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本作は、御手洗潔シリーズなどで人気を博す島田が映画のために書き下ろした小説を、『オー!ファーザー』の俊英・藤井道人監督が映像化したラブミステリー。事故で記憶を失った医大生・雅人(吉木遼)が、脳を刺激するTMS治療を受けることで、恋人の遥(谷村)と育んだ日々の記憶を取り戻していく。
『幻肢』。聞き慣れない言葉だが、これは、事故などで手足を失った時、精神的ショックをやわらげるために脳の防御機能が作動し、手足のまぼろしを見せるというもの。それを応用したのが本作だ。この不思議な現象に対して谷村は、「(医学的なことは)よくわかりませんが、私の場合、変わった役が多いので、演技する上で幻肢的な疑似体験は結構あると思います」と、キャリアをなぞる。
さらに驚くことに、「不思議体験ということであれば、正夢をよく見ます。それも映画のお仕事ばかり。夢の中に出てきた風景が何年後かに撮影現場に現れて、『あ、ここなんだ!』ということが結構あるんですね。例えば、昔夢で見た桜の木が、『ユビサキから世界を』で私が埋められる場所だったり…」と打ち明ける。この予知能力、まさに生まれながらの女優の証しではないだろうか。
台本通りのセリフもあれば、その場で浮かんだアドリブもある。長回しで撮ることもあれば、素の姿をドキュメンタリー風に撮ることもある。遥が持つさまざまな表情を演じ分けるのではなく、現場で求められることに順応していくことが最も重要だと実感する谷村。「脚本通りに進むわけではないので、その都度、気持ちを切り替えるのは難しいこと。だから、監督の思い、撮影のスケジュールに気持ちを合わせていくことが大切」と強調する。
また、本作は医療ミステリーの鎧を着ているが、中身は健気な純愛物語。「遥にはいろいろな表情があるけれど、『雅人を好き』という気持ちには、何があっても忠実でいたかった」と語る谷村。
胸キュン、壁ドンのベタなラブロマンスにも普通に憧れる、素顔はとても気さくな谷村美月。最新作『幻肢』で魅せる多彩な表情にぜひ注目していただきたい。(取材・文・写真:坂田正樹)
『幻肢』は9月27日より新宿K’s cinemaほか順次全国公開。
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