【写真】トム・ヒドルストン主演『ナイト・マネジャー』フォトギャラリー
本作は、イギリス文学界の重鎮、ジョン・ル・カレの同名小説を原作としたスパイドラマ。元イギリス軍兵士で、ホテルのナイト・マネジャー(夜間支配人)を務めるジョナサン・パイン(トム・ヒドルストン)と悪名高い武器ディーラー、リチャード・ローパー(ヒュー・ローリー)の男の戦いを描く。
そもそも、原作者のル・カレはイギリスの諜報機関に実際に所属していた経歴を持ち、リアリティー溢れるスパイ小説を多数発表した作家だ。数々の作品が映画化されているが、その中でも、本作はその複雑なストーリーから映像化は困難と言われていた作品。そんな傑作小説が、実力派スタッフや俳優たちによって見事に映像化されている。
また、1993年に発表された原作を、現代に設定変更しているのもポイント。第1話では、“アラブの春”に揺れるエジプト・カイロが舞台となり、より物語に入りやすい世界観が構築されている。
そんな本作で、やはり最大の注目点は、主人公のジョナサンを演じるトム・ヒドルストンであろう。トムといえば、『マイティー・ソー』シリーズの“憎めない”悪役、ロキ役のイメージが強いが、本作ではロキ役から一転し、スーツを着こなし、ホテル宿泊客にスマートな対応をする“デキる男”を演じる。
さらに、お酒を煽ってセクシーに女性を魅了したり、愛する女性を守るため奮闘し、危険な場面で機転を利かせてたくましさを見せたりと、女性がキュンキュンするような男の魅力全開の姿が見られる。また、濃厚なラブシーンも演じており、イギリスで放送された当時は、SNSがこの話題で独占されたというほど、大きな反響を呼んだ。
そして、ドラマファンだけではなく、映画ファンの心を掴んだポイントが本作の監督をスサンネ・ビアが務めているということ。彼女は、2010年に『未来を生きる君たちへ』でアカデミー賞外国語映画賞にも輝いた注目の監督で、2015年には第28回東京国際映画祭のコンペティション部門審査員も務めた人物だ。人間の内面を描くことに秀でている彼女が、本作では観ているこちらが手に汗にぎるほどのリアリティーを持って、ヒリヒリするような水面下の戦いを緻密に描き出している。
本国アメリカでは、放送開始直後から各賞のノミネートが囁かれ、実際に2016年のプライムタイム・エミー賞の監督賞、ゴールデングローブ賞のドラマ部門主演男優賞、助演男優賞、助演女優賞を受賞した。一流俳優たちの名演技が、ゴールデングローブ賞のテレビ部門主要賞を総ナメにしたこの結果は、さらに大きな話題となり、シーズン2の製作が企画中であるという報道も飛び出している。
スパイ映画の代表『007』のようなド派手なアクションシーンはないが、リアルで本格的なスパイ作品として、ドラマ好きのみならず映画ファンをも魅了するクオリティを持ち、トムの代表作の一つとなった本作をお見逃しなく。
『ナイト・マネジャー』は4月21日(土)22時から全国無料のBSテレビ局・Dlife(ディーライフ/チャンネル番号:BS258)にて日本初放送スタート。