【写真】『初恋』三池崇史監督、窪田正孝、小西桜子 第72回カンヌ国際映画祭2019「監督週間」現地記者発表の様子
たぐいまれな才能を持つプロボクサー・葛城レオ(窪田)が、負けるはずのない相手との試合でKO負けを喫したことから人生の歯車が一気に狂い、アンダーグラウンドの世界で巻き起こる人生で最高に濃密な一晩を描く本作。
カンヌ映画祭は2年ぶり7回目の参加となる三池監督は、「今の時代にしかつくれないものが、素晴らしいキャスト共につくれた。自分たちのつくりたいものがこの時代につくれて光栄」と作品に自信を見せた。さらに「こういう人間たちを描いて、こういうストーリーを作っているときの自分はとてもテンションがあがる」とも。
窪田は、10年ぶりの主演での再タッグとなった三池監督について、「『ケータイ捜査官7』の時、“あいつを選んだ理由がわかる”と言ってくれたのがすごい印象に残っています。ずっとやりたかったボクサー役で、三池監督が言ってくださった10年後にまた、三池さんの世界に没頭できたことは幸せでした」と謝意を表明。
続けて「映画やTVに出させていただいている中で演者としてフラストレーションが溜まることが、役者さんは誰しももっているかと思うのですが(笑)、今回そういった感情がみんなこの作品を通して爆発していて…観ていただいたらわかると思います。日本の映画はこうあるべきだと思うし、こういう生き方をしたいと思いました」と強調した。
3000人の中からオーディションで選ばれた小西は「この作品が初のカンヌの地で感無量です。三池監督に連れてきてもらい、私も感無量です」と笑顔でコメント。「オーディションの時から私の想いを聞いてくださって、選んでいただけたのかなと感じています。三池さんは演技のテクニックより感情を引き出してくれました。
作品の手応えについて問われると、三池監督は「役者で生きていこうと思う人間の根っこには、アウトロー的な血が流れてると思う。今回出演した役者たちは、それぞれの役に共鳴していたと思うし、だからこそリアリティが生まれた。今回の作品を通して、役者というのは、人間が抱える“喜び”と“ストレス”を生かすという職業なのだと、改めて感じた。そういう要素は、アウトロー的な映画をつくる我々にとってはとてもいい状況」と話した。
さらに監督は「今回の機会が、また違う作品をつくれるきっかけになればいいなと思っている。観客の反応は気になるけどそれはもうお客さん次第なので、ただ楽しでほしい。どんなに暗い場所にいたとしても輝く可能性がある、それをアウトローが輝かせた。そんな作品になった。じっくりと楽しんでほしい」と呼びかけた。
映画『初恋』は2020年全国公開。