近年、中国アニメの急成長が日本でも大きな注目を浴びている。今夏には中国の国産アニメ映画『ナタ之魔童降世(なたのまどうこうせい)※』が興行収入“約600億円”を突破するメガヒットとなり、2015年に国産アニメ映画歴代1位の興行収入約192億円を記録した『西遊記 ヒーロー・イズ・バック』をはるかに超える成功を収めた。
【写真】『神龍』主演の中国人気No.1俳優、ヤン・ヤン
日本での人気も高い若手スター俳優、ヤン・ヤンを主演に迎えた『神龍』は、総額約100億円という巨額の製作費を投じ、ハリウッド作品並みの“壮大な物語”を描き出したファンタジー・アドベンチャーだ。
原作となった人気Web小説『武動乾坤』は、2017年「フォーブス」中国版の「中国の30歳以下30人のエリート」の一人に選出された若手作家・天蚕土豆によるオリジナル作品で、その内容は中国の古典だけでなく日本の漫画・アニメの影響も見て取れる、“ハイブリッドな世界観”となっているのが人気の秘密だ。
例えば、様々な属性を持つ個性的なキャラクターたちが魔物を封じるために8つの“護符を集める”ストーリーは、中国でも大人気の漫画『ドラゴンボール』を思わせる。同時に、8という数字、運命に導かれた英雄たちが集い、動物の妖怪なども登場する点は、江戸時代の日本の伝奇小説「南総里見八犬伝」の世界観を彷彿とさせる。
そもそも数珠の玉を持つ八犬士の冒険を描いた「南総里見八犬伝」が中国の古典である「水滸伝」「三国志演義」「西遊記」などの影響を受けて書かれていることを考えると、こうしたストーリー自体が中国と日本の間をループしながら定着したファンタジー設定といえるかもしれない。 また、本作は1人の少年の成長を描くビルドゥングスロマン(教養小説)でもあり、未熟な主人公・林動が魔物から世界を救うヒーローへと変貌していく過程を描いている。往年の武侠小説やカンフー映画でも主人公が強くなっていくのはよくあるパターンで、中国の古典では人が修行によって人間を超える力を身につけランクアップしていくのはお約束の流れ。中国でも多くの読者を持つ「週刊少年ジャンプ」作品に例えれば、林動が修行を積んで強くなっていくのは『HUNTER×HUNTER』、さらに身につけた力にランク付けがあるのは『NARUTO‐ナルト‐』を思わせる設定といえるだろう。
さらに、物語には恋愛要素もプラスされ、林動がツンデレ優等生、可愛いドジッ子と三角関係になるのは、80年代の『きまぐれオレンジロード』から現代の『ニセコイ』まで、ラブコメ漫画でおなじみの展開。こうして見ると、まさに古代から現代までの中国と日本のカルチャーの相互作用を思わせる内容で、日本人も大いに共感できるはずだ。
今年、『神龍』は中国でアニメ・シリーズもWeb配信され、中国アニメの勢いと成長ぶりを改めて示した。その実写ドラマ版は、中国が作り出すファンタジー・アドベンチャーの魅力を知る上で最適な一作になっている。
『神龍<シェンロン>‐Martial Universe‐』DVD‐SET1、DVD‐SET2 & レンタルDVD Vol.1~12、リリース中。DVD‐SET3 & レンタルDVD Vol.13~18、11月2日(土)リリース。
この2作に共通するのはいずれも日本人にもなじみのある中国の古典(「西遊記」「封神演義」)を取り入れたファンタジー・アドベンチャーであること。今、中国ではこうしたファンタジー・アドベンチャーの人気が高まっており、アニメにとどまらず実写ドラマにも及んでいる。その好例といえるが、2018年中国で大ヒットを記録したドラマ『神龍<シェンロン>‐Martial Universe‐』(以下『神龍』)だ。 ※「ナ」は口へんに「那」、「タ」は口へんに「屯」。
【写真】『神龍』主演の中国人気No.1俳優、ヤン・ヤン
日本での人気も高い若手スター俳優、ヤン・ヤンを主演に迎えた『神龍』は、総額約100億円という巨額の製作費を投じ、ハリウッド作品並みの“壮大な物語”を描き出したファンタジー・アドベンチャーだ。
原作となった人気Web小説『武動乾坤』は、2017年「フォーブス」中国版の「中国の30歳以下30人のエリート」の一人に選出された若手作家・天蚕土豆によるオリジナル作品で、その内容は中国の古典だけでなく日本の漫画・アニメの影響も見て取れる、“ハイブリッドな世界観”となっているのが人気の秘密だ。
例えば、様々な属性を持つ個性的なキャラクターたちが魔物を封じるために8つの“護符を集める”ストーリーは、中国でも大人気の漫画『ドラゴンボール』を思わせる。同時に、8という数字、運命に導かれた英雄たちが集い、動物の妖怪なども登場する点は、江戸時代の日本の伝奇小説「南総里見八犬伝」の世界観を彷彿とさせる。
そもそも数珠の玉を持つ八犬士の冒険を描いた「南総里見八犬伝」が中国の古典である「水滸伝」「三国志演義」「西遊記」などの影響を受けて書かれていることを考えると、こうしたストーリー自体が中国と日本の間をループしながら定着したファンタジー設定といえるかもしれない。 また、本作は1人の少年の成長を描くビルドゥングスロマン(教養小説)でもあり、未熟な主人公・林動が魔物から世界を救うヒーローへと変貌していく過程を描いている。往年の武侠小説やカンフー映画でも主人公が強くなっていくのはよくあるパターンで、中国の古典では人が修行によって人間を超える力を身につけランクアップしていくのはお約束の流れ。中国でも多くの読者を持つ「週刊少年ジャンプ」作品に例えれば、林動が修行を積んで強くなっていくのは『HUNTER×HUNTER』、さらに身につけた力にランク付けがあるのは『NARUTO‐ナルト‐』を思わせる設定といえるだろう。
さらに、物語には恋愛要素もプラスされ、林動がツンデレ優等生、可愛いドジッ子と三角関係になるのは、80年代の『きまぐれオレンジロード』から現代の『ニセコイ』まで、ラブコメ漫画でおなじみの展開。こうして見ると、まさに古代から現代までの中国と日本のカルチャーの相互作用を思わせる内容で、日本人も大いに共感できるはずだ。
今年、『神龍』は中国でアニメ・シリーズもWeb配信され、中国アニメの勢いと成長ぶりを改めて示した。その実写ドラマ版は、中国が作り出すファンタジー・アドベンチャーの魅力を知る上で最適な一作になっている。
『神龍<シェンロン>‐Martial Universe‐』DVD‐SET1、DVD‐SET2 & レンタルDVD Vol.1~12、リリース中。DVD‐SET3 & レンタルDVD Vol.13~18、11月2日(土)リリース。
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