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柳楽と言えば、まず語られるのが、2004年に公開された映画『誰も知らない』で主演を務めたことだろう。本作は、第57回カンヌ国際映画祭において、史上最年少(当時14歳)で最優秀主演男優賞を受賞し、大いに話題となった。後日談として、この受賞が“プレッシャー”となっていたと語っていたが、2007年公開の『包帯クラブ』撮影後、体調を崩し、徐々にメディアから遠ざかっていく。
2009年には、女優・豊田エリーとの婚約を発表し、翌2010年に入籍。同年10月には女児が誕生し、一児の父となる。この間も、俳優活動は続けていたが、「役者としての転機となったのは、2012年に出演した蜷川幸雄演出の舞台『海辺のカフカ』だ」と柳楽に取材した映画ライターは語る。舞台で躍動する彼は、非常にエネルギッシュで力強かった。
「その経験が、柳楽にあることを気づかせた」と前述の映画ライター。それは、映画と舞台の違いや、フィールドによってさまざまな表現方法があるということだと言う。
『ゆるせない、逢いたい』で柳楽が演じたデートレイプの加害者となる青年は、ナイーブで内向的。体格が良いギラギラした見た目は「主人公のイメージとはかけ離れている」と悩み、自らを責めたと言う。そんな中「現状のベストを尽くす」という信念で、見事に主人公の心の闇を演じきったのだ。そしてこのころから、作品によって“七変化する俳優”というイメージが定着。自身も「全く別人だね」と感想を言ってもらえることに、役者としての喜びを感じるとインタビューで語っている。
そこから柳楽の快進撃が始まる。2014年だけでも『クローズEXPLODE』、『闇金ウシジマくん Part2』、『最後の命』と話題の映画に出演し、ドラマ『アオイホノオ』では地上波連続ドラマ初主演を果たす。どれも個性的で強烈な印象を残した。特に『闇金ウシジマくん Part2』でみせた驚愕ストーカーは、個性派ぞろいのキャスト陣や、山口雅俊監督からも「あいつはヤバい」と言われるほどのキャラクターだった。
2015年も勢いは続く。3月30日からスタートするNHK連続ドラマ小説『まれ』では、土屋太鳳演じる主人公・希の修行先であるフランス菓子店の息子・大輔を演じるほか、映画『合葬』では、主演として幕末「彰義隊」の青年に魂を吹き込む。「今度はどんな演技をみせてくれるのだろうか……」とワクワクさせられる俳優。そんな期待を“プレッシャー”ではなく“楽しめる”柳楽は無敵なのかもしれない。