女優・釈由美子が躍動する──。2001年の初主演映画『修羅雪姫』以来、14年ぶりに挑んだ本格アクション映画『KIRI‐「職業・殺し屋。」外伝‐』。
【関連】「釈由美子」インタビュー写真
古武道との出会いは3年前。 出演したNHK総合『隠密八百八町』で納得いく殺陣が出来ず、先輩の俳優さんに勧められたのがきっかけだと言う。「最初は殺陣を勉強しようという気持ちだったのですが、道場に行ったらガチなもので(笑)」。
あっという間に古武道の魅力にとりつかれた釈は、黒帯をとるまでになった。「身体ばかりではなく、メンタルも鍛えられるんです。私は芸能界に入って18年になるのですが、20代はフワフワして自分に自信がなかったし、仕事のプレッシャーに押しつぶされそうになることも多かったんです。でも古武道に出会って、ブレない軸ができたというか、女優としても地に足がついてきたのかなって思うんです」。
そんな中、本作出演の話が舞い込む。「もう少し早くやりたかったなというのが正直な気持ちです」と胸の内を明かすと「年齢も年齢なので、若いうちの方が身体も動きますし、いいパフォーマンスができるのかなって……」と理由を説明する。
一方で、本作のオファーに運命的なものを感じたという。
“一緒に戦う”というキーワードは釈に力を与えた。「戦っている女性の役が、その環境に置かれた自分とシンクロし、作品にのめり込めたんです」。その言葉通り、劇中、釈が演じたキリは、殺し屋という一面を持ちながらも、心の奥に、はかなさや脆さ、弱さが垣間見える立体的なキャラクターとして、見ているものに多くの感情を掻き立てさせる。 セクシーなボディーラインも、釈の表現方法の一つだ。宣伝ビジュアルの白いタンクトップ姿は、ため息が出るほど美しくありながら、哀愁も漂う。「女性がアクションをやるうえで大切にしたいなと思っているのが、強さだけではなく、脆さや弱さがにじみ出てくるような主人公にしたいということ。結構露出の多い衣装だったのですが、あざといエロさじゃなく、背負っているものがにじみ出ればと思っていました」。
「地道に18年間、女優をやらせてもらってきました」とこれまでの芸能活動を表現。「20代は受け身の人生でしたが、30代は『自分と向き合おう』と思ったんです。30代前半には、結婚か仕事かという選択肢に対して、自分の意志で結婚ではなく仕事を選びました」と釈。
「30代後半に差し掛かって思うことは、居心地のいい自分でいたいということなんです。結婚するかもしれないし、仕事をやるかもしれない、はたまた両立するかもしれない。でもどういう選択肢を選ぶにしても、嘘のない自分でいたい。その意味で、作品も『次につながるため』ではなく、どんな選択をしてもいいように『全力投球』したいんです」。そんな釈の“全力”が本作には詰まっている。(取材・文・写真:磯部正和)
映画『KIRI‐「職業・殺し屋。」外伝‐』は6月20日より公開。
プライベートでも古武道の有段者という釈が、劇中では、極限まで鍛えあげたボディーを駆使し激しい殺陣を披露している。彼女にとって「運命的な作品」と位置づける本作、その言葉の裏には、今年1月に他界した父への想いがあった。
【関連】「釈由美子」インタビュー写真
古武道との出会いは3年前。 出演したNHK総合『隠密八百八町』で納得いく殺陣が出来ず、先輩の俳優さんに勧められたのがきっかけだと言う。「最初は殺陣を勉強しようという気持ちだったのですが、道場に行ったらガチなもので(笑)」。
あっという間に古武道の魅力にとりつかれた釈は、黒帯をとるまでになった。「身体ばかりではなく、メンタルも鍛えられるんです。私は芸能界に入って18年になるのですが、20代はフワフワして自分に自信がなかったし、仕事のプレッシャーに押しつぶされそうになることも多かったんです。でも古武道に出会って、ブレない軸ができたというか、女優としても地に足がついてきたのかなって思うんです」。
そんな中、本作出演の話が舞い込む。「もう少し早くやりたかったなというのが正直な気持ちです」と胸の内を明かすと「年齢も年齢なので、若いうちの方が身体も動きますし、いいパフォーマンスができるのかなって……」と理由を説明する。
一方で、本作のオファーに運命的なものを感じたという。
「たまたまこの作品のお話をいただいたときに、私の父が余命半年のガン宣告を受けていたんです。父と過ごせるのが残りわずかかもしれないので、看護をしたいという気持ちもあったのですが、父が『俺も戦っているんだから、お前も戦ってこい』って笑顔で言ってくれたんです」と釈は当時を振り返る。
“一緒に戦う”というキーワードは釈に力を与えた。「戦っている女性の役が、その環境に置かれた自分とシンクロし、作品にのめり込めたんです」。その言葉通り、劇中、釈が演じたキリは、殺し屋という一面を持ちながらも、心の奥に、はかなさや脆さ、弱さが垣間見える立体的なキャラクターとして、見ているものに多くの感情を掻き立てさせる。 セクシーなボディーラインも、釈の表現方法の一つだ。宣伝ビジュアルの白いタンクトップ姿は、ため息が出るほど美しくありながら、哀愁も漂う。「女性がアクションをやるうえで大切にしたいなと思っているのが、強さだけではなく、脆さや弱さがにじみ出てくるような主人公にしたいということ。結構露出の多い衣装だったのですが、あざといエロさじゃなく、背負っているものがにじみ出ればと思っていました」。
「地道に18年間、女優をやらせてもらってきました」とこれまでの芸能活動を表現。「20代は受け身の人生でしたが、30代は『自分と向き合おう』と思ったんです。30代前半には、結婚か仕事かという選択肢に対して、自分の意志で結婚ではなく仕事を選びました」と釈。
そんな決断に「その選択肢への後悔はしていませんが、だからと言って一生独身と決めているわけではないんですよ」と笑顔。
「30代後半に差し掛かって思うことは、居心地のいい自分でいたいということなんです。結婚するかもしれないし、仕事をやるかもしれない、はたまた両立するかもしれない。でもどういう選択肢を選ぶにしても、嘘のない自分でいたい。その意味で、作品も『次につながるため』ではなく、どんな選択をしてもいいように『全力投球』したいんです」。そんな釈の“全力”が本作には詰まっている。(取材・文・写真:磯部正和)
映画『KIRI‐「職業・殺し屋。」外伝‐』は6月20日より公開。
編集部おすすめ