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『ジュラシック・パーク』シリーズ第4弾となる本作は、製作総指揮のスティーヴン・スピルバーグが、その才能に惚れ込んだという俊英コリン・トレボロウ監督を招いて作り上げた超大作。長編実績のないコリン監督の抜擢は異例だが、「お互いに心から信頼し合う2人の師弟愛はとても美しいものだった」とブライスが語るように、過去作にはない新たな恐竜世界は、ドラマチックな展開に満ちあふれている。
本作で、テーマパーク“ジュラシック・ワールド”の責任者クレアを演じたブライスは、飼育員オーウェン(クリス・プラット)の警告を聞かず、収益アップのために遺伝子操作で新種の恐竜インドミナス・レックスを誕生させる。ところが、知能が高く凶暴なインドミナスが脱走し、パーク内は地獄絵図に。
何といっても見どころは、CGを駆使した恐竜VS人間、恐竜VS恐竜の壮絶バトルだが、手には松明、ときにライフル、白いスーツを泥だらけにしながら、ハイヒールで疾走するブライスの体を張ったアクションも圧巻だ。「走るのに邪魔だからヒールを折っちゃおうとか、裸足で走ろうとか、いろいろ考えましたが、クレアはバリバリのキャリアウーマン。だったら、マラソンだって、ジャングルだって、ハイヒールで走り通すはず」とその経緯を振り返る。 映画を観れば一目瞭然だが、恐竜の猛追を振り切る驚異の脚力は、ハイヒールを履いているなんてウソのよう。これに対してブライスは、「特別な訓練はしなかったけれど、足首だけは強化した。MMA(総合格闘技)のピート・ウィリアムスを招いて、武道で培った本格エクササイズを徹底的にやったおかげでケガは一度もなかったわ」と胸を張る。
襲われる人間が、ただ叫んで逃げるだけでは、恐竜映画といえどもシラけてしまう。
確かにオーウェンが手を差し伸べても自力で走り去り、逆に彼が恐竜に襲われる寸前に銃をぶっ放し、命を救っていたりする。「でも、オーウェンはとても勇敢で心が温かい人。彼を演じたクリスもね。もし地球滅亡の日が来たら、クリスの家に逃げ込むわ」と共演者を称える余裕も見せた。働く女性の底力、恐るべし。
『ラッシュ』『アポロ13』など、数々の名作を世に送り出した名監督ロン・ハワードを父に持ち、「小さな頃からセットが遊び場だった」という生粋の映画人ブライスは、短編映画の監督やプロデューサーもこなす才色兼備。「今後も女優業は続けるつもり」としながらも、父の遺伝子が疼くのか、「いつか長編映画も監督してみたい」と大きな瞳を輝かせていた。(取材・文:坂田正樹)
映画『ジュラシック・ワールド』は8月5日より全国公開。