【関連】「石井竜也」インタビューの様子
今回、石井が提供した楽曲は、どれも作品の魅力を押し広げるような絶妙な選曲だ。消防士を主人公にした『シカゴ・ファイア』には、アップテンポな「希望の未来へ」が選ばれた。理由を聞けば、石井は、「消防士は火に飛び込んで、ひとりでも多くの人を助けるから、俺たちの目には見えない陰の部分で必死に支えていますよね。その小さな未来、光を応援したくて」と、思いを口にする。『シカゴ・ファイア』から生まれた、警察を舞台にしたスピンオフ第1弾の『シカゴ P.D.』には「警察官は暗部に入っていく勇気も持っているし、自分が死ぬかもしれない。そこに、あまり能天気な曲は似合わないと思った」ということで、どこか物哀しい曲調の「砂の中の宝石 ~放浪者~」をセレクトした。さらに、医療現場にフォーカスしたスピンオフ第2弾の『シカゴ・メッド』には、石井の伸びやかな歌声が心地いい、壮大なバラード「虚構の光」を捧げている。
「3曲ってなかなかないですよね(笑)?今インタビューを受けつつ、『すごいことになっちゃっているな』と思った!」と、笑顔でコラボレーションを振り返る石井。日本でも多くのファンを持つ『シカゴ』シリーズには、例に漏れず自身も夢中だと言う。「『ファイア』や『メッド』の仕事は、どの街でもそんなに変わらない気がしますが、一番変わるのが、たぶん警察官。
そして、冒頭で触れた「アーティストとはどんな職業か」の問いに返ってきた「虚構」について詳しく聞けば、「虚構というのは、簡単に言ったら嘘で、ファンタジ-なんです。何を作るにしても、何かを感動の視点から見た瞬間に、すでに虚構だと思っていて。特に俺たちの歌の仕事は1曲3分の中に、人生観を入れなきゃいけない。入れるために、その人の人生の一部分を切り取るんです」と、丁寧に解説してくれた。「例えば、その人が一番キレイに輝いているときを見るよりも、その人の後ろ側に行って陰を見たほうがいい。その場所を吸い取って歌にすると、3分の歌の中にもちゃんと人生が入っていけるんです」と目の前で情景を描くかのように、なめらかな言葉で伝える。繰り返しになるが、20年もの間、第一線の表舞台で板の上に立っている石井の言葉は、説得力を持って心に届く。 歌うこと以外に、石井は映画監督や芸術家という面も持っている。創作活動の源を問うと、「発想は、いろいろなところにありますよ。ものを作るときは、できるだけ自分の身の回りにあるものからヒントを得たほうが、いつでも研究することができるし、深く見ることができる」と、必然を語る。
『シカゴ』シリーズ3部作は、海外ドラマ専門チャンネル放送AXNにて『シカゴ・ファイア』シーズン4は11月2日より毎週木曜22時ほか、『シカゴP.D.』シーズン3は11月3日より毎週金曜22時ほか、『シカゴ・メッド』は12月9日より毎週土曜22時ほか放送。石井が歌うエンディング曲は、現在発売中のニューアルバム『DIAMOND MEMORIES』に収録されている。