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本作は、「週刊少年サンデー」(小学館)で連載中の同名漫画を、『麦子さんと』『純喫茶磯辺』などの俊英・吉田恵輔監督が映画化した異色の青春ドラマ。偏差値教育に挫折した都会の高校生・八軒勇吾(中島)が北海道の農業高校に自ら飛び込み、厳しい酪農実習や部活動を通して成長していくさまをリアルかつコミカルに描く。
広瀬が演じる御影アキは、都会から逃げるようにやって来た主人公・八軒を広い心で受け止める酪農女子。乗馬とばんえい競馬に夢中の活発な女子高生だ。多くの人々に愛される人気ヒロインに抜てきされた広瀬は、「わたし自身、原作の大ファンなので、オーディションに受かったと聞いた時は正直戸惑いました。わたしがアキを演じることに『え?』と思う方はたくさんいると思う。それはわたしが一番よくわかっていること。だから、最初はプレッシャーに押し潰されそうだった」と胸中を告白。追い込まれた広瀬は、「これはもう120%の力を出さなきゃダメだなって。自分がどれだけアキに近づけるか、勝負するしかない」と決意を固める。
そして、クランクイン前に行われた強化合宿で、さらにその思いは強まった。
広瀬の演技に対する真摯な姿勢は、代役なしで乗り切った体当たりのアクションシーンにも現れている。例えば乗馬。「合宿へ入る前に3ヵ月間、個別で特訓を受けました。練習中、馬が止まらなくなってパニックになったこともありましたが、障害物を飛ぶシーンはほぼ一発OKだったのでぜひ観てほしい!」と自信のコメント。
御影アキを少しずつ自分の中に引き寄せながら、作品にのめり込んでいった広瀬。スクリーンに映るその佇まいは、まさに酪農女子そのもの。「この映画は酪農のキレイなところばかりじゃなく、経済動物のあり方や牧場経営の難しさなどもしっかりと描いている。だから、酪農とは無縁の方も、大人の方にもぜひ劇場に足を運んで観ていただきたい。泥臭くったって、キラキラ輝いている青春映画もあるんだ!ってことをアピールしたいですね」。クリクリッとした大きな瞳を輝かせながら、広瀬は本作へのあふれんばかりの愛を言葉に乗せた。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『銀の匙 Silver Spoon』は3月7日より全国東宝系にて公開。