ハリウッドを筆頭に、海外で活躍する日本人俳優と聞いて、真っ先に思い浮かべるのが、『ラストサムライ』の真田広之や『GODZILLA ゴジラ』の渡辺謙など、ベテラン勢ではないだろうか。ほかの俳優を考えてみると、『マイティ・ソー』シリーズの浅野忠信、『SAYURI』の桃井かおり、『パシフィック・リム』の菊地凛子等、やはりキャリア10年以上のベテランが並ぶ。
では、若手俳優はどうだろうか。海外で通用しそうな若手俳優は誰か。映画関係者に聞いてみた。

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 若手俳優の名前を口にする前に、関係者はこう前置きをした。「海外で通用しそうな日本人俳優というと、捉え方が2つあります。まずは、海外の作品に出演し評価を得るということ。次が、日本の作品に出演し、海外でも評価を得るということ。ただ、前者は思った以上にハードルが高いです」。

 では、どういった点が、ハードルが高いのだろうか。

 「日本人でなければならないという必然性がある作品は非常に限られてきますし、海外の作品で活躍していても、コンスタントに出演作があるとは言い切れず、一定の評価はされているものの、作品に絶対必要な存在とまでは成りきれていません。また、日本のマーケットを考えたときに、日本人の出演者がいるとプロモーションもやりやすいなどのメリットはありますが、『47RONIN』などのように多数の日本人キャストを起用しても、日本国内でもその恩恵を受けたとはいいがたく、日本のマーケットを見据えた日本人キャストの起用というのは、縮小されていくのかもしれません」。 確かに、現在のハリウッドは日本よりも中国に目が向いていることは明らかだろう。
だが、ベネチア国際映画祭で最優秀新人俳優賞を受賞した、染谷将太や二階堂ふみなどは、かなりの有望株だと思うが。

 「染谷と二階堂の2人は、日本の作品に出演して海外で評価を得ている若手俳優ですが、海外進出となると話は別。また、二階堂に関しては、海外志向もあるようですが、通用するかは未知数です。さらに、海外で活躍するアジア人俳優は、ルーシー・リューや福島リラのような、いかにもアジア人という顔立ちが多く、いわゆる国内でイケメンや美女という評価を得ているということと合致しません。英語ができる、できないは、もはや演技以前の問題なので、アクションができる等のセールスポイントがないと、抜きんでて役を掴むということは難しいように思います」。
 
 そのような厳しい状況下ではあるが、若手の有望株は?

 「あげるとなると、アクションもので体格も見劣りしない東出昌大、アジア人顔で海外との繋がりも多いアノレ所属の加瀬亮などは、海外でも受ける可能性があると思います。結局、“海外の映画に出たい”というだけでなく、“こういったことができるから、この作品に出たい”という明確なビジョンを持っていないと海外での活躍は難しいのではないでしょうか」。

 ほかの関係者からは、語学力の面から福士蒼汰、伊勢谷友介、松田翔太の名があがり、なかでも、伊勢谷と松田の顔つきはハリウッド向き。女優では、もう少しエキゾチックな顔立ちなら抜群という二階堂ふみ、アクションができる武田梨奈はダークホースとのこと。

 現時点では、既に海外作品で多く活躍している、加瀬亮や伊勢谷友介が頭ひとつ抜けでている感じだろうか。何はともあれ、ベテランに続いてほしいところだ。
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