現在放映中の金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』(TBS)のヒロイン役をオーディションで勝ち取った、注目の若手女優・芳根京子。8月22日(土)より公開された映画『向日葵の丘 1983年・夏』では、常盤貴子演じる主人公の高校生役もオーディションで掴み取った。
“オーディション荒らし”なんていう異名を持つ芳根は、業界関係者からの評価も高い。インタビューからその理由が見えてきた。

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 常盤貴子が演じる主人公・多香子の高校生時代役をオーディションで手に入れた芳根。「3次オーディションまであったのですが、途中から多香子役しか演じなくなったんです。私の存在を忘れられているのかと思って、監督に思い切って『ほかの役もやらせていただけませんか?』とお願いしたぐらい(笑)。正直受かると思っていなかったので、役をいただいたときは、おお!って感じでした。オーディションの時に学生時代の思い出を聞かれて、高校1年の頃に文化祭で映画を作ったことを話したんです。そしたら太田(隆文)監督が『この映画はそんな話だよ』とおっしゃったのでびっくりして。このエピソードがよかったのかもしれないですね」。

 一本気で何事にも一生懸命な多香子は、芳根のイメージと重なる。「自分でも似ていると思います(笑)。この現場は、自由にのびのび演じられて本当に楽しかった。
感覚で演じたことを、監督がよかったとおっしゃってくれたのが嬉しかったです。撮影中、たまに頭が真っ白になって、自分なのか多香子なのかわからなくなったりして。役に入り込むってこういうことなのかなと。この作品のおかげで、お芝居の幅が広がったような気がしています」。

 太田監督の演出のおかげで自由に演じられた反面、心配事も絶えなかったという。「演じた後にすごく不安になってしまうんです。常に全力でやっているのですが、少しアプローチを変えるともっと演技がよくなる、120%の演技になるのなら私はそれをやりたいから。とにかく中途半端が苦手。一度始めたことを途中で辞めることも、適当にやることも自分が許せないんです。頑固で負けず嫌いな面倒くさいタイプ」なのだといたずらっぽく笑う。 そんな気質も演者向きだが、高校1年生でスカウトされてデビューするまで演じることに全く興味がなかったそう。「吹奏楽部の部活動が忙しくて、映画もドラマも全然観ていなくて。
私のおじさんがコントラバスの奏者で、おばさんはピアニスト、母はピアノ、兄はドラムとかベースをやっているような音楽が身近にある家族なんです。私もピアノを当たり前のように習っていた(笑)。当時は音楽と、あと料理にしか興味がありませんでした」。

 音楽を学んでいたことが功を奏したのか、現在放映中の金曜ドラマ『表参道高校合唱部!』(TBS)のヒロイン役もオーディションで抜擢された。「今回のドラマでは短期間で合唱の音取りをしないといけないんです。毎週違う歌を歌うし、毎日練習できないので、音楽ができて本当によかったと思います」。数々のオーディションを勝ち取っているせいか、“オーディション荒らし”との異名があることを伝えると「全然そんなことないです!」と肩をすぼめる。「ダメだったことも何度もありますよ! そのときはもちろん反省しますが、全力で臨んだので悔いは残りません」。

 今秋には映画『先輩と彼女』が公開するなど、出演作が絶えないよう。今後ますます活躍しそうな彼女に女優としての目標を尋ねると「正直、演じる楽しさを知るようになったのは、1年半ぐらい前なんです。演技は、音楽や料理と同じで、感覚で動けるから好きなのかなと。だから今はまだ自分でもどんな女優さんになれるのかな?という感じです。
とにかくいただいたお仕事を一つひとつ一生懸命に演じていった先に、自分らしい女優になれるのかなと。そうなれると希望を持って毎日全力で頑張っています!」。若干18歳ながら自分の性格を加味した目標がなんとも頼もしい。活躍を期待せずにはいられない、女優が登場したようだ。(取材・文:小竹亜紀)
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