9月1日に東京・明治神宮球場で行われた「乃木坂46 真夏の全国ツアー2019」最終日で約8年間のキャリアをもって卒業した桜井玲香から、キャプテンのバトンを引き継いだ秋元真夏。グループをけん引する立場として活躍する一方、ソロとしてバラエティー番組などでも存在感を示す彼女が、11月16日スタートの『連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~』(WOWOW)にレギュラー出演する。
グループから離れた仕事では「乃木坂46の名を汚さないようにと臨んでいます」と明かした秋元に、撮影の感想やメンバーたちへの思いを聞いた。

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■単独の仕事では「グループを背負う」覚悟

 本作は、『犯人に告ぐ』『検察側の罪人』などで知られる小説家・雫井脩介の注目作を映像化した連続ドラマ。ヘッドハンティング会社「フォルテフロース」へ身を置くことになった主人公・鹿子小穂(かのこ・さほ)(松下奈緒)が、駆け引きや裏切りなどにまみれたヘッドハンティング業界で、成長していくさまが描かれる。

 劇中では、フォルテフロースの秘書であり、会社のムードメーカーでもある女性・所美南を演じた秋元。1月期放送の連続ドラマ『ザンビ』(日本テレビ)など、グループとしての出演作では学生の役が多かった彼女だが、26歳となった今年、大人の女性役を演じた本作では「等身大の自分でいられた気がします」と感想を口にする。

 「グループとしての出演作では、年下のメンバーと一緒だったのもあり『高校生らしく演じなければ』と思っていたんですよね。でも、今回の作品は実際の年齢に近い役柄だったので、普段通りの自分を出せました。

 お話をいただいて“秘書役”と聞いたときは、真面目にきちんとしなければいけないとも考えたんですけど、美南ちゃんはわりと自由人だから演じるのも楽しかったですね。仕事はきちんとこなせる子だけど、みんなが真剣な表情で話し合っているそばで小顔ローラーを使っていたり(笑)。視野を広く見ながら、誰かが困っていたらそっと手を差し伸べるような役柄は、グループのキャプテンとしての役割と似ていたかもしれません」。

 本作ではグループを離れ、単身で撮影に臨んだ秋元。バラエティー番組などソロとしての活躍も目立つが、個人として任される仕事では「常に自分が“乃木坂46の子”と見られている感覚もあります」と明かす。


 「日頃はメンバー内でも年上組だし、キャプテンとしてどこかグループを俯瞰(ふかん)して見ているんですよね。でも、今回のように一人で出演するときは現場にいるすべての方々が自分のことを“乃木坂46のメンバー”として見ているだろうし、責任を果たす意味でも『お仕事を一緒にしてよかった』と評価していただけるように気を付けています。

 ただ、キャプテンになったからというわけではなく『グループの看板を背負っている』という感覚は昔から肝に命じているんです。バラエティー番組でもギリギリの発言を求められるときはあるんですけど、乃木坂46に皆さんが持ってくださっているような“おしとやかさ”などのイメージを傷付けてはいけないので、自分なりの線引きはいまだにけっこう苦労しています」。

 グループの名を背負う一方、単身で臨む仕事では「普段とは異なる自分を見せるチャンス」という思いもある。

 「自分自身のチャンスというだけではなく、グループに還元するという意味では日頃の自分とは“差”を付けなければいけない意識もあるんです。今回のようなドラマや、グループを離れて出演した番組や作品は、必ずしもアイドルとしての自分を知っている人ばかりが見るわけではないと思うんです。

 番組や作品を観て、私のことを初めて知る方の目にも触れるからには、乃木坂46やアイドルを盾にしてはいけないし、もちろん現場ごとの色や空気にも合わせなければいけないので、軸にあるグループの活動とは切り離して、一つひとつのお仕事と向き合わなければいけないとも考えています」。■ライブのたびに「体力の衰え」を同期と痛感

 本作や9月上演の舞台『サザエさん』への出演を経て、演技の世界で「別の誰かになる刺激を味わえました」と語った秋元。一方で、活動の柱となる乃木坂46では10月5日に来年春頃での卒業を発表した井上小百合をはじめ、昨年頃から、1期生の去就が注目されている。共に歴史を築いてきた仲間の卒業が相次ぐ現状に「純粋に寂しい」と思いを募らせる。

 「一緒に頑張ってきた同志が離れていくというのは、やはりいろいろな思いも込み上げてきますね。
一方で、卒業したみんなの活躍を見るのも最近の楽しみなんですよ。なーちゃん(西野七瀬)が出演していた『あなたの番です』(日本テレビ系)や、まいまい深川麻衣)の出演している『まだ結婚できない男』(フジテレビ系)であったり、普通に自分が好きな作品で活躍している姿を、ファンの皆さんと同じようなテンションで喜んでいます(笑)」。

 初期からグループの歴史を築いてきたベテラン勢の卒業が目立つ一方で、昨年12月に本格始動した4期生をはじめとする手メンバーの活躍も期待されている乃木坂46。正確な歴史をたどれば、グループの4thシングル『制服のマネキン』から合流した秋元だが、キャリアはすでに約7年。後輩たちとふれあう中では「年齢差も正直いって感じています」と明かす。

 「年々、ライブのたびに体力の衰えを感じてるんですよ(笑)。同年代の松村(沙友理)とも『ヤバくない?』『大丈夫?』と確認しながら、互いに『ダメダメ!』と言い合っているほどなので。でも、厳しいといいつつもステージに立つとアドレナリンが出るのか、共感できるメンバーもいるし平気なんですよね。

 先日も『乃木坂工事中』(テレビ東京)のシングルヒット祈願で4期生たちと富士山へ登ったときに割と早めにバテてしまって、後輩のみんなに『大丈夫? 疲れてない?』と聞いたら『全然平気です。楽しいです!』と返してきてビックリしたけど…。とはいえ、会話でも若い子たちのテンションに付いていけているはずだし、自分から『何が流行ってるの?』と聞いて勉強したりもしているので、まだまだイケると思います(笑)」。

 キャプテンとして、メンバーの一人として、グループの看板を背負い、目の前の仕事と真摯(しんし)に向き合う秋元。
連続ドラマへの出演を通して演技の世界でも存在感を見せた彼女だが、定評のある笑顔やトーク力も武器にしながら、今後も活躍の幅をさらに広げていくことだろう。(取材・文:カネコシュウヘイ 写真:高橋ゆり)

 『連続ドラマW 引き抜き屋 ~ヘッドハンターの流儀~』は、WOWOWプライムにて11月16日より毎週土曜22時放送(全5話)。
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