まもなく公開を迎えるアニメーション映画『GANTZ:O(ガンツ:オー)』。同作で描かれるのは、浪速のGANTZメンバーが初登場し、本来の主人公・玄野計がいない世界で加藤勝が奮闘するエピソード「大阪編」。
今回、原作者の奥浩哉が同映画の完成にまつわる喜びや大阪編誕生の経緯を明かしてくれた。

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 本作でフル3DCGとして描かれる大阪編は、累計発行部数2100万部を誇る人気マンガ『GANTZ』の中でも特に高い人気を誇る。そんな『GANTZ:O』について、奥は「ファンの人に100%満足してもらうことを目指して作られたものですが、GANTZを知らない人でも楽しめる、“こんなの見たことない”と驚く映像が矢継ぎ早に出てくるジェットコースターみたいな映画」と解説する。

 「実は5、6年前から企画が動いていました。パイロット版(試作映像)を見たときから“ぜひやってほしい”と思っていて、やっと念願が叶いました。僕が頭の中で描いた以上のイメージが具現化されていて、漫画を越えているイメージ。
一生の宝物になりました」。

 本作で奥は一部デザインの“改良”を担当。「主にメカデザインのリファインです。Xガン、Xショットガン、Yガン、Zガン、あとはGANTZバイク。他にも『巨大ロボの必殺技みたいなものを考えてくれ』と言われました。原作にあるものは全部、フル3DCG用にディティールを増やして、原作よりもうちょっとデザインをカッコよくしました。
特にZガンは、動く映像を見たとき嬉しかったです」と話す。

 フル3DCG化にあたって制作サイドに出した要望は、モブへのこだわり。「アニメでモブが手抜きにされているのを見ると『お金がないんだな…』とゲンナリしてしまうことがあるんです。だから『できるだけモブも手を抜かないで描いてほしい』とだけ言いました」。 個性的なキャラが揃う大阪チームは、100点を何回も取っているメンバーが強力な武器を携えて登場する。「大阪編は少年誌っぽいノリを目指して、強い敵と強い味方がどんどん出てきて戦い合うようにしました。
敵も100点かもしれない奴が現れますし、ヒエラルキーを作ろうと思って何回もクリアしている強い奴をたくさん出てきます。実験的な試みでしたが、やってみたら人気が出ました」と回想。「結局、描いていくうちに強い敵がインフレを起こして、キャラも増えて“コイツとコイツの戦いも描かなきゃ”とやってたらすごく長くなってしまいました」と語る。

 「実験的」と口にした理由を問うと、GANTZ最後の戦いである「カタストロフィ編」を大阪編の時点で「意識していた」と言う。「先に思いついたのがカタストロフィ編です。GANTZの玉が世界中にあると考えたときにアメリカやイギリス、イスラエルなどにもあるという感じで考えていました。
その手前でクッションを置くために“日本の中で置くならどこだろう”と考え、道頓堀が戦いの舞台にいいなと思って大阪を選びました」。

 もし「予算が潤沢で、制作にたっぷり時間をかけていい」と言われた時に『GANTZ:O』のように映像化したいのはどのストーリーか。「もちろんカタストロフィ編。たぶんあれを全部やろうと思ったら300億円くらいかかる。ハリウッドでも無理かもしれませんね」と笑った。(取材・文・写真:桜井恒二)

 映画『GANTZ:O』は10月14日公開。