【写真】透明感あふれる「桜田ひより」撮り下ろしインタビューカット集
本作で、桜田演じる中学3年生の娘・ユリは、父である小説家の満男と2人暮らし。満男は、最新著書の評判は良いが、次回作の執筆にはいまいち乗り気になれないモヤモヤした日々を送っていた。そんな時、妻の七回忌の法要で柴又の実家を訪れた満男は、毋・さくら、父・博たちと昔話に花を咲かす。いつも自分の味方でいてくれた伯父・寅次郎との、騒々しくて楽しかった日々を思い出し、“寅さん”への思いが、蘇る-。
オーディション時は、何の映画か伏せられていたため、『男はつらいよ』の新作だとは想像していなかったという桜田。
「山田洋次監督の新作映画ということでのオーディションでした。受かってから、『男はつらいよ』の新作だと聞いて、『えー!』とビックリしましたが、プレッシャーよりは楽しんで参加しようという気持ちのほうが大きかったです。おばあちゃんに報告したら、すごく喜んでくれてうれしかったです」と笑顔で振り返る。
とはいえ撮影当初は緊張したという桜田だが、本編では「くるまや」の空間にすっかりなじんだ姿を見せている。
「山田監督は優しく寄り添ってくださいましたし、キャストの方々も温かく迎えてくださって、撮影の合間に、みんなでお話をしたり、お昼ごはんを食べたりと、コミュニケーションを取らせていただきました。ユリは“おばあちゃん子”なので、さくら役の倍賞千恵子さんとは、特に一緒にいさせていただいて、クランクアップの日には、倍賞さんから『似合うと思うから、どうぞ、もらって』とスカーフをいただきました!」とにっこり。
「今も実家に住んでいますが、ご飯はみんなで集まって食べますし、犬がいるのでリビングで一緒に遊ぶことも多いです。家族がいる空間というのは、私にとって自然なことで、普段から家族とは仲良しです。母には何でも話しますし、父とは嗜好(しこう)が合うので、一緒に洋服を買いに行ったりします。兄は一番の友達で、2人でディズニーランドに出かけることもあります」とかなりの仲良しっぷり。だが、数年前までは違っていたのだとか。
「私も兄も反抗期で、バチバチしてました。高校生になって落ち着いたのかな」と苦笑い。さらに今にして考えると、こんな影響もあったと思い返した。
「中学生くらいのとき、反抗期の役が多かったんです。家に帰ってからも引きずっていた部分もあって、親に当たることもあったのだと思います。
影響が出たのも、それだけ女優業にまっすぐに打ち込んでいるからだろう。もともと5歳の頃に見たドラマの影響から、「女優になりたい」と思ったという桜田。今でもその思いにブレはない。
「女優としてお仕事していくことを悩んだことはないです。むしろ年齢的にもやれることがどんどん増えているので、楽しくて仕方ないです。周りから刺激を受けることが好きなので、今回のように大先輩の方々とお仕事をしたり、事務所に入ったばかりの人たちと一緒にレッスンを受けたりしても刺激を受けます。本当にいい環境にいさせていただいていると思います」と話す。
今回の『男はつらいよ』でも収穫があった。「きっちり動きが決まっているお芝居をしたのは初めてでした。たとえば、朝、お父さんを起こしに行くところでは、カーテンの開け方から、どこで止まって、落ちてるCDを拾って、こちら向きで振り返ってといったことがすべて決まっているんです。テストでどんどん変わってはいきますが、本番に向けてすべての動きがきっちり決まっていく。
「ひとつひとつの動きがすごくキレイだと感じたんです。『こういうことなんだ!』と改めて感じました」。いま、お芝居が楽しくて仕方がないといった様子の桜田。「とにかくいろいろなことにチャレンジしたい」と、17歳の瞳を輝かせていた。(取材・文:望月ふみ 写真:松林満美)
映画『男はつらいよ お帰り 寅さん』は12月27日より全国公開。