「“いつ”終わるとかではなくて、最高の終わり方に興味がある」。声優柿原徹也は、自身が主人公を務める人気シリーズ『FAIRY TAIL』について、キッパリとこう答えた。
公開を迎えた『劇場版FAIRY TAIL ‐DRAGON CRY‐』は、原作者・真島ヒロが自ら描き下ろした約200ページに及ぶ渾身のネームを基に創られたオリジナルストーリーであり、『FAIRY TAIL』最終章の幕開けを担う。だからこそ柿原は、“終わり”について自身の考えを語ったのだ。

【関連】「柿原徹也」フォトギャラリー

 物語の舞台は、断崖絶壁に囲まれた孤島・ステラ王国。世界を滅ぼすほどの力を秘めるという魔法の杖・ドラゴンクライがフィオーレ王国の反逆者・ザッシュによって、奪われステラ王国の国王・アニムスの手に渡ってしまう。魔導士ギルド・フェアリーテイルのナツ、ルーシィ、ハッピー、グレイ、エルザ、ウェンディ、シャルルは、ドラゴンクライ奪還の依頼を受け、ステラ王国に潜入する。そして、ドラゴンクライを巡る攻防の中で、フェアリーテイルの面々は、アニムスに仕える魔導士・ソーニャと出会う…。

 「役者にとって、映画化されるということは、すごく嬉しいこと」と、満面の笑みで喜びを語った柿原。「ドラマCDやゲームが次に求めることはTVアニメーション、そしてTVアニメーションが次に求めることが劇場版。だから、劇場版になるということはすごく嬉しいことだし、多くの人に求められているんだなと思います」と口にする。ゆえに、求められているのがわかるからこそ、「力も入っちゃうよね」と照れ笑いを浮かべる。

 壮大なクライマックスへの“始まり”として描かれるという本作。柿原自身もこれまでにTVアニメ全277話と、劇場版1作で主人公ナツを演じてきた。
「役者として生活している僕がナツにマッチした」という柿原は、ナツを演じる際の声はほぼ地声だと言う。その理由は、オーディション時の、「おはようございます!柿原です!よろしくお願いいたします!」という挨拶の声で、関係者一同「あ、ナツだ」と思ったから…ということらしい。そう思われていたとは露知らず、当時「ナツの声が全然浮かばなくて…、“グレイ狙っていこう”って思ってたんです(笑)」と、茶目っ気たっぷりに振り返った。 本シリーズで演じるナツも同じく、演じるすべての役柄で「『この役は、カッキーのほうがわかってる』と言われたい」と、力を込める。そう言われたいからこそ「中途半端なことや生半可なことはできないです。誰にでもできる役にはしたくない」と強い口調で続ける。

 ナツというキャラクターを自身の力で掴み取った印象の柿原だが、「僕は役に恵まれているんです」と思いがけない言葉が返ってくる。「役者陣も同世代が多くて、他の作品で主役を演じていたメンバーが当時集まったのがこの作『FAIRY TAIL』だったんです。そういうメンバーと巡り会って、僕の芝居の核になるようなことを教わりました。そこから作り上げてきたのがナツです」と自信をみせる。

 だが、「ナツに会わなかったら、地声で芝居をするということはなかったかもしれない。『おはようございます』の挨拶ひとつで、役が決まるという経験もなく、カッコつけた芝居しかしない役者になっていたかもしれない。
本当にナツと出会ったことで、役者としての幅や人としての幅が広がったなと思います。8年間、ナツと一緒に歩んで来たんだなぁと思いますね」。(取材・文:ほりかごさおり)

 『劇場版FAIRY TAIL ‐DRAGON CRY‐』は5月6日より公開中。
編集部おすすめ