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漫画のメディアミックス展開は珍しくないが、ここまでお尻をそろえて綺麗に終わらせる例は意外と思いつかない。原作に追いついてしまったアニメがオリジナル展開に入ってストーリーを引き伸ばしたり、原作が終わる前に実写化された映画がオリジナルの結末を作ったりしてファンから批判されていることを思えば、「最終回」を合わせるやり方はかなり理にかなっている……というよりも、なぜ今までこのやり方が主流ではなかったんだろうという気すらする。
しかし、いくら原作通りに描いているとしても、中身がいまいちでは意味がない。ということで、原作ファンの視点から『暗殺教室~卒業編~』を鑑賞してみたのだが、これが意外と(?)悪くなかったのである。
『暗殺教室』は、進学校「椚ヶ丘中学校」の落ちこぼれクラスである3年E組のメンバーが、同クラスに担任として赴任してきた謎のクリーチャー「殺せんせー」の暗殺を目指すというちょっと変わった設定の作品だ。
作者の松井優征は『魔人探偵脳噛ネウロ』で知られる漫画家で、奇抜な設定や世界観を作り出し、それを見事にまとめあげる脚本力で知られている。『暗殺教室』にしても何やら物騒に思える設定だが、作品から伝わってくるメッセージは友情や努力の大切さといった王道路線。そういうものをストレートに口に出す気恥ずかしさをオブラートでくるむための奇抜な設定といった印象だ。
『暗殺教室』は一度実写映画化されており、今回はその続編。前作をご覧になった人なら違和感はないだろうが、初めて見る場合はCGで描かれた殺せんせーの造形に一瞬、ぎょっとするかもしれない。
原作と最終回を合わせてきた「卒業編」だが、基本的には原作での重要なイベントを拾っていくという構成になっている。原作を読んだ人ならだいたい納得するシーンが拾われていて、描き方も忠実だ。アクションはワイヤー丸出しのところもあるが、まぁご愛嬌といったところ。総じて『暗殺教室』のエッセンスはしっかり入っているといっていいだろう。
原作、アニメ、映画が足並みをそろえたことで、綺麗にまとまった『暗殺教室』ワールド。今後もこの方式が増えていくかもしれない。(文:山田井ユウキ)
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