですよね」とタレントを目指す本人の意志を第一に、プロ意識の種を植え付ける。しかし、オーディションでの選考ポイントは? と聞くと「一歩足りてなさそうな子が気になる」とアイドルファンの男性の共感を呼びそうな答えが返ってきた。「何かの要素が入ったときに、初めて開花しそうな。実践にぶち込んで、その成長過程を応援するのがアイドルだから、そういう子をわざと目立つところに置いて頑張らせる、っていうことが意識してるところですね」。
SUPER☆GiRLSをはじめとした「iDOL Street」には、現在約60名の女の子が在籍している。樋口氏は彼女たちに「最強の表現者になってほしい」と、ただその一点だけを追求させる。「“アイスト”に合格した子たちに最初に説明するのが、アイドルはクリエーターではなくパフォーマーであるということ。
12月4日に「リスペクトスター」と題し、1970年代「年下の男の子」(キャンディーズ)、1980年代「センチメンタル・ジャーニー」(松本伊代)、1990年代「ジン ジン ジングルベル」(森高千里)と各年代を代表するスター達のヒットソングをSUPER☆GiRLSがカバーするが、こうした企画もアイドルファンの心をくすぐる。「アイドルの王道をやっているからには、アイドルの名曲をリスペクトしたい」という狙いがあると樋口氏は話し、「どの曲をどのメンバーに歌ってほしいか」ファンによる投票で決めた。
また、新しいメディアにも積極的に展開する。SUPER☆GiRLSはシングルに続き、ソフトバンクモバイルのスマートフォン向け総合エンタメアプリUULA限定で、「1990年代の女性ボーカルヒットソングをカバー」をテーマに、「BELIEVE IN LOVE」(LINDBERG)、「アジアの純真」(PUFFY)をファンが選んだUULAオリジナルユニットに分かれてカバーに挑戦。このミュージックビデオはUULAで独占配信される。樋口氏は、アイドルとスマートフォンサービスとの親和性について、「プロジェクトチームで“やった方がいい”と思ったらGOできるというのがアイドルのいいところ。ですから、積極的に新しいメディアを活用していろんな新しいチャレンジをしていきたいですし、そうやってビジネスを大きくできるのは、アイドルが一番可能性を持っていると思うんです」と、シビアな視点でアイドルビジネスを見据える。
今後のiDOL Streetの戦略を尋ねると、来年は「革命」がキーワードとのこと。「『え、そんなことやるの?』っていうことをちょっと投入していこうかなと。このアイドルブームはこれから少しずつしぼんでいくはずなんですけど、生き残るためには、この“ファミリー”っていう形が一番いいと思っています。アイドル業界の中にちゃんと集落として立ち上がったところが生き残っていくっていうのが僕の持論なんです。なので、例えば、他のグループがレーベル移籍したり。『うちのレーベルに移籍したいな』って思ってもらえるようなファミリーにできたらいいですね…。でもこれは僕の勝手な構想なので、何も決まってないですよ(笑)」と、iDOL Streetの地盤固めを念頭に置きつつも、他のグループにはない新たな女子アイドルの活路を探る。
その一方、自身の目標は「ちゃんとスパガをヒットさせること」と明確。「業界全体をブームにするまではいかなくても、ちゃんとスパガが世の中の人に認知されて『スパガになりたい』っていう人が増えたら。ここからモデルや女優が生まれて、スパガにいるとどんどん夢がかなっていく、夢が叶うボックスみたいになったらいいですね」と、熱い思いを語る。
さまざまな個性を持った女子アイドルが乱立するなか、アイドルファンによって生み出されたavexのアイドルレーベル「iDOL Street」。アイドル戦国時代の生き残りをかけて、樋口氏が今後どんな“ファミリー”に育てていくのか注目される。
【SUPER☆GiRLS カバーシングル企画】
12月4日発売 3タイトル同時リリース
・「年下の男の子」
キャンディーマキアートfrom SUPER☆GiRLS
(田中美麗、溝手るか、後藤 彩)
・「センチメンタル・ジャーニー」
前島亜美 from SUPER☆GiRLS
・「ジン ジン ジングルベル」
トゥィンクルヴェール from SUPER☆GiRLS
(八坂沙織、志村理佳、渡邉ひかる、宮崎理奈、勝田梨乃、荒井玲良)
*「ジン ジン ジングルベル」ミュージックビデオ(フルバージョン)は
現在、ソフトバンクモバイルのスマートフォン向け総合エンタメアプリUULAのみで先行配信中
【SUPER☆GiRLS UULA限定カバー企画】
・「BELIEVE IN LOVE」 2013年12月配信
<参加メンバー>
八坂沙織、渡邉ひかる、勝田梨乃、溝手るか、後藤彩
・「アジアの純真」 2014年1月配信
<参加メンバー>
志村理佳、宮崎理奈、荒井玲良、田中美麗、前島亜美
UULA公式サイト:uula.jp
【「iDOL Street」が集結するクリスマスライブ開催】
「iDOL Street Carnival 2013 WINTER X’mas Special」
日程:2013年12月22日(日)
Vol.1開演 13時30分/Vol.1開演 17時30分(2回公演)
会場:TOKYO DOME CITY HALL
出演:SUPER☆GiRLS、Cheeky Parade、GEM、ストリート生(選抜メンバー)