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現実社会ではいつの時代も、バッシングの的となる“不倫”や“二股”だが、ドラマ界では、実は鉄板ネタでもある。記憶に新しいところでは、上戸彩が主演し斎藤工のブレイクのきっかけになったドラマ『昼顔~平日午後3時の恋人たち~』がある。平均視聴率13.9%を記録するなど、特に女性から高い支持を得た作品だ。このドラマが女性から高い人気を得たのは、女性たちが日頃感じている不満や願望を体現し、自分はしないけれどその世界は見てみたいという好奇心を刺激したからではないだろうか。昼ドラの世界にも通じる世界観がそこには広がっていたのだ。
では、4月期からスタートするドラマは、どんな世界観を描いているのだろうか。注目の2作品を紹介したい。
1つ目は、林真理子の傑作不倫小説を、栗山千明&市原隼人で20年ぶりにドラマ化する『不機嫌な果実』(テレビ朝日系/4月29日スタート)。本作は、夫・航一(稲垣吾郎)に女として見てもらえなくなり、結婚生活への不満が募った麻也子(栗山)と、情熱的な音楽評論家・工藤通彦(市原隼人)の禁断の愛を描いたラブストーリー。1997年には、石田ゆり子と岡本健一でドラマ化、同じ年には南果歩と鈴木一真で映画化もされた。
不倫ものといえば、“不機嫌な果実”を思い浮かべる人も多いであろう作品だけに、今回はどのような見せ方をするのか、注目される。栗山は、「2016年版の麻也子は純粋に幸せを求め、不満が募った結婚生活から脱出しようともがく女性」と自身の演じるヒロイン像を語っており、より女性からの共感を集める作品となるのかもしれない。
前田演じるゆり子は、男を信じることができず、恋愛をするときに「彼氏を二人作る」というルールを作っていた。ある日、政治記者に抜擢されたゆり子は、ライバル社の小津翔太(新井浩文)と出会い、小津が気になりだすゆり子だったが、小津は既婚者だった…。
本作で注目したいのは、リアルさだ。政治記者という設定や独特のルールを持つ女性という、身近ではない設定ではあるが、そこで語られるゆり子の言葉が、女子たちが日頃、思い悩んでいることにぴったりくれば、共感を得ることができるだろう。二股や不倫を描いていたとしても、女性からの高い支持を集めることができるのだ。
はたして、4月スタートのドラマたちは、女性からの支持と共感を集めることができるのか。第二の『昼顔』となるのか、注目したい。(文:嶋田真己)