昨年、2016年から約2年間にわたって俳優活動を休止していたことを明かした大沢たかお。復帰映画となった『キングダム』の王騎役は、高い支持をもって受け入れられた。
【写真】遠くを見つめる横顔がかっこいい…「大沢たかお」インタビュー撮りおろしショット集
『AI崩壊』は『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』の入江悠監督によるオリジナル映画。AI(人工知能)の暴走によってパニックに陥る2030年の日本が描かれる。大沢は、画期的なAIシステムを開発した天才科学者の主人公・桐生役で、AIが引き起こした暴走のテロリストとして警察に追われ、逃亡者となる。大沢が出演を決断したのは、「ヤバイ映画だったから」だという。
「ヤバイというと言葉は悪いですが、こう演じればいいと予測できるようなものではなく、この作品どうなるんだ? どう演じればいいんだろうと必死で食らいつかないとできない作品だと感じたんです。昔から挑戦しがいのある作品を選んできましたが、(復帰以降は)よりそうしています。結果、『キングダム』、イギリスでの舞台(『王様と私』)、この作品と、本当に過去のルールが通用しない作品ばかりで、自分で選んでおきながら、俳優ってめちゃくちゃ大変だなと思っています(苦笑)」。
再び演じることを選らんだ大沢だが、「戻ってきたとは思っていない」という。「リセットしてゼロから臨んでいる感じです。死ぬ気でやらないと成立しなかったデビューしたての頃に」。
「今回の作品では、主人公がスマートに活躍するような、ハリウッド風日本映画には絶対にしたくなかった。こうした大型のエンターテインメントは、ついついそうしたヒーロー的な芝居になってしまいがちです。確かに桐生は科学者としては高い能力があるけれど、でもそれ以外はただの人。ピストルを向けられたことなんてない普通の人間です。等身大の『このおじさん、大丈夫かな、必死だな』と感じるような、恐怖も恐れも抱いている普通の人間にしたい。そこが大きな挑戦でした」。 その取り組みは桐生の走り方を見ても一目瞭然だ。
「厳しい撮影でした。真冬の海とか、甲板の上とか、地下道とかで走りまくりましたから。ダメージ大きいですよ。撮影から10ヵ月くらいになるのに、まだ立ち座りがしんどいですからね」と告白する大沢。
「それくらい必死でやらないと、お客さんは共感してくれません。CGに頼ることはできるかもしれないけれど、それじゃお客さんの心は動かない。エンターテインメントってサプライズだから、お客さんを驚かせたいんです。もっともっと。僕が肉体を痛めつけてそれが可能になるならやるだけ。僕は、芝居が終わってハッピーだと思ったことなんて一度もないんです。『映画を撮り終わってハッピーだ』なんて、そんな経験は1日もない。ただお客さんが、喜んでくれればいい。観て元気になったとか、興奮したとか、思ってもらえたらそれだけでいい」。
「あと数年だけ、頑張ってみようかな」と思い、復帰したという大沢。ひとつひとつ「これが最後の作品かもしれない」と思いながら臨んでいるそうだが、その存在は今の日本映画にやはりなくてはならない。
「とにかく今MAXでやるしかない。来年仕事がゼロだっていいんです。やれることはやったと言えるから」。そのストイックな姿勢は、大沢が俳優業を、映画を、真に大切に思っているからこそ。50代に入った大沢だから挑める作品で、これからも観客を驚かせ続けてくれるに違いない。(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)
映画『AI崩壊』は全国公開中。
そんな大沢が次なる出演作に選んだのが、4年ぶりの主演作となる『AI崩壊』だ。大作が続くも大沢は俳優復帰を「戻ってきたとは思っていない」と語る。その真意とは――?
【写真】遠くを見つめる横顔がかっこいい…「大沢たかお」インタビュー撮りおろしショット集
『AI崩壊』は『22年目の告白‐私が殺人犯です‐』の入江悠監督によるオリジナル映画。AI(人工知能)の暴走によってパニックに陥る2030年の日本が描かれる。大沢は、画期的なAIシステムを開発した天才科学者の主人公・桐生役で、AIが引き起こした暴走のテロリストとして警察に追われ、逃亡者となる。大沢が出演を決断したのは、「ヤバイ映画だったから」だという。
「ヤバイというと言葉は悪いですが、こう演じればいいと予測できるようなものではなく、この作品どうなるんだ? どう演じればいいんだろうと必死で食らいつかないとできない作品だと感じたんです。昔から挑戦しがいのある作品を選んできましたが、(復帰以降は)よりそうしています。結果、『キングダム』、イギリスでの舞台(『王様と私』)、この作品と、本当に過去のルールが通用しない作品ばかりで、自分で選んでおきながら、俳優ってめちゃくちゃ大変だなと思っています(苦笑)」。
再び演じることを選らんだ大沢だが、「戻ってきたとは思っていない」という。「リセットしてゼロから臨んでいる感じです。死ぬ気でやらないと成立しなかったデビューしたての頃に」。
そのためにも、“安パイ”のような芝居はしないと決めている。
「今回の作品では、主人公がスマートに活躍するような、ハリウッド風日本映画には絶対にしたくなかった。こうした大型のエンターテインメントは、ついついそうしたヒーロー的な芝居になってしまいがちです。確かに桐生は科学者としては高い能力があるけれど、でもそれ以外はただの人。ピストルを向けられたことなんてない普通の人間です。等身大の『このおじさん、大丈夫かな、必死だな』と感じるような、恐怖も恐れも抱いている普通の人間にしたい。そこが大きな挑戦でした」。 その取り組みは桐生の走り方を見ても一目瞭然だ。
「厳しい撮影でした。真冬の海とか、甲板の上とか、地下道とかで走りまくりましたから。ダメージ大きいですよ。撮影から10ヵ月くらいになるのに、まだ立ち座りがしんどいですからね」と告白する大沢。
『キングダム』ではムキムキの肉体改造に驚かされたが、今度は、“普通の男”として身を削って逃亡者になった。役になりきるためとはいえ、そこまで自らを痛めつけるのはなぜなのか?
「それくらい必死でやらないと、お客さんは共感してくれません。CGに頼ることはできるかもしれないけれど、それじゃお客さんの心は動かない。エンターテインメントってサプライズだから、お客さんを驚かせたいんです。もっともっと。僕が肉体を痛めつけてそれが可能になるならやるだけ。僕は、芝居が終わってハッピーだと思ったことなんて一度もないんです。『映画を撮り終わってハッピーだ』なんて、そんな経験は1日もない。ただお客さんが、喜んでくれればいい。観て元気になったとか、興奮したとか、思ってもらえたらそれだけでいい」。
「あと数年だけ、頑張ってみようかな」と思い、復帰したという大沢。ひとつひとつ「これが最後の作品かもしれない」と思いながら臨んでいるそうだが、その存在は今の日本映画にやはりなくてはならない。
「とにかく今MAXでやるしかない。来年仕事がゼロだっていいんです。やれることはやったと言えるから」。そのストイックな姿勢は、大沢が俳優業を、映画を、真に大切に思っているからこそ。50代に入った大沢だから挑める作品で、これからも観客を驚かせ続けてくれるに違いない。(取材・文:望月ふみ 写真:高野広美)
映画『AI崩壊』は全国公開中。
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