【関連】飛行機内での恐怖を描いた『7500』フォトギャラリー
本作は、ロサンゼルス発、東京行きのジャンボジェット7500便の機内を舞台に、様々な事情を抱えた乗客たちのドラマをグランドホテル形式で描きながら、1人の男の謎の死をきっかけに一気にホラーへと展開していく衝撃作。死体を乗せたまま飛び続ける7500便の中では、様々な怪異が巻き起こり、やがて乗客は疫病のように次々と謎の死を遂げていく。
今回で3度目のハリウッド進出となった清水監督。きっかけは『THE JUON 呪怨』のプロデューサー、ロイ・リーとの再会から始まったという。「久々にお会いして、『飛行機の密室で起こるパニックものを作りたいと思っているが、興味あるか?』と持ちかけられた。ちょうど僕も、見ず知らずの人達が知り合って、恐怖体験を共有するという “群集心理”に興味があったので、その場で話が決まり、速攻で脚本を依頼していた」と述懐する。
清水監督といえば、『呪怨』シリーズなど、一軒家のような“箱”の中の恐怖描写で手腕を発揮するが、今回は飛行機という密室空間。「高度1万フィート上空で逃げ場のない空間。恐怖の群集心理が巻き起こるにはもってこいの舞台でしたね」とニヤリ。「でも、今回は前2作と違って完全にアメリカの地でアメリカ人のスタッフと作ったので、日本に比べ、やりやすい面、やりにくい面、一長一短があった」と含みを持たせる。
一方、作業の面では、「向こうは労働基準や組合もしっかりしていて、人としての暮らしが守られているので、根性論など通用しない。敬語もなく、分業社会なので、自分の仕事が終わると、周囲がどんなに忙しくても知らん顔、足を組んでコーラを飲んでいたりする(笑)。でも、これは日本の現場じゃ通用しない。黒澤明監督の組でも、あるパートが遅れるとみんなで手伝って何とかしようと協力し合っていたようですが、そこは日本人の美徳」と指摘する。
恐怖描写では、スタッフと意見が合わないところも少なからずあったという清水監督。今後もハリウッドでホラーを撮る予定はあるのだろうか。「なかなか面白い企画を提供されないが…面白いと思える企画があれば、どこへでも。
ただ、最近、(『呪怨』の主人公である)伽倻子と俊雄が映画館のもぎりをしたり、ダンスを披露したり、プロレスに参戦したり、ホラーを超えた宣伝パフォーマンスには「そんな事してるんですか?もう僕の手から強引に剥ぎ取られたシリーズなので何とも言えませんが…正直、最低ですね。どこまで過去の栄光にすがりつくつもりでしょう(苦笑)。僕は無関係です」と生みの親として複雑な心境をのぞかせた。