遠藤憲一大杉漣田口トモロヲ寺島進松重豊光石研という日本映画界を支える俳優6人が共同生活を送る異色ドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』。先日、撮影はオールアップとなったが、ドラマはこれからがクライマックス。
「皆さん、とにかく思い入れが強かった」と語る濱谷晃一プロデューサーが、おじさん6人衆の舞台裏を振り返った。

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 本作は、ベテラン俳優6人が微笑ましい共同生活を通して、役者としてのそれぞれの生き様がキュートに浮かび上がるコメディードラマ。中国の動画配信サイトから不朽の名作『七人の侍』のリメイクのオファーを受けた6人は絆を深めるため、シェアハウスで3ヵ月間、寝食を共にすることに。果たして、おじさんだらけの“テラスハウス状態”の行く末は?

 さかのぼるとこ2002年。東京・下北沢で開催された特集上映会『6人の男たちフィルムズ オールナイト』で、すでに個性派俳優として人気を博していた名脇役が一堂に会し、意気投合。最年長の大杉を中心に、「いつかこの6人で映画を作りたい」という思いを共有し、実に14年の歳月を経て、ようやくその夢が(テレビドラマではあるが)具現化した。しかも、本人が本人を演じるというドキュメンタリー風の異色コメディーだ。

 これについて濱谷氏は、「まず2002年から15年経って6人とも誰も欠けることなく第一線で活躍していることが凄い。作品の選び方だったり、徹底した役作りだったり、そういうことの積み重ねだと思うのですが。6人がお互いをリスペクトする気持ちが根底にある。今回は特に6人自らがある意味では発案者なので、それはもう思い入れが半端なく強かったです!」と苦笑い。

 さらに、「この6人でやる以上、他の役者に“自分も出たい!”と思わせる作品にしたいというマインドが強かったので、プロデューサーや監督に対してもアイディアをガンガンぶつけてきて下さった」と述懐する。
例えば、番組最後に、6人が役を離れて本音で語る“バイプレトーク”は役者側からの提案だったそうで、「せっかく虚実ないまぜでやっているのだから、何か新しいことをやりたいということで、本人を演じていた本人が、本当の本人に立ち返って素でトークするというコーナーを作ろうと。“本当はさぁ”という部分があると、デフォルメされたドラマの部分も演じやすくなるし、役者ならではの発想ですよね」と感心する。 また、シェアハウスのブロックが撮影された千葉県・館山のロケ地では、鉄板の飲みエピソードも。6人とも撮影の休憩時間もずっとおしゃべりをしているのに、撮影が終わっても、飲み屋でまたしゃべる、そのパワーに驚いたという濱谷氏。「シェアハウス近辺の飲み屋はほぼ制覇したんじゃないですかね。毎晩毎晩、夜の部活というか、中学の同窓会みたいなノリで、無邪気に楽しんでいたようです。翌日は撮影があるので深酒することはなかったですが、皆さん、『あれ、昨日何話したっけ?』って全く覚えてないんです。話す内容よりも話すこと自体が大事みたいですね」。

 本当にそれぞれのキャラクターは今回の役柄同様に、6者6様で、「大杉さんは精神的支柱にして、愛されるおっちょこちょい」と、いぶし銀俳優とは真逆のキャラ。その他、「理論派の松重さんは6人の中の知性、田口さんご本人は設定上のぶっとんだキャラを否定してますが、やっぱりその片鱗は…(笑)、光石さんは調和と平和の愛されキャラ、遠藤さんは役柄そのままに心配性ででもマイペース、そして寺島さんは照れ屋の江戸っ子気質」なのだとか。ドラマの面白さもさることながら、時折見せる6人の“素”の部分が、多くの視聴者を虜にしているといってもいいだろう。(取材・文・写真:坂田正樹)

 最終話には驚きの大物ゲストが登場するというドラマ『バイプレイヤーズ~もしも6人の名脇役がシェアハウスで暮らしたら~』はテレビ東京ほかにて毎週金曜24時12分より放送中。
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