ディズニーの不朽の名作をエマ・ワトソン主演で実写映画化した『美女と野獣』。本日からついに日本での公開が始まった。
本作をひと足早く鑑賞した元宝塚で女優・タレントとして活躍する遼河はるひは「宝塚を目指していた頃の私は、ベルのようだったかもしれない。周りには変わり者と見られていましたから」と勇気を持ったヒロイン・ベルに強烈なシンパシーを寄せる。映画の感想を語ってもらうと、感動の思いとともに、遼河の“強さのヒミツ”までが明らかとなった。

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 聡明で美しい女性・ベルと、魔女の呪いによって野獣の姿に変えられてしまった王子との運命の愛を描く物語。アニメーション版(91)も劇団四季による舞台版も「何度も観ている」という遼河。『アラジン』『リトル・マーメイド』等の音楽を手がけた巨匠アラン・メンケンによる珠玉のナンバーも本作の人気の秘訣だが、「カラオケでいつも歌うんです。ベルだけじゃないですよ!全役一人で歌います(笑)。『美女と野獣』の物語と歌詞・メロディーがマッチしているので、役になりきって入り込んで歌える曲ばかり」とその楽曲にもゾッコンで、「本作で歌われている新曲も素晴らしい楽曲ばかりで歌いたくなりますね!早くカラオケに入らないかな」と目を輝かす。

 『美女と野獣』大ファンの遼河にとって、今回の実写化をどう感じただろう?「漫画や、アニメ、小説などなんでもそうですが、好きすぎるものが実写化されると素直に受け入れられなかったりしますよね。でも今回は、そんな心配は無用でした。映画が始まったら、いつの間にかその世界に入り込んでいました。衣装もすごくかわいくて、やっぱりベルと野獣のダンスシーンは一番感動的。
うるっときました」。

 読書が大好きで、独立心旺盛なベル。村人たちからは「変わっている」と思われていながらも周りに流されない心の強さを持つベルを、エマ・ワトソンが演じている。遼河は「私も宝塚を目指していた時は変わり者だと思われていたんです。あの頃の私はベルのようだったかも…」と告白。「クラスメイトの誰にも“宝塚を目指している”とは言わず、内緒で受験をしました。密かにレッスンに行って、猛勉強をしていたので、周りからは何をやっているか謎だったと思う。でも私は、ブレずにまっしぐらでしたね」とまっすぐなベルと、夢に向かって突き進んでいた頃の自分とを重ね合わせていた。 ベルは父親の愛に包まれていたからこそ、自分の意志を貫ける女性に成長したが、遼河もまさに同じ。「私は小さい頃から宝塚が好きだったわけじゃないんですよ(笑)。でも高校一年生の冬に初めて宝塚を観て、こんな華やかな世界があるのか!と男役の魅力にも引き込まれてしまって。観た瞬間に人生が変わりました。
両親も宝塚に興味がなかったんですが、私の“宝塚に行きたい”という熱意を感じて、応援してくれるようになって。バレエも歌もやらせてくれて、今になって考えるとお金もかかったと思う。応援してくれているという安心感、温かさがあったからこそ、私もブレずに自分の道を突き進む強さが持てたんだと思います」。

 そんな彼女にとってベルの父親はもちろん、ベルや野獣を取り巻く個性的なキャラクターも印象に残った様子。「野獣のお城に住んでいて燭台に変えられたルミエールも、執事のコグスワースもみんな、人を思いやる愛に満ちていますよね。野獣に対してもすごい愛に溢れている。その周囲の気持ちにとても心が温まりました。誰もが色々な立場に自分を置き換えて見ることができると思います」。

 凛とした佇まいが魅力の遼河だが、「もし心が折れそうになっても、自分は幸せな環境にいるんだと思うと力が出てきます」と周囲を見渡すことが、彼女の強さのヒミツ。「この映画を観て、改めて“自分にとっての本物ってなんだろう?”と考えることができました。表面で見るのではなく、色々なものを心の奥底で見つめたくなる。私にとって本物とはなんだろう?と思うと、やはり“周囲に支えられて今がある”ということなんだと思います。
家族や周囲の大切さを感じられて優しくなれる、大人にこそ観てほしい映画だと思います。あと、野獣みたいな人を見つけたくなりましたね(笑)」。(取材・文・写真:成田おり枝)

 映画『美女と野獣』は4月21日より全国公開。
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