『ツリー・オブ・ライフ』のテレンス・マリック監督が、40年に渡ってライフワークとしてきた宇宙と生命の壮大な足跡を、美しい映像美で描き出したドキュメンタリー映画『ボヤージュ・オブ・タイム』が公開を迎えた。本作でオスカー女優ケイト・ブランシェットが担当した語りの日本語版を女優・中谷美紀が務めた。
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本作でマリック監督は、ビッグバンによる宇宙の誕生から、生命の息吹、進化の過程、そして現在の文明までを、天文学、生物学、哲学、物理学、人類学などさまざまな分野の教授や研究者たちの叡智を結集し、圧倒的な映像美を作り上げた。中谷は「私の中の美の基準として、美しいものに触れると心や魂が喜び、呼吸が止まりそうになったり、楽になったりするのですが、本作では緊張と緩和が交互にくるような圧倒的な美しさに満ち溢れた映画でした」と興奮気味に語る。
さらに「作品の根底に流れているものは、地球の始まりと終わりや、美しさと醜さ、人間の愚かさと自然の大いなる賢さなど、対極にある二つのものを映し出しながらも、そのどちらも存在するのが世の中なんだということを教えてくれるんです」と付け加える。
本作で中谷は“語り”を担当している。「実はあまりにもケイト・ブランシェットさんの語りが素晴らしかったので、なぜ私が吹き替えをする必要があるんだろうって考えてしまったんです。もちろんお仕事をいただけるのはありがたいですし、こんな素晴らしい映画に携われるのは、この上なき幸せなのですが……」と胸の内を明かしたが、「字幕を追ってしまうと、どうしても思考の力が働いてしまう。ダイレクトに感じてもらうためには、日本語の声が必要なんです」という製作サイドからの意見を聞いて「ようやく腑に落ちた」と中谷は語る。 資料には「未踏の映画体験」というキャッチフレーズがあるが、その言葉通り、これまでのジャンルには全く当てはまらないような壮大な作品だ。中谷も「まず、こういう映画を商業作品として作っていいんだって思いましたね。日本ではおおよそこのような作品は作れない。その意味では(配給の)GAGAさんは大英断ですよね」とおどける。
また、映し出される地球の誕生や、大自然から生まれるありとあらゆる命を見ていると、人間だけが“生”に対して執着しているのかという錯覚に陥るが、中谷は「より良く生きたいという思いはもちろんあるので健康には留意していますが、どちらかというとより良く死にたいという思いの方が強いんです」と意外な発言。さらに「太陽が爆発すると、地球も同時に滅亡してしまう。それは本当に一瞬の出来事らしいんです。そう考えると、未来を憂いてもしょうがないですし、また過去を悔やんでも仕方ないですよね」と達観している様子。
「何も考えず、最高のラグジュアリーリゾートでプカプカと海に浮かんでいるような感覚で観てほしいですね」とオススメの観賞方法を語った中谷。続けて「その時に、色々な想念が頭に浮かぶかもしれません。良いことや悪いこと、自分の人生だったり、どうでもいい他人のことだったり……。こうして頭に浮かんできたものが、結局はまっさらになっていく感じ。極上のリゾートに来ているような映画です」と作品をアピールしていた。(取材・文:磯部正和)
映画『ボヤージュ・オブ・タイム』は3月10日より全国公開。
「あまりの美しい映像に圧倒された」という中谷に、作品の持つ世界観や解釈、自身の死生観などを聞いた。
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本作でマリック監督は、ビッグバンによる宇宙の誕生から、生命の息吹、進化の過程、そして現在の文明までを、天文学、生物学、哲学、物理学、人類学などさまざまな分野の教授や研究者たちの叡智を結集し、圧倒的な映像美を作り上げた。中谷は「私の中の美の基準として、美しいものに触れると心や魂が喜び、呼吸が止まりそうになったり、楽になったりするのですが、本作では緊張と緩和が交互にくるような圧倒的な美しさに満ち溢れた映画でした」と興奮気味に語る。
さらに「作品の根底に流れているものは、地球の始まりと終わりや、美しさと醜さ、人間の愚かさと自然の大いなる賢さなど、対極にある二つのものを映し出しながらも、そのどちらも存在するのが世の中なんだということを教えてくれるんです」と付け加える。
本作で中谷は“語り”を担当している。「実はあまりにもケイト・ブランシェットさんの語りが素晴らしかったので、なぜ私が吹き替えをする必要があるんだろうって考えてしまったんです。もちろんお仕事をいただけるのはありがたいですし、こんな素晴らしい映画に携われるのは、この上なき幸せなのですが……」と胸の内を明かしたが、「字幕を追ってしまうと、どうしても思考の力が働いてしまう。ダイレクトに感じてもらうためには、日本語の声が必要なんです」という製作サイドからの意見を聞いて「ようやく腑に落ちた」と中谷は語る。 資料には「未踏の映画体験」というキャッチフレーズがあるが、その言葉通り、これまでのジャンルには全く当てはまらないような壮大な作品だ。中谷も「まず、こういう映画を商業作品として作っていいんだって思いましたね。日本ではおおよそこのような作品は作れない。その意味では(配給の)GAGAさんは大英断ですよね」とおどける。
また、映し出される地球の誕生や、大自然から生まれるありとあらゆる命を見ていると、人間だけが“生”に対して執着しているのかという錯覚に陥るが、中谷は「より良く生きたいという思いはもちろんあるので健康には留意していますが、どちらかというとより良く死にたいという思いの方が強いんです」と意外な発言。さらに「太陽が爆発すると、地球も同時に滅亡してしまう。それは本当に一瞬の出来事らしいんです。そう考えると、未来を憂いてもしょうがないですし、また過去を悔やんでも仕方ないですよね」と達観している様子。
「何も考えず、最高のラグジュアリーリゾートでプカプカと海に浮かんでいるような感覚で観てほしいですね」とオススメの観賞方法を語った中谷。続けて「その時に、色々な想念が頭に浮かぶかもしれません。良いことや悪いこと、自分の人生だったり、どうでもいい他人のことだったり……。こうして頭に浮かんできたものが、結局はまっさらになっていく感じ。極上のリゾートに来ているような映画です」と作品をアピールしていた。(取材・文:磯部正和)
映画『ボヤージュ・オブ・タイム』は3月10日より全国公開。
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