可憐なヒロインを演じることが多かった20代を経て、30代から悪女役のオファーが舞い込むようになった相武紗季。キュートな顔を曇らせ、ドスのきいた声を発するかと思いきや、ネコナデ声で甘える様子は、なかなかハマっており、ふり幅の広い演技で視聴者を魅了する。
そんな相武が、現在放送中の連続ドラマ『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』では、悪女でもない、いい子ちゃんでもない「クールな女医」を演じている。新たな境地に意欲を燃やす相武本人に、話を聞いた。

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 吉田羊が初主演を務める『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』は解析診断部の女医7人によるメディカルチーム「レディ・ダ・ヴィンチ」が、正体不明の病を解明する、1話完結型の新感覚医療ドラマ。中でも、相武は執刀医として抜群の腕前を持つ外科医の新田雪野を演じている。ぶっきらぼうながらも、天才肌という存在感を放つ役どころだ。相武いわく、「今回は頭のいいクールな役なので、ボロが出そうで(笑)、抑えるのに毎回必死です。後半になるにつれて、自分の仕事にやりがいを感じているまっすぐな人だということが明るみになります」と、役柄とは離れた、はにかんだ表情を見せる。

 物語の中で毎話お馴染みとなったのは、吉田、伊藤蘭吉岡里帆白鳥久美子(たんぽぽ)、滝沢沙織、笛木子、そして相武ら7人の女医が勢ぞろいする圧巻のカンファレンスシーン。そのシーンの日は、1日中しゃべり倒すカンファレンスの様子だけを撮影するという。聞き慣れない病名に長台詞、誰かがかんだらやり直しなど、かなりプレッシャーがかかりそうだが…。「初めてその日が来てから、カンファレンストラウマになりました(笑)。私だけじゃなくて、皆さんも『今日はカンファレンスの日だね…』とか言って。
今だにその日は気合いを入れて臨んでいます」と、NGを出したら「役柄同様クールに『もう1回お願いします』と言ってみたり(笑)」と“カンファレンス”を乗りきっていると話した。 顔を合わせる機会が多いこと、7人全員の血液型がB型かO型というキセキ的な巡りあわせなこと、そして舵を取る吉田羊の雰囲気もあいまってか、何回も相武は「すごくバランスのいいチームで、誰が欠けてもダメなんです」と、結束力の固さに触れた。「JOY」と名付けた7人のLINEグループでは、オフの日すら、誰かがトークを投稿しているそうだ。「気づいたら『え、38件!?』とか(笑)。私、普段LINEは2~3通くらいで全然しないんですけど、白鳥さんの写真が突然送られてきたりして、もう本当に面白いんですよ」と子供のように笑いはじめ、公私ともに「JOY」への深い愛情を見せた。

 チームの最年少は吉岡になるが、以前は相武も同じような立場だった。「私も20代のときだったら、きっと(吉岡)里帆ちゃんのような研修医の役だったと思います。30歳を越えて、全然求められるものが変わってきました」と、環境の変化を実感している。「ここ最近のドラマでは、散々彼氏を寝取ったりしてきたんですけど(笑)、今年は、初めて浮気した役じゃなくて、不倫相手も経験して。既婚者同士の話に割り込む世代になったんだなと、自分で改めて感じることがありました。土台を作ったような1年だった感じがします」と、新たなステージへの準備は十分だ。これからは「完全なコメディとか、変てこな役もやってみたいです」と笑顔で語りながらも、「大体腹にいちもつある女性のほうが振り切れるんですけどね」と含む。
悪女役を楽しんで演じている相武紗季の、今後の女優人生が楽しみだ。(取材・文・写真:赤山恭子)

 『メディカルチーム レディ・ダ・ヴィンチの診断』は毎週火曜日21時より、カンテレ・フジテレビ系にて放送中。
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