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本作は、東京・品川のホストクラブ「明烏」を舞台に、12時間後に迫る1000万円の借金返済に追われる売上最下位のホスト・ナオキ(菅田)と、ひとクセあるホスト仲間や女性客らがハチャメチャに絡み合うアドリブ満載の爆笑コメディ。城田、佐藤、ムロに加え、ナオキを追い込む借金取りの新井浩文や、福田監督が惚れ込んだという紅一点・吉岡里帆など、個性派俳優が大挙出演し、笑いのバズーカ砲をぶっ放す。
福田監督の作品に出演するのが夢だったという菅田は、「映画やドラマは全て観ていますが、とくに『モンティ・パイソンのスパマロット』(舞台)の衝撃が大きい」と明かし、意外と早くチャンスがめぐってきたことに歓喜したという。だが、実際に現場に入ってみると、予想以上にシビアな現場で、最初はかなり戸惑ったという菅田。
「撮影期間はわずか6日間、作り込んでやれるわけではないので、役者としての底が見えてしまう。しかもナオキは、ほぼリアクション芝居なので、相手に合わせて反応しなければならず、引き出しを作っている暇もなかった」と吐露。さらに、「正直、受け入れる体勢ができてから現場に入りたかったけれど、逆にその危うさがナオキには必要だったんですね。“笑い”に関しては真摯(しんし)に向き合いました。皆さん、アドリブで攻めてきましたが、僕だけは台本に忠実でしたよ」と舞台裏を明かしてくれた。 アドリブといえば、福田組である佐藤とムロ。「この2人のアドリブ合戦を客として観られないことがくやしかった。
ホスト指名最下位をぶっちぎる借金まみれのクズ野郎、ナオキというキャラクターは底抜けにダメな男だが、どこか憎めない愛嬌がある。それは全て、菅田のとことん真面目に演じるがゆえの滑稽さ。「僕の夢は、おじいちゃんになったときに、アフロヘアで孫にお年玉をあげることなんです(笑)。なぜかわからないですけど、アフロヘアで無駄にじゃらじゃら付けてるおじいちゃんに憧れるんですよね。だから、アフロヘアの役をいただいてちょっと夢が叶いました。それに、ナオキのあのファッション、僕の好きな感じなので、堂々と着こなしているナオキを褒めてやりたい」。菅田が憑依し、ナオキは観る者を惹き付ける史上最強のクズ野郎になった。(取材・文・写真:坂田正樹)
映画『明烏 あけがらす』は5月16日より全国公開。