【写真】ギレルモ・デル・トロ監督来日会見フォトギャラリー
本作は、『パンズ・ラビリンス』『パシフィック・リム』などで知られるメキシコ出身の巨匠デル・トロ監督による異色のラブストーリー。米ソ冷戦時代のアメリカを舞台に、政府の極秘研究機関で働く声が出せない女性イライザ(サリー)と、そこに運び込まれてきた不思議な生き物との心の交流をファンタジックに描く。
人間と奇妙な生き物という異種の愛を、今、この時代に描いた経緯についてデル・トロ監督は、「今の世の中、“よそ者は信用するな、怖れろ”という風潮があり、愛とか、感情といったものがなかなか感じられない困難な時代。これを直接伝えるのではなく、“寓話”として語れば、人々は聞く耳を持ってくれると思った」と説明。
さらに、「現代を舞台にすると、携帯電話やネットメディアなどいろんなものが媒介して、メッセージがなかなか伝わりにくいので、1962年に時代を設定しました。この年は世界大戦が終わり、裕福になり、宇宙開発など希望にあふれていましたが、実際は冷戦下で、性差別や人種差別が横行していた時代。まさに現代と全く同じ状況」と指摘。「また、このころは、(現代におけるネットの台頭と同様に)テレビの台頭で映画業界が衰退した時代でもあった。そういった意味もあり、私は映画への“愛”を込めて、この作品を作りました」と力を込めた。
そして今回、世界中の映画賞を席巻し、アカデミー賞では最多13部門にノミネートされるという快挙。これに対してデル・トロ監督は、「今回、『パンズ・ラビリンス』に続いて2回目のノミネートとなりますが、特にこの2作品は“自分らしさ”を表現した作品だったので、それを認めていただいたことが非常にうれしかった」と満面の笑顔を見せた。
会見は滞りなく終了し、フォトセッションの流れとなるはずだったが、この日は、『パシフィック・リム』でデル・トロ監督とタッグを組んだ菊地が、花束を持って駆け付けるというサプライズが。
映画『シェイプ・オブ・ウォーター』は3月1日より全国公開。