『スピード』『マトリックス』など、その“スタイリッシュなアクション”で世界中を魅了してきたキアヌ・リーヴス。今回、そんなアクションの魅力全開のキアヌが帰ってきた。
話題の新作『ジョン・ウィック』(公開中)では、“ガンフー”と銘打たれた迫力いっぱいのアクションを見せており、キアヌは「早くこういう作品に回帰したいと思っていました! 」と感慨深そうに語った。

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 本作でキアヌが演じるのは、元・殺し屋というダークヒーローのジョン・ウィック。事前に柔道、柔術を学び、スタントマンを使わずに臨んだというアクションは、テンポのよさに加え、さらに迫力を増している。また登場人物からあふれる情熱やストーリーの面白さも魅力の作品だ。

 監督のチャド・スタエルスキと、製作のデヴィッド・リーチとの共同作業による本作について、「もともと僕が本を読んでいて、二人に話を持って行ったんです。この二人だったらストーリーありきのアクション映画が撮れると思いました」とキアヌ。特にチャドとは18年の付き合いで志向もしっかり理解しているという。「アクションもジョンのキャラクターの表現も、監督の指示に従えばちゃんとしたものができると思った」と絶大な信頼を置いており、「パーソナルな部分での関係もすごく密だし、3人で話し合って深いコラボレーションになっています」と自信を見せる。

 最愛の妻を病で亡くしたジョンは、亡くなる直前に妻が送ったデイジーという小さな犬と、愛車マスタングとともに暮らす中で次第に穏やかな気持ちを取り戻していた。だが、愛車と愛犬を奪われたことをきっかけに、心の底に封印していた“殺し屋の魂”が蘇る…。 「ジョンは悲しみを抱えている男というところが気に入っています」と語るキアヌ。「過去と決別して一緒になった奥さんと死別し、愛車も愛犬も奪われめちゃくちゃにされてしまう。
とことん悲しむジョンがとても情熱的なんです。でも、この作品は復讐劇なのではなくて、“失くしたものをもう一回取り戻すんだ”という物語。暴力の世界でずっと生きてきて、それでめちゃくちゃになった自分をもう一度取り戻したいという…」。

 また、ジョンの殺し屋時代の盟友であり、良き理解者のマーカス役としてウィレム・デフォーが出演しているが、意外にも今回が初共演となる。キアヌは「デフォーの映画は何作も観てきた。経験豊富で素晴らしい役者。共演者をグッと引き込みます」と絶賛。

 話題となっている、“ガンフーアクション”については、「カンフーとガンアクションを混ぜ合わせたのがガンフーで、監督たちが考えたフレーズです」とのこと。その裏には意外なモチーフがあることも明かした。「監督たちは千葉真一さんの影響を多分に受けていると思います。三船敏郎さん、黒澤明監督なども…」。実はキアヌ自身も特に千葉を敬愛しているという。
「日本というのはアクション映画の発祥地だから…」と、日本映画へのリスペクトの思いも含まれているようだ。

 気になる続編については、「いいストーリーが出来上がってるよ。今トレーニングをしています」と楽しみなコメント。「できれば年内か年明けに撮影できればと考えています」とのことだ。次回作で監督を務める可能性について問うと「パート2の監督はチャドです。またいつか監督をしたいけど、うーん、どうなるかわかんないな…」と微笑むキアヌだった。(取材・文:田中裕幸)
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