<「僕の姉ちゃん」特集企画>

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雑誌「anan」での大人気連載・益田ミリの漫画「僕の姉ちゃん」がドラマ化。Amazon Primeで一挙先行配信中だ。
両親が海外出張する間だけ二人暮らしをすることになった姉弟の軽妙な掛け合いが魅力である。

ユニークな名言たっぷりの姉・白井ちはるを演じるのは、月9「イチケイのカラス」や映画『日日是好日』などに出演する役者・黒木華。そして姉の言動にたびたび動揺させられる弟・白井順平を杉野遥亮が演じる。2021年秋の水曜ドラマ「恋です!~ヤンキー君と白杖ガール~」に出演する注目の若手俳優だ。

キャストもさることながら、衣装も小道具も音楽もすべてが極上。そしてなんといっても、原作になぞらえた「姉・ちはるの名言」がたまらない。
筆者は毎話観終わるごとにメモをする手が止まらなかった。

毎話ごとの名言をピックアップしつつ、ドラマ「僕の姉ちゃん」の魅力を語りたい。

※ネタバレの含まれている箇所があります。閲覧の際はご了承ください。

1話の名言:「いつも30分前からやり直せるといいよな」


1話のタイトルは「家庭的キーワード」。ちはるの職場にいる”いけ好かない女”は、たびたび家庭的キーワードを発するそうだ。ちはるいわく、大層それが鼻につくらしい。


どんな言葉が家庭的キーワードにあたるのかというと、「アイロンをかけながら見ていたテレビが~」「いつも寄るお花屋さんの前でたまたま友達に会って~」などに含まれている太字の部分である。家庭的アピールはいつの時代も人の心をくすぐるのだろうか。

益田ミリ原作ドラマ「僕の姉ちゃん」キャストも衣装も小道具も音楽もすべてが極上の日常ドラマ:一話ずつ名言をピックアップ!


しかし今話でピックアップしたい名言は違う。順平がふと「姉ちゃんって人生でやり直したいことなさそう」と言うのに対し、ちはるが返す言葉に焦点を当てたい。

「そんなことない、いつも30分前からやり直せるといいよな」
「それで大体のことはうまくいく」

この”30分前”が秀逸。昨日でも一週間前でもなく、30分前。
人は30分前にやらかしたことを最も後悔する生き物なのかもしれない。

2話の名言:「え? 生きてることじゃないの?」


2話のタイトルは「指の毛」。どんなタイトルだよ、と思ってしまうが、いざ観てみたら納得だ。職場の同僚に淡い恋心を寄せる順平が、映画デートの約束までこぎつけた。ウキウキする弟に対し姉が一言アドバイスする。

「女子の本気度は、毛でわかることもあーる!」

要はデートで会う時に指の毛まで神経を行き届かせているか否かで、自分に対する本気度が測れるということ。世の女性諸君、いかがでしょうか。
ちなみに筆者は女性ですが、体毛が濃い体質のためデートとか関係なく毎日処理しないと人ではいられない体で生まれてきました。

まさか映画・ドラマメディアで自身の体毛の濃さを暴露することになるとは思わなかったが、今話からピックアップしたい名言はこれだ。順平が投げかける問い「人生でさ、一番頑張ってることってなんだろう?」に対する、ちはるの回答である。

「え? 生きてることじゃないの?」

このドラマを観ていると、本当にこの日本のどこかで、この姉弟が生活している気がしてくる。そして、生きているだけで太鼓判を押してくれるちはるに出会えるような気がしてくるから、不思議だ。

3話の名言:「あんたの良いところは、別にあんたが知らなくてもいいんじゃないかい」

益田ミリ原作ドラマ「僕の姉ちゃん」キャストも衣装も小道具も音楽もすべてが極上の日常ドラマ:一話ずつ名言をピックアップ!


毎話飛び出すちはるの名言が楽しみのひとつだが、その中でも私的名言ナンバーワンを挙げるとしたら、この第3話「出世する人、しない人」で繰り出されたちはる姉さんの名言が、それに当たるかもしれない。

「あんたの良いところは、別にあんたが知らなくてもいいんじゃないかい」

仕事でミスをし、落ち込む順平。
営業なんて向いてない、俺には良いところなんて全然ない気がする、とちはるに対し弱音を吐く。相当落ち込んでいる弟に投げかける姉のこの言葉、しみすぎる。

順平には、幼い頃から仲の良い友人・たけしがいる。お互いに社会人となってからも、たびたび会ったり電話で話したりしているようだ。ちはるはその友人のことを挙げ、自分の良いところは他の人が知ってくれているから大丈夫、と励ましてくれているのだ。

「ついでに私も知ってるし、あんたの良いところ」

家族、友人、パートナー。
こんな自分と一緒に時間を過ごしてくれる人がいる。弱音を受け止めてくれる人がいる。たとえ頻繁に連絡を取り合っていなかったとしても、ふと自分のことを思い出してくれているかもしれない。そんな相手が、自分の良いところを知ってくれている。

そう思うだけで、今日も頑張れる。

4話の名言:「スマホも見ないで、ただ待っててくれた」


4話「結婚の適量」。この話の中でちはるが言う「1日10時間くらいの結婚でいいな。1日10時間は結婚してる私、残り14時間は今の私なの」に共感する人はどれくらいいるのだろう。このトークテーマだけで夜を明かせそうなくらい語れる。

結婚したら、それ以降はずっと「結婚した私」でいなければならないのだろうか。結婚し家庭をつくった瞬間に「今までの私」はいなくなってしまうのだろうか。これまで一人分で済んでいた家事や料理が二人分になるのだろうか。代わりに「一人で夜を過ごす時間」や「咳をしても一人」がなくなるのだから、良しとしなければならないのだろうか。

そんな風に悩む自分が吹き飛ぶ威力を持った言葉「1日10時間くらいの結婚でいいな」。今話の名言にピックアップしたいが、最後の最後でリーサルウェポンがぶっ放された。それが、ちはるのこの言葉だ。

「スマホも見ないで、ただ待っててくれた」

「最近嬉しかったことは?」と順平に聞かれたちはるの回答である。ちょっと気になる人と待ち合わせて食事に行くときのこと。その相手は、スマホを見るでもなく音楽を聴くでもなく、ただ自分を待っていてくれた。それが嬉しかったのだ、と。

このご時世、誰かと待ち合わせるときに「純粋に待つだけ」に時間を割く人なんて、存在するんだろうか……? 意中の相手がいる皆様、ぜひ試してみませんか。とんでもない威力ですよ、きっと。

5話の名言:「私の将来はいつも明日だ!」


5話「浮気ライン」は、全人類が一度は交わしたことのある「どこからが浮気だと思う?」をテーマに展開していく。

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「相手がいるのに他の人と食事に行くのってどうなの?」と憤る順平に対し、「自分が浮気をする側で考えてみたらどうなのよ」と促すちはる。「手を繋ぐまでは良しとしたいかな~」と途端に自分には甘くなる順平……。ちはるではないが、弟よ……とため息をつきたくなる。

そんな順平がまたもや、ちはるに投げかける問い「姉ちゃんの将来の夢ってなんなの?」に対する回答を今話の名言としてピックアップしたい。

「私の将来はいつも明日だ!」
「とりあえず、朝の通勤で座るのが夢だわな」

将来の夢、と聞くと、何かでっかいことを考えなければいけない気分になってくる。離島に移住して優雅な生活を、とか。起業して億万長者、とか。「その夢を叶えるためにコレコレを頑張ってます!」と今の自分を演出するまでがセット。強迫観念に潰されそうになる。

でも、ちはるにとっての将来はいつだって明日。

私たちだって、明日、いや数時間後のことを将来と捉えて生きたっていいはずだ。私の将来の夢は、無事にこの記事を書き上げることです。

​​6話の名言:「自由」


6話「わたしが別れる理由」。このドラマでは一切姿が明かされない「ちはるの彼氏」だが、今回でついにお別れしてしまったようだ。その理由も気になるところだが、ピックアップしたいのは別の名言である。

お決まりの順平の問い「運命の反対語ってなんだと思う?」に対するちはるの回答。

「自由」

なんとシンプルで納得感のある言葉だろう。運命って「運に命じられる」と書く。物事を運命だと受け入れ、流れに身を任せるのは一見楽なことだ。しかし、それは決して「自由」ではない。すでに決められた運命にとらわれるか、楽ではないが自由な道を選ぶか。

ちはるは自由気ままに、奔放に物事を選んでいるように見える。けれど、確実に責任を背負ってもいるのだろう。

7話の名言:「長い時間をかけて、自分の売りにしていくわけさ」

益田ミリ原作ドラマ「僕の姉ちゃん」キャストも衣装も小道具も音楽もすべてが極上の日常ドラマ:一話ずつ名言をピックアップ!


7話「自分の売り」。恋愛の名言のみならず、仕事の名言まで飛び出すのがドラマ「僕の姉ちゃん」の魅力。営業の仕事に対し頻繁に悩みを抱える順平に対し、ちはるは実体験からアドバイスを提供する。それが押し付けがましくなく、納得感もあるから好きだ。

上司とそりが合わず、不機嫌な順平。普段は食事をしながら他愛のないことを話す姉弟なのに、さっさと部屋に引っ込んでしまう。「何かあった?」と気にかけながらシュークリームを買ってくるちはる。

しつこく聞き出そうとするでもなく、「コンビニのシュークリームも美味しいね」などと言いながら、順平が話し出すのを待つ。気づいてはいたけれど、この姉、優しすぎないか……?

正論ばかり言ってくる上司ってどうなの、と愚痴をこぼす順平。その上司はあんたの上司でもあり私の上司でもある、と請け合うちはる。「正論だけど、正解ではない」と。弟の言葉を淡々と受け止める姉の姿に、全視聴者が感動するのではないだろうか。

「俺、自分の売りがわからないんだよね。俺にしかできないことってないし」と言う順平に、ちはるはこう言う。

「絶対にやらないことを一つ決める」
「長い時間をかけて、自分の売りにしていくわけさ」

筆者はこの言葉を反芻しながら考えた。これから自分の売りにしていきたいことって、なんだろう。順平と同じく「正直であること=(嘘を言わないこと)」にしようか。

それは、自分を大きく見せないと決めることだ。翼を持っているのに、飛べない鳥もいるのだから。今の自分にできることをできる範囲でやる。それが自分だ、と受け止めることで、自分を好きになれるかもしれない。

8話の名言:「返信がないのは私のせいじゃないもん」


8話「尽くさない女」。タイトルからして興味をそそられる。意中の相手をデートに誘うものの、返信が来ないちはる。しかし、それを気に病む様子はない。

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順平は問う。「姉ちゃん、あんまり落ち込んでないね」と。ちはるの答えがこれだ。

「当たり前じゃん。返信がないのは私のせいじゃないもん」

ちはるいわく、「デートに誘った勇気までが私のもの。返信の有無までは知らんがな」とのこと。筆者はこの言葉を聞いて、まさに雷に打たれたようになった……。

そうだよな、返信する・しないは完全に相手の裁量でしかないし、返信がないからといって自分の価値が揺らぐこともないし、そもそも人に「価値」なんて存在しないのだ!

恋愛関連のメッセージに限らず、家族や友人同士のやりとりにも当てはまる。返信がないのは自分のせいではない。「お風呂に入ってるのかな?」「飛行機に乗ってるのかな?」などといくらでも想像を広げられる。

ちはるの言葉は、精神にダイレクトに効く薬だ。

9話の名言:「問題ない!」


9話「ハイヒールを履く」。相当嫌なことがあったらしく、だいぶ酔って(荒れて)帰ってきたちはる。順平にソファへと介抱されながら「人は全人類に好かれなくても生きていけるよな?」と確認する。それに対する順平の答えがこれだ。

「問題ない!」

そう、あえて9話では順平の言葉をピックアップする。姉にどんなことが起こったのか気にかけつつも、具体的なことは聞き出さない弟の太鼓判は、視聴者の胸にも届くだろう。

全人類に好かれなくったっていい、嫌われた人には嫌われたままでいい。好きな人に嫌われたら少しだけ悲しいかもしれないけれど、ちはる風に言うならそれだって「知らんがな」だ。

自分は誰が嫌いで、誰が好きなのか。誰の苦手な部分を知っていて、誰の良いところを知っているのか。それを忘れないようにしたい。

ちなみにこのドラマ「僕の姉ちゃん」は音楽も素晴らしい。9話でちはるが新たな恋の予感に気づくシーンで流れる軽快な音楽がとくにテンションが上がる。ぜひ音楽にも意識を向けつつ観てもらいたい。

10話の名言:「形なきものを手に取って捨てられたら、ノーベル賞間違いないね」


10話「手巻き寿司」の日。海外出張に行っていた両親が帰ってくるとあって、束の間の姉弟ふたり暮らしも終わりを迎える。両親を迎えるために「サプライズでもどう?」という、ちはるの思いつきで手巻き寿司パーティを計画することに。

益田ミリ原作ドラマ「僕の姉ちゃん」キャストも衣装も小道具も音楽もすべてが極上の日常ドラマ:一話ずつ名言をピックアップ!


両親のために家中を掃除する順平。「なんか捨てるものある?」と姉に聞く姿がなんともかいがいしい。当のちはるは「……頑張りすぎる心」と、なんとも風流な答えを返す。最初は呆れる順平だが、「心の内のモヤモヤを、捨てた!って確実に確認できると、安心できるんだよね」と言う姉に、段々と乗ってくる。

「形なきものを手に取って捨てられたら、ノーベル賞間違いないね」

形なきもの。捨てられるとしたら、何を捨てたいだろうか。

悩む心。
踏み出せない一歩。
つい口にしてしまった失言。

挙げれば挙げるほどキリがないと思えてくる。ちはるの「捨てたことを確認できないから、人は苦悩するわけよ」という言葉に同意しすぎて首の後ろが痛い。形あるものも、ないものも、要らないものは綺麗さっぱり捨てられたら、人はもっと身軽に生きられるのかもしれない。

ちはるの名言と姉弟の暮らしぶりに癒される

全10話を通し、ピンときた名言をご紹介した。1話30分と短いドラマだけれど、見れば見るほどに発見と癒しがあるドラマである。あなたはどんな名言をメモしたくなるだろうか。

この姉弟の暮らしぶりを見ていると、生きているだけでえらいんだ、無理に変わろうとしなくてもいいんだと思える。外に出れば誰かと比べられたり見下されたり、何かと殺伐としている世の中に思えるけれど、落ち込んだ時こそ「私には、僕の姉ちゃんがある!」と支えにして過ごしていきたい。

ぜひあなたにも、このドラマでお気に入りの名言を見つけてほしい。

(文:北村有)


「僕の姉ちゃん」作品情報


■配信: Amazon Prime Videoにて2021年9月24日(金)より全話一挙先行配信

■テレビ放送: テレビ東京にて2022年放送予定

■出演:黒木華/杉野遥亮 / 久保田紗友/若林拓也 春原愛良 藤間爽子 大場みなみ 岩谷健司 / 湯川ひな 遊屋慎太郎 渡辺大知 片桐仁 / 平岩紙

■原作:益田ミリ「僕の姉ちゃん」シリーズ(マガジンハウス刊)

■公式HP:https://www.tv-tokyo.co.jp/bokuane/ 

■公式Twitter:@tx_bokuane  

■公式Instagram:@tx_bokuane