【写真】二階堂ふみ「帽子がすごくかわいい」とお気に入りの衣装
――関内音の魅力、印象について
最初に台本を読んだとき、とても強い、はつらつとした女性だなぁという印象を受けました。そして自分の好きなものに対して正直な方なのだろうとも思いました。音さんを通して、人を大事にすることや、好きな人の未来を応援したいという気持ちが育っているのを感じています。
――戦前の女性を演じられていますが、現代の女性に通じるものを感じますか?
戦争に向かっていく時代も描いていきますので、「死」というものを身近で感じながら生きていた人たちの苦しみは、平和な時代に生まれている自分たちには、想像はできても全てを共感するということはできないと思っています。でも、今の時代の女性もいろいろなことと戦っていると思います。台本の中でも、結婚して子どもが生まれるという段階になってくると、女性としての生き方と自分の夢との間で音さんは悩んでいます。現代でもそういった悩みを持つ女性はたくさんいらっしゃると思うので、共通している部分はあるなと感じました。
――1人の人物を長く演じられることについてはどのように感じられていますか?
今回幅広い年齢を演じさせていただける機会をいただきまして、毎日とても楽しいです。時代が進むにつれて自分の中でも気持ちの変化がありますし、出会う方々、周りの方々に育てていただいていると実感しています。
――歌うシーンもありますが、印象に残っているシーンやご苦労はありましたか?
音楽学校で行われる記念公演出演をかけたオーディションのシーンは、かなり気合を入れて歌いました。練習もたくさんしましたし、もう少しうまく歌えたんじゃないかと、悔しさもまだ残っています。歌に関しては、昨年の夏あたりからレッスンを始めました。自分の体が楽器になるというまったく経験がないことだったので、毎回学びがあってとても楽しいです。
練習時間を設けていただきながら、歌うシーンの前は声帯を開くためにスタジオでも声出しをしていて、毎回120%の力でやったつもりでも納得できなかったり、自分の技術が追いついていかないところがあったり、難しいなと思う部分もありました。ですが、そういう姿も反映することができる、成長していく役でもありますので、設定と周りの方々に助けていただきながら歌のシーンに挑んでいます。
――音の衣装についてはいかがですか?
今回衣装の方が「チェックを着せたい」とおっしゃっていて、すごくステキだなと思っています。あとは帽子がすごくかわいいです。色使いもきれいで、音さんだけでなく、周りの皆さんもかなり“ハイカラ”な女性像になっていると思います。――古山裕一さん(窪田正孝)との夫婦関係についてはいかがですか。
2人は世間一般の結婚像とか夫婦像にとらわれていないんです。
――共演者とのシーンで印象に残っていることは?
関内家の三姉妹はみんな個性がバラバラで面白いんですけど、朝ごはんのシーンで、本当にみんな遠慮なく食べるんです(笑)。カットがかかった後も「これおいしいわねえ」「そうですねえ」と言いながら。すごく家族らしくていいなと思いました。姉・吟役の松井玲奈さんや、妹・梅役の森七菜さんとも現場でも仲良くさせていただいています。私は一人っ子なので、もし姉妹がいたらこんな感じなんだろうなっていうのを感じながら、楽しく演じさせていただいています。
――母・光子を演じる薬師丸ひろ子さんについてはいかがですか?
光子さんはとても強い女性で、その上で女性が生きていくことの大変さを子どもたちに見せてくれるお母さんです。きちんと厳しさを示しながらも、それ以上の愛と優しさでその場を包み込むその姿に、教えていただいたことがたくさんありました。
――実在の人物を演じる上で大切にしていることがあったら教えてください。
(音のモデルになった)金子(きんこ)さんが古関さんと実際にやり取りされていた手紙を読ませていただいたり、録音された歌声を聞かせていただいたりしました。録音されている声が、とにかく楽しそうに弾んでいて、すごく印象的でした。本当に歌うのがお好きな方だったんだなと思って。それが音さんと金子さんをつなぐものなので、そういった部分はすごく大事にしながら演じています。
――子ども時代を演じた清水香帆さんの印象は?
すごくしっかりしてますよね。子ども時代の裕一と音が初めて出会う教会のシーンを少し見学させていただいたのですが、2人のバランスがとてもかわいいなって思いました。子ども時代の音を、すごくはつらつと、すてきな笑顔で演じてくれたので、そんな子ども時代が思い浮かぶようなキャラクターを演じていきたいなと、あらためて思いました。
――豊橋ロケで印象的だったシーンについて教えてください。
豊橋の夏祭りのシーンが印象に残っています。伝統の手筒花火もすごかったですし、今回、地元の皆さんがエキストラとして参加してくださって、11月だったんですけど、夏の衣装で頑張っていただいたんです。地元の皆さんの雰囲気で、ああ、豊橋ってこういう場所なんだなあ、と感じて生まれてくるものがあるので、作品ゆかりの地で撮影するのは楽しいです。あと、やっぱり海ですね。海とか山とか自然って、当時と変わらないものなので、この海を金子さんは見ていたのかなと考えたり、その後の演技に生かせる部分がありました。