NHK 連続テレビ小説『半分、青い。』で、マイペースながらも愛情溢れる母親“和子さん”を演じ、幅広い世代から支持された原田知世。
最新作映画『あいあい傘』でも、来るものすべてを包み込むようなしなやかな女性・玉枝を好演した。「内面が顔に出てくる年ごろ。生き方は大切ですね」と語った原田。そんな彼女の“生き方”に迫る。

【写真】映画『あいあい傘』原田知世インタビュー&場面カット

 2018年は、原田がスクリーンデビューを果たした映画『時をかける少女』から35年という年となる。節目の年に、前述した『半分、青い。』や『あいあい傘』で、多くの人を魅了する笑顔と佇まいを持つ、人への愛に溢れる役柄に出会った。

 原田は「玉枝さんは誰に対しても愛情深い人」と演じた印象を述べると「私もこれまでの人生のなかで、多くの人に助けてもらってここまで来ることができました。そういった人の優しさは、子どものころはなかなか気づけないのですが、大人になるにつれて、身に沁みてきます。そして自分より若い世代に、もらった優しさを返していきたいと思うようになったんです」とキャラクターに共感する部分が多かったという。

 朝ドラで演じた和子、本作の玉枝、どちらも台本に書かれた基本的な設定はあるが「行間には演じる人の“人間味”がにじみ出てくる気がして、その意味で、役者も人としての積み重ねが大切だと思うんです」と持論を展開する。続けて「もし和子さんや玉枝さんから、そういった愛情みたいなものを感じとっていただけているなら、それは最高なことですし、私がとても素敵な人に囲まれていたという証拠になりますよね」とこれまでの人生に胸を張る。


 こうした考えは、近年特に感じるようになったという。「40代半ばから50代になって、男の人も女の人も、内面が顔に出てくる年ごろだと思うんです。その意味で、どう生きてきたかはとても大事だと思います」。

 大事に生きてきた原田の人生。特に14歳で入った芸能界は、彼女の人生では非常に大きな割合を占める。本作の劇中でも、人との出会いは“縁”だというセリフがある。原田にとっての“縁”とは――。 「女優の仕事って一期一会的だなと思っているので、ずっと同じ人とご一緒するというイメージがないのですが、音楽は自分のペースでやってこられたので、そこでの出会いは、とても大きいですね。鈴木慶一さんやトーレ・ヨハンソンさん、いまは伊藤ゴローさんと10年以上、ご一緒させていただいています。慶一さんもアルバムができたら、まず感想をお聞きしたいし、私の10代から素敵な曲や詞を書いて下さっている大貫妙子さんにも素敵なご縁を感じています」。

 音楽での素敵な出会いは、女優業にも大きく関係しているという。「私は、演じることと音楽は全然違うものだと思っています」と語ると、両方があったからこそ、芸能活動をここまで続けてこられたと断言する。


 女優として作品に出演するなか、20代半ばから「音楽もしっかりやろう」というビジョンを明確に持った。そこから両方を行き来することにより、煮詰まることなく、いつも新鮮な気持ちで、どちらにもアプローチができた。「お芝居が続くと歌をやりたくなって、歌をやっているとお芝居の表現が恋しくなるんです。常に表現することに飽きなかったことが、長く続けてこられた秘訣だと思います。いまは歌とお芝居があってはじめて原田知世なんだと思っています」。

 女優業は、目標を持ち、計画を立てても、その通りになるものではないと達観する。一期一会的な出会いがあってはじめて成立するというのだ。その意味では「2018年は、この作品といい、朝ドラといい女優業としてはとても素敵な出会いが続きました。特に『半分、青い。』出演の反響は大きく、改めて『朝ドラってすごいな』と思いました」と目を丸くする。

 歌と音楽と共に歩んできた35年。先のことは「わからないですね」と柔らかい笑顔で語った原田。
このマイペースさも彼女の大きな魅力と言えるだろう。(取材・文:磯部正和/写真:高野広美)

 映画『あいあい傘』は公開中。
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